校長先生
★魔法学校の校長先生の紹介★
いつも全身黒い服を着ている。
腰の辺りまでのびた長く黒い髪をひとつにしばっている。
とても背が高く、生徒たちは、背伸びして見上げても表情が分からないくらいで、生徒たちからすると、謎の存在でもある。
一方、几帳面でリーダーシップがあり、物事の本質を見る目に優れている。
先生たちへのサポートも丁寧に行い、先生たちからの信頼も厚い。
専門で研究しているのは、微生物。
ワインを自ら作り、たしなむのが趣味の一つである。
他分野に渡る本を読むのが好き。
生き物全般に優しく、特にうさぎが好きで、うさぎと一緒に暮らす。
うさぎといるときが、学校での忙しい一日が癒される時間。
一族皆背が高く、その多くが黒い服を好んで着る。
五人兄弟の長男で、末の妹が、フラッポクラッポの隣町に住んでいる。
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お花の魔女レティ21ページ。
校長先生は、何がうれしかったのか。
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魔法の力の源。
魔法学校の校長は、それをよく理解している。
しかし、校長のように、それを理解している魔法使いは多くはない。
魔法学校は、魔法使いの魔法の力(想い)が薄れゆく中、後継者の育成を目的として設立された。
校長をはじめ、先生たちも、その趣旨に賛同している者が集まっているけれども…
頭では、言葉では分かっていても、それが、すべて、本当に理解しているという訳ではない。
バッハ校長は、本当に理解している数少ない魔法使いの一人だ。
そのうえで、生徒たちのそれぞれの力を伸ばしたいと思いながらも、思うようにうまくいかない日々が続いている。
これまでの歴史の中で常識となっている価値観、生活、考え方。
それは、生徒たち、その家庭はもちろん、指導する側にいる先生たちにも、しっかりと根付いている。
先生たちはよくやってくれている。
頑張ってくれている。
魔法学校の目的を求め、校長の信念を応援し、力になりたいと思ってくれている。
だけれど、日々の多方面とのやりとり、先生たちのサポートなどで、バッハ校長自身も、追われるような毎日。
そんな中、しりもちをついてから気がついた。
そうか。
こんなにも、想い(魔法の力)を持っている生徒が、この学校にいてくれていたのか。
知らなかった。
気がつかなかった。
見ていなかった。
レティという居眠りばかりのその生徒は、写真を見て、うさぎを喜ばせたくて、幸せになってほしくて、うさぎの好きなじゃんぽぽの種をこっそり付けたに違いない。
それが、私の想い(うさぎが大好きで幸せでいてほしい)と重なり、こんなにも大きなじゃんぽぽが花開いたのだ。
その想いを、大切にしてほしい。
いつまでも。
いつまでも。
これからも、小さな奇跡はおこっていくだろう。
しかし、本人は気がつかないかもしれないな。
そんな生徒を誇らしく送り出す。
それも、自分の、校長としての役割の一つだったんだ。
バッハ校長は、卒業式の日、小さなじゃんぽぽを胸ポケットに飾った。
レティへの卒業祝いでもあり、感謝の気持ちでもあり、自分自身のこれからへの応援でもあるその花は、輝いていた。
つづく。