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変わり続けていく「伝統」の意味について

蓮ノ空を応援する中で、必ず出てくる「伝統」という言葉。

思えば、普段の生活でもよく耳にする言葉ではあるけれど、蓮ノ空をきっかけに、こんなにも「伝統」という言葉の意味について考えたことは今までないと思います。それと同時に、蓮ノ空と出会う前に比べて、「伝統」という言葉がこんなにも身近に感じるようになるとは全然想像もしてなかったとも思っています。

そんな訳で、今回のブログは蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブにおける「伝統」が意味について考えてみたいと思います。


「伝統」について考えるきっかけは色々あると思いますが、僕にとってそのきっかけは104期の百生吟子ちゃんの存在があったからです。彼女が、蓮ノ空に、そしてスリーズブーケに加入してきた時間の中で「伝統」について、触れ、その意味についてふとした瞬間に考える場面が増えたような気がしています。


では、彼女たちにとっての「伝統」とはどんな意味を持っているのか。


それは「記録と同時に、記憶にも残ること」であり、そして、「伝統」を思い出すことで、より「伝統」は身近になるということ。凄くざっくりしていますが、蓮ノ空、そして吟子ちゃんを通じて考えている「伝統」ってこういうものだと僕は思っています。


まず、「伝統」=「記録と同時に、記憶にも残ること」を考えるようになった大切なきっかけになった活動記録の2つのエピソードがあります。


1つ目は104期1話の「未来への夢」での『逆さまの歌』をめぐるエピソードです。この歌は吟子ちゃんのおばあちゃんが歌っていた当時とそのまま変わらずは残っていないけれど、歌の一部は歌い継がれているし、何よりも吟子ちゃん自身の中に強く残っていました。そして、そんな歌が今度は『Reflection in the mirror』104期ver.という形で残っていくことになりました。このエピソードを振り返ってみると、記録には残っていないけれど、でも確かに銀子ちゃんの「記憶」の中にはしっかりと焼き付いていると、そんな「伝統」のまた違う一面を感じたような気がしています。


もう1つは、続く104期4話「昔もいまも、同じ空の下」での初代の3ユニットが身に付けていた伝統の衣装の話。伝統の衣装は修繕したとしても、もう衣装として着ることはできない。それでも、新しい衣装の素材として残っていくことになる。そんな衣装を巡って、「伝統」と向き合う吟子ちゃんの想いも交差するエピソードでした。


伝統の衣装はこのまま衣装として着なかったとしても、形として残ります。ただ、それは形という「記録」には残るけれど、今に受け継がれる「記憶」としては誰も覚えていない不鮮明なものになっていってしまうかもしれない。あるいは、手を加えないままだったら倉庫の片隅にずっと残されて、「記憶」の中にも、そして、いつかは「記録」の中に埋もれていってしまうかもしれない。
だからこそ、伝統の衣装を新しい衣装へとリメイクするのは、形として「記録」に残すことよりも、今というこの瞬間を選んで「記憶」に焼き付けることを選んだことにもなる。そして、確かに形は変わってしまうけれど、それは新しい衣装としてまた蓮ノ空の「記録」に刻まれていくことにもなる。ここには、そういう「伝統」と向き合う難しさみたいなものも感じています。


ここまで2つのエピソードを取り上げてみましたが、改めて振り返ってみると、「記録」と「記憶」に残ることって似たような部分もあって、簡単に共存可能かと思いきや、時には、お互いを食い合ってしまう要素も持っていると思います。特に、吟子ちゃんが加入してからのこの半年くらいにその「伝統」の難しさがより色濃く出ているような印象を抱いています。


でも、そういう難しさを乗り越える所に蓮ノ空の、そして吟子ちゃんの魅力が詰まっているとも感じていて。そんな乗り越えるヒントは彼女の姿勢に表れていると思っていて、それが「伝統」を思い出すことであり、身近に感じることです。


思えば、吟子ちゃんは蓮ノ空に登場して当初から一貫して「伝統」というものにずっと惹かれ続けています。そう感じる場面をいくつか取り上げますが、真っ先に取り上げたいくらいに一番好きなのが、リンクラで聴ける吟子ちゃんの「★3ライブクリア①」のシステムボイスです。

芸学部の魂はここにあるからね

今はもうスクールアイドルクラブと名前は変わってしまっているけれど、「例え姿や形は変わったとしても、芸学部がここにあったこと、その想い出、そこで紡がれた想いは私の中に残っていくからね」と、そんな吟子ちゃんへの蓮ノ空への「伝統」に対する想いであり、決意を感じる意味でめちゃくちゃ好きなボイスです。


続いて、吟子ちゃんの「伝統」に対する向き合い方を考えてみる上で、活動記録でも印象的なシーンを取り上げてみます。

まず104期1話の「未来への夢」。おばあちゃんが過ごしていた頃に想い馳せる吟子ちゃんのシーンです。


おばあちゃんから聞いた、蓮ノ空の思い出。音の外れたチャイムが鳴って、夕暮れ空の下、みんなで寮に帰っていく。
このまま時間が止まればいいのにって願うほどに。
その日々は、宝物だったーーって。

活動記録104期1話「未来への夢」より

おばあちゃんから話してもらった想い出を自分の中で大切に温めて、噛み締めて、何度も思い出して、その当時に想いを馳せることができるくらいに彼女の中で、蓮ノ空の「伝統」は生きていることを感じます。


続いて活動記録からもう1つ取り上げておきたいパートを取り上げます。

104期4話で花帆ちゃんが傷つけた柱を何も知らない吟子ちゃんが「これも伝統......」と勘違いしていたと徒町がバラすシーン。
部室での会話で何気なく知るこのエピソードで、「伝統」への想いが溢れる吟子ちゃんが空回りしてちょっと面白いパートではあるんだけど、でも、あえて真面目に考えてみるなら、「今」こうして過ぎていく瞬間も、いつか先の未来で振り返った時には「伝統」の1つになるかもしれない。クスッと笑ってしまうような場面の中にも見え隠れしている「伝統」の身近さを感じます。さっき取り上げた104期1話の「その日々は宝物だった」と思い返すシーンに繋げてみると、スクールアイドルクラブの部室で何気なく笑い合っていたり、ライブに向けて些細なことですれ違ったりと、そういうささやかだけど、でもそこで積み重ねた思い出はいつの日か「伝統」になるかもしれないとも言えるのかなと。

そして、これは「伝統」という言葉をラブライブシリーズの中でかなり重要視している蓮ノ空だからこその特性だと思っていますが、「伝統」は堅苦しくて、触れ難いものじゃなくて、意外とふとした日常のすぐそこにもあるものなのかもしれない。
時に空回りしてしまうこともある吟子ちゃんの真剣な「伝統」への想いを振り返ると、そういう「伝統」の身近さを知ったような気がしています。


ここまで書いてきましたが、「伝統」のあり方の一つとして僕が吟子ちゃんを踏まえて言葉にしておきたいのは、これからの蓮ノ空にとって「伝統」というのは、何よりも「記憶に残る」こと、あるいは「想い出」になっていくんじゃないか、ということです。そして、長い時間に負けないくらい「記憶」に、そして「想い出」に残るからこそ、「今」を生きるスクールアイドルたちはこんなにも輝いて見えるし、僕らの胸を打つのだと信じています。


こんなにも「伝統」について熱く真剣に考えたいと思ったのは何よりも吟子ちゃんがいたからです。大好きな「伝統」と向き合って、葛藤して、それでもスクールアイドルとして「伝統」を伝えてきたいという想いを抱く吟子ちゃんが僕は大好きです。


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