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「茜心」に魅せられて/Liella! 2nd AL『Second Sparkle』レビュー④

米女メイちゃんの「熱さ」に憧れています。

Liella!と出会ってからもう1年くらい経ちますが、当初から頑なに、そして真っ直ぐに葉月恋ちゃん推しを貫いてきましたが、少しずつ、確実にメイちゃんも気になってきました。それは、彼女が持っている、自分の気持ちを真っ直ぐにぶつけるその「熱さ」に気持ちを動かされています。

今回はその理由を考えるために、『UR葉月恋』と『茜心』を元にブログを書いていきます。

■『UR葉月恋』を通じて気付いたメイちゃんの魅力

まずは『UR葉月恋』の話から。恋ちゃん推しとしていつかゆっくりと言葉にしていきたいと思っているけれど、あえて今回はメイちゃんに注目してみたいと思います。

この話の魅力であると同時にちょっとしんどいなと思うのは、Liella!メンバーでの中の恋ちゃんの立ち位置と距離感です。もちろん、アニメ1期8話の『結ばれる想い』とその象徴である『Wish Song』、そこからの時間を考えると恋ちゃんはもうLiella!の一員として欠かせないのは当然です。

それでも、このお話の中で浮かび上がってしまったのは、それでもまだ十分に埋めきれていない他のメンバーとの距離感だと思います。

Liella!メンバーの中で唯一の音楽科であり、たった1人で生徒会を切り盛りしている立ち位置にいるから、自然と距離感が生まれてしまうのも仕方ないかなと思いつつ、1期生ですら恋ちゃんが抱え込んでいる問題にあっさりと切り込んでいけないこと、「まさか恋ちゃんがゲームにハマるはずがない、きっと生徒会の仕事を抱え込んでしまっているのだ」と決め切ってしていた展開を思うと、やっぱり距離はあります。そして、その極め付けはきな子の「ずっと遠い存在だと思っていた」という言葉だと思います。アニメ1期ほど、恋ちゃんに対する風当たりの強さは表面化していませんが、でも、その残り風は間違いなく2期にも漂っているのだと思っています。

今回は恋ちゃんについて語りたいブログではないので簡潔にまとめてしまうと、『UR葉月恋』はゲームがきっかけとなって、Liella!メンバーの中で自然と作ってしまった見えない壁が解消された事に感動するのだと思います。そして、そんな恋ちゃんの背中を押したのがメイちゃんです。同級生のきな子が感じていた「ずっと遠い存在だと思っていた」距離感をあっさりと飛び越えて、自分の気持ちを真っ直ぐにぶつけられるメイちゃんの存在と「熱さ」は間違いなく、恋ちゃんが大きな一歩を踏み出すのには欠かせません。

■『UR葉月恋』から『茜心』へ

ここまで長くなりましたが、そういう「熱さ」に気付いたから、今こうして『茜心』についてのブログを書いています。僕がこの曲について上手く言語化できていなかったのは、そもそもメイちゃんのこの「熱さ」を言葉にできていなかったからなんですよね。確かに熱い気持ちは感じるけれど、その「熱さ」は何なのか、そこに込められている「米女メイ」にしかない「熱さ」の魅力は何だったのかが上手く言葉にならなかった。

『UR葉月恋』を通じて気が付いたメイちゃんにしかない「熱さ」には、自分の気持ちを真っ直ぐに伝えつつも、共感することを忘れない、そして、そこにはちょっぴり厳しさもある。それが彼女が持っている魅力だと思います。そして、『茜心』という楽曲は、そんな彼女にとっての「熱さ」の原点になるきっかけであり、そこで生まれたのが「茜心」という「熱さ」なんだと思います。

『茜心』をあえて2つのパートに分けてみると、

1番 → 自分の好きなものを信じる気持ちが「熱さ」に変わっていく
2番 〜 ラスサビ →その「熱さ」が誰かに伝播していく

で構成されていると考えていて、それぞれの中で歌詞に注目して、上記のポイントをまとめていきたいと思います。

■自分の好きなものを信じる気持ち、それが「熱さ」に

まずは1番について、「自分の好きなものを信じる気持ちが「熱さ」に変わっていく」とパート分けしましたが、もう少し噛み砕いて言うと、自分の好きなものを見つけて、それを信じる気持ちが「熱さ」に育っていくプロセスだと感じています。

いつか見つけた宝の地図は
いまでも「ココだよ」って指差してる
探しにいこう さぁ
憧れをただ目指していけ

注1

真っ先に注目したいのは「宝の地図」という言葉。ここには自分の好きなものを見つけた時の気持ちが「宝の地図」として表現されていると思います。それに加えて、「いつか見つけた」と過去形になっているのが良いなと思っていて、この「いつか見つけた宝の地図」は僕自身の話になってしまいますが、とある方のブログを読んだ時の感想ツイートを思い出しました。

僕も新しい好きなものに出会った時に、今まで好きだったものを忘れるんじゃないかって不安に感じる事もあったんですけど、またそこに戻ってきた時に、その作品や推しがより好きになっているかもしれないって考えるようになってから気持ちが楽になりました。

自分の興味関心が変わったとしても、かつて好きだったものはずっと自分の中に残り続けているんですよね。少なくとも僕自身は、自分の好きなものにはいつか何らかの形で戻ってくるものだし、そこに戻れた時に「昔はこれが好きだったなぁ」と思い返したり、「あの時はここが好きだって気付かなかったな」と好きなものを再確認できたりするものだと考えています。その観点で言うなら、この「いつか見つけた宝の地図」はいつまでも自分の中に残り続けている「好きなもの」とも言えると思います。

続く、↓のパートでは、好きな気持ちが確かに「熱さ」に変わっていく瞬間が描かれていると思います。

間違いじゃないなら曲げるなよ
信じたいもの信じてればいい 熱く
君の情熱茶化さない
思ったままでいいよ

注2

「曲げるなよ」「信じてばいい」とちょっと言葉の強さがある辺り、メイちゃんらしさを感じると同時に、自分の好きなものは他人がどうであれ、自分が好きでさえいればいいという強さを感じます。聴いているこちらが「それを好きな気持ちは自分にしかないものなのだから、それを信じればいい」と言われているようで、言葉以上の「熱さ」も感じられて、この曲のパンチラインとして成立していると思います。

■その「熱さ」は伝播する

続く2番は、その「熱さ」が誰かに伝わっていく場面がその想いが具体的な行動に移っていく場面が描かれていると思います。そして、そこには誰かに寄り添える気持ちもちゃんとある。

思い出してる あの時僕に
希望をくれたともしびの星座
見上げるだけじゃ
もう何も返せない 繋ぐタマシイ

注3

繰り返されてく物語
照らしてみせるのさ 今度は誰かを
君とだから行けるんだ
微笑み合った 茜の中で

注4

「思い出してる あの時僕に」「繰り返されていく物語」は、自然と今までの自分を思い出しているし、続く「照らしてみせるのさ 今度は誰かを」は明確に行動へと移っていくのが分かります。特に注目したいのが、前者の今までの自分を思い出しているという事です。『UR葉月恋』で言えば、ゲームが夢中になってやめられない恋ちゃんに対して、自分もテスト勉強をしなきゃいけないのにスクールアイドルの動画を見たくなってしまうと話す場面だったり、オススメされたゲームを一通り遊んだりと、その人の気持ちに寄り添う姿勢がここで思い起こされます。

そう、自分も似たような経験をした事があるから、ちゃんとその人の気持ちも理解できるし、「君とだから行けるんだ」「君」と同じ目線に立つ事ができるんです。そういう誰かの気持ちに寄り添える「熱さ」である事がここで言えると思います。

また、「茜の中で」は夕暮れを描いているのと同時に、メイちゃんの「熱さ」が誰かに伝わった場面と言えると思います。『UR葉月恋』の中でも、なかなか自分の想いを伝えきれずに思い悩む恋ちゃんと会話する音楽室のシーンも「夕暮れ」となっているのもこの辺りに当てはまって来る。その意味で、恋ちゃんもメイちゃんの「熱さ」を自然と受け取っていたと言えるかもしれません。

■ちょっぴりの厳しさと優しさ

でも、その寄り添える「熱さ」には、ちょっぴりの「優しさ」と同時に「厳しさ」があるのも良い。

メイちゃんは『UR葉月恋』の中で、ゲームにハマる恋ちゃんに共感はするけれど、具体的にどうしたらいいとか、かのんちゃんを始めとしたLiella!メンバーにどう向き合ったらいいのかという解決方法は明言するのを避けているような印象があります。前半の共感する部分が「優しさ」であり、後半の明言を避けている辺りが「厳しさ」に当たる部分だと思います。

そんな相反する気持ちがよく出ているのが、『茜心』のラスサビあたりです。

変われない自分を責めたりしないで
本当の願いを見せて
いまなら叶うさ 独り言のように呟いた

注5

間違いじゃないから曲げないよ
信じたいもの信じていくのさ 強く
欠片になった遠い過去も
大切に抱きしめて

注6

「君とだから行けるんだ」とあったものの、この抜き出したパートは、誰かに向かって投げかけているようで、自分自身にも問いかけているようにも読めると思います。特に、「独り言のように呟いた」り、自分に言い聞かせるように「信じたいもの信じていくのさ」という表現には気持ちがせめぎ合っているニュアンスを感じます。

では、そんな気持ちの葛藤はどこから生まれるのか?それは、「君の情熱茶化さない 思ったままでいいよ」という言葉がブーメランのように自分の所に戻ってくる苦しさだと思います。

間違いじゃないなら曲げるなよ
信じたいもの信じてればいい 熱く
君の情熱茶化さない
思ったままでいいよ

注2

自分の好きなものを信じるという事は逆に言えば、自分の気持ちが誰かの気持ちを傷付けてしまう事だってあるはず。メイちゃんが恋ちゃんに対して、具体的なアドバイスを避けていたのはここが理由なのかなと思っています。恋ちゃんがゲームに夢中になっている気持ちが分かるからこそ、「色んな事に支障が出ているならゲームはやめた方が良い」と言うことは、恋ちゃんの「好き」の気持ちを否定する事に繋がってしまう事だって十分にあり得た訳です。(素直な恋ちゃんがそう言われた時のリアクションも見てみたさはある)

結果的に、物語としてはハッピーエンドではありましたが、メイちゃんの一言が予想外の展開を生んでいた可能性もあると思います。そう、自分が良かれと思った起こした行動、言葉が誰かの気持ちを損なう可能性だって否定はできない。時にその「熱さ」、望まない衝突を生んでしまうかもしれない。

誰もいなくなった夕暮れ時
寂しさよりも明日感じてく いつも
描いているんだヒカリだけ
火傷しそうな茜心で

注7

そういう「熱さ」が持ってしまう危うさが「火傷しそうな茜心」には絶妙に表現されていると思います。

だからこそ、メイちゃんは具体的なアドバイスを避けて、あくまで恋ちゃん自身で解決の糸口を探させようとしている印象に見えるのかなと。それは、ゲームが好きな自分の気持ちとしっかり向き合って欲しいメイちゃんならではの「優しさ」であり、「厳しさ」を感じられる姿とも言えます。だって、好きなものはその人にしかない「宝の地図」なんですから。


誰かの気持ちに寄り添いつつも、でも、その人を好きを思いやる気持ちを持ったメイちゃんの「熱さ」にはやっぱり憧れちゃいます。と、気付いたら、僕も恋ちゃんと同じくメイちゃんの「茜心」をバッチリ受け取っていたみたいです。

▼注釈
注1〜注7 Liella! 『茜心』作詞 宮嶋淳子

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