『中原昌也作業日誌 2004→2007』研究 〜中原昌也と627人の日々〜
『中原昌也作業日誌 2004→2007』で、中原昌也が約三年半の間に、会ったり、電話したり、メールしたり等何らかのコミュニケーションをとったと明記してある人が何人いて、一番コミュニケーションをとった回数が多いのは誰なのかということを調べた。
そもそも、『中原昌也作業日誌 2004→2007』とは何なのか?この本は、作家・ミュージシャンの中原昌也が、3年半に渡って書き続けた日記を書籍化したものである。元々は、雑誌『EYE SCREAM』に、「親指王子ケイタイ日記」として連載されていたらしい。
元々は紙媒体しかなかったが、2019年よりKindle版も発売された。
何が書いてあるかというと、まずはCD、レコード、DVD等の膨大な購入リストである。しかも、あくまで僕個人にとってだが、そのうちのほとんどは見たことも聞いたこともないものばかりである。
あとは、いかに小説を書く仕事が辛いか、どれだけお金がなくて困っているか、どれほど生活リズムが崩壊しているか、アパートのゴキブリをどんな風に殺したか、街で見かけた女子高生が妙に可愛くてどんなにドキドキしたか、といった本当にどうでもいいこと、あるいは泣き言ばかりが書いてある。
こんな本を読んでいて楽しいのか、というと冗談みたいにこの世の終わりかっていうほど楽しい。ついでに涙が止まらない。ほとんど嗚咽。歯磨きしながら倒れそうになるような。便座から立ち上がれなくなるような。ケーキ屋に放火したくなるような。体験。どうしようもなく途方もない傑作である。世界文学史上の最高傑作で、ノーベル文学賞と物理学賞と平和賞を300回与えて紫綬褒章を輪切りにしたものを添えたとしてもまだ足りない。
中原昌也作業日誌がいかに優れているか、というのは2008年にBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した際に、小説家の高橋源一郎氏が書いた選評(https://www.bunkamura.co.jp/s/bungaku/winners/18.html)を読んでいただければ分かると思うので、そこは深く掘り下げない。
はじめに書いた通り、今回着目するのは登場人物である。
この本には膨大な数のCD、レコード、DVD等の購入リストとともに、中原昌也と交流のあるたくさんの人物が出てくる。僕はこの本を読むたびに、彼の交友範囲の広さに驚かされた。「こんな人まで!」という大物もいれば、「誰だよこいつ!」という一般人まで、3年半の間にものすごい数の人と関わっている。
何度か読んでいると、誰と仲が良くてよくつるんでいるのかが分かってくる。例えば作家の阿部和重、映画監督の青山真治などは、頻繁に出てくる。また、仕事の関係で様々な雑誌の編集者とも会う。
ふと思った。これ、誰が何回出てきたかを数えて集計したら、結構面白いんじゃないか?
そこではじめに書いたような集計をすることにした。集計するにあたって設けたルールは以下の通りである。
・会った、あるいは、メール、電話等でコミュニケーションをとったと明記されている人物のみカウントする。名前だけが出てきた場合はノーカウント。
・1日に2回以上コミュニケーションをとっても、1カウント。
・この会合に参加したからには、この人には会っているだろう、等の推測ではカウントしない。日記の記述からはっきり読み取れるものだけカウントする。
それでは結果報告、まず合計の人数は627人でした。3年半で、芸能人、小説家、音楽家、一般人など、627人と関わっていました。
僕の個人的な感覚では、かなり、ものすごく多いと思いました。
あなたなら、3年半もの間に、627人もの別の人間と関わることができますか?SNS上でやり取りするとかではなく、実際に会ったり、仕事したり、遊んだり……
彼の活躍する分野が多岐に渡るとはいえ、これはものすごいことだと思いました。
そして次に、誰と何回関わって、その回数が一番多かったのは誰かというのを載せようと思います。
回数が少ない人から、ひたすら羅列します。本家作業日誌を意識した、羅列の暴力をお楽しみください。
また、人名の敬称の有無は、作中の表記をそのまま採用しているものもあれば、僕が気分で書き換えたものが混じっています。なんていい加減なんだと自分でも思います。ごめんなさい。しかし言い訳するようですが、作者自身も、知り合った頃は「さん」づけしていたのに、途中から「くん」になって、果てはあだ名になるといったようにかなり揺れがあります。だから許してください。また、人名の横に()でその人の所属とか、特徴とかを書いている人もいます。それは全て僕が集計しやすくするように書いたものです。諸々含めて、僕と作者中原昌也の恣意によって生まれた混沌です。ちなみに順番も適当です。それではいきましょう。
1回(341人)
文學界Nさん、川嶋さん(キーボード)、下田さん(サイレント・ポェッツ)松山さん(スタボイ前編集長)、林さん(DUNE)、大西祥平、扶桑社のTさん、小堺さん(インキャパシタンツ)、大竹さん(19)、遠藤さん(19)、ティム・バートン、戸田奈津子(通訳)、山崎圭司(ライター)、田名網敬一(オーガナイズ)、相原信洋、小川くん(イラストレーター)、小比木さん(デザイナー)、寺尾くん(友人)、樋田くん(友人)、ジュナちゃん(宇川くんの奥さん)、マーヴィン(マンダラ支配人)、河出Aさん、河出三田さん、清野栄一、仲俣暁生、サラーム海上、エルスールの原田さん、伊藤政則、スケシン、英次くん(COMA)、斉藤さん(エイベックス)、木野さん、神取さん(高橋ヨシキの友人)、内田さん(歯科医院看護婦)、中西さん(リトルモア編集者)、高橋透、チャック・M、モリトくん(宇川さんアシスタント)、ピーター・バラカン、高橋健太郎、栗野さん(イベント関係者?)、伊藤英嗣、シリル・デュヴァル、河出須川さん、井上さん(CREA)、星野智幸、純くん(友人)、柄谷行人、福田和也、寸くん(?)、佐藤さん(友人)、森田さん(友人)、ゲッツ板谷、白沢さん(小樽の人)、ジェフ・ミルズ(?)、桂さん(?)、塚本さん(女)、月永くん(友人)、常磐響さん、エガイツ、久保憲司、佐々木さん(?)、若島正、永江さん、岡本敏子、ベッキー(あのベッキーではない)、大幹くん、島本さん(relax編集)、蔵さん、尾野さん(友人)、佐藤寿保監督、朝倉さくら、こうくん、スチャダラ アンさん、酒井くん(?)、永田さん(トランソニック)、ナベちゃん(キューンソニー)、富樫くん、上野さん(タナカフミヤマネージャー)、マウス・オン・マーズ、坂本さん(梅本洋一妻)、広石さん(元ソニー)、叶井俊太郎、庄内さん(ONSA)、原さん(HEADZ)、石井さん(フールズメイト)、中村愛美、ヤン、アンディ、東さん(?)、越美晴、大矢くん(映画秘宝)、佐藤江梨子、田口さん(円盤店長)、鹿内さん(映画宣伝)、榎本さん(東京テアトル)、松谷さん(キャプテントリップ)、吉村萬壱、辻川幸一郎、山本さん(ナウオンメディア)、日仏坂本さんの夫(フランス人)、宮原さん(サーファーズ・オブ・ロマンチカ)、坂本歩美、黒沢清の妻、Maki(DMBQ)、西浦真奈(DMBQ)、西部先生、佐藤さん(元スタボイ)、富岡さん(表現編集長)、桐野夏、木村さん(映画)、田中さん(オルガンバー)、田中さん(オルガンバー)の妻、ZAKさん、大野さん、大野さんの妻、椹木野衣、椹木野衣の妻、奥泉光、土田くん、川部さん(図書室)、渋谷さん(レコードコレクター)、海老根さん(?)、Cana(ゴスバー)、木原さん(耳袋)、青木さん(Officeファン)、デヴィッド、大竹さん(ユーロスペース)、榎本さん(TVブロス)、高橋良平、本田綾、平塚さん(バンド?)、ユンキーのお姉さん、弘石さん、みうらじゅん、怒髪天増子の兄、伊藤清美、パトリック、鏑木さん、井上さん(外資系)、ツッチー(シャカゾンビ)、高橋さん、波多野(Title)、三上寛、田中さん(メイク)、たむらさん(カメラ)、中村さん(照明)、康さん(?)、矢作俊彦、西成彦、北村龍平、竹田賢一、オニ(あふりらんぽ)、小出さん(シティロード編)、平沢くん(知人)、荒井(スタボイ編集長)、サブ・ポップ社長、菊池さん(デートユースペンタゴン)、南部(電撃ネットワーク)、近藤さん(朝日新聞)、川崎さん(米国音楽)、カトマン、ひよこさん、J・T・リロイ、アーシア・アルジェント、愛ちゃん、辻村さん(日テレ)、斎藤陽子、YOYO、ラランヌ、中山さん(キューンソニー)、小田さん、日暮愛葉、ケイちゃん(日暮愛葉友人)、猪野さん(Switch)、EYESCREAM編集長稲田の妻、山本直樹、関根さん(プラスチックモデル)、進藤さん(デザイナー)、川勝さん、ダミー&オスカー、江木さん(小説新潮)、田中雄二、マコさんのマネージャー、スチャダラ シンコさん、川辺さん(ソウルセット)、ビッケさん(ソウルセット)、黒田さん(新潮デザイン)、ムーグ山本、中西俊夫、勝井さん、柳美里、仲畑貴志、秋山道男、A.I、斉藤さん(ノリちゃん友人)、Sachiko M、山形浩生、生西くん彼女、森本さん(パリ)、バタやん(編集者)、鈴木くん(高校)、不二子さん彼氏、百々さん(モーサム・トーベンター)、本田さん(俳優?)、古井由吉、町田さん(毛皮族)、伊藤さん(美学校)、佐藤さん(ラストラム)、毛利くん母、清水ふこお、渥美ちゃん姉、坂井さん(友人)、岸野さん(日仏)、浦谷さん(宣伝)、内藤さん、加藤くん(Office寺本友人)、川上さん(CDジャーナル)、デラウェア、葉上さん(映画)、田中登監督、伊藤さん(ミラクルヴォイス)、野本さん(青山組)、岡村詩野、小田晶、長谷川さん(担当)、ユンキー、七尾旅人、デイヴ・フィリップス、延永さん(電子雑音)、梅ちゃん(ラスベガス・ピンクレディ)、鹿田さん(電子雑音)、東玲子、田口トモロヲ、佐野史郎、LKO、上野牧子、大西くん妻、古川日出男、伊藤篤宏、西山さん(HEADZ)、マイク・ミルズ、高山くん(ホイ・フードゥ)、高橋さん(デザイナー)、田村くん(美人カメラマン)、大島さん(?)、真美ちゃん(AV女優)、ツァイ・ミンリャン監督、リー・カンミョン、三田村さん(俳優)、牛久保くん、山田さん(翻訳)、ロフトプラスワン多田さんの妻、大畑監督、黒岩さん(nobody)、角井くん(学生)、柴田さん(フランス映画)、小山さん(宮崎あおいマネージャー)、星川さん(cisco)、松岡俊介(俳優)、山咲トオル、眞鍋かをり、野呂圭介、白坂依志夫、岸部一徳、渡辺武信、真鍋さん(脚本)、梶本さん( BABYRECORDS)、聖咲奇、ユルグ・ブットゲライト、保坂和志、ホウ・シャオエン、マルコさん(カンヌ)、ワタリウム社長、フィリップ・ガレル、フィリップ・ガレル娘(7歳)、川上弘美、江國香織、クリストフ・シャルル、篠原さん(プレノンアッシュ)、城戸さん(プレノンアッシュ)、鬼頭さん(編集)、柴崎さん(群像)、村田くん(狂うクルー)、ヨシミちゃん、石田昌隆、山野一、半野田拓、玉山鉄二、石田えり、久下さん(ドラム)、高山さん(マリ・クレール)、坂口さん(デックス)、足立正生監督、JUNKOさん、小松さん(我々)、豊田さん(?)、山口小夜子、ラッセさん(ノイズ)、瀧見さん、Tsuchie、キタキマユ、松岡監督、コフィン・ジョー、峰元さん(カメラマン)、福居ショウジ、大森さわこ、金谷さん、中村さん(ピーススタジオ)、石野卓球、デヴ・ラージ、福永信、スティーブン Sunn O)))、グレッグ Sunn O)))、金原ひとみ夫、浅田さん(カメラマン)、広田レオナ、飯田さん、町山智浩、三留まゆみ、歌丸、柳さん(新潮クラブ)、鉄平さん、クリストフ(早稲田留学生)、アダム(ビースティ)、細川さん(?)、伊藤(元シネヴィアン)、松井良彦監督、安岡さん(映画)、山本さん(映画)、せい(ボノボ)、アンソニー(ボノボ)、町田ひらく、宇波さん(HEADZ?)、萩原さん(HEADZ?)、五所さん(ライター)、古澤監督、牧野くん(湯浅湾)、荒戸源次郎、上杉清文、東野ようこ、藤原さん(カメラマン)
2回(111人)
坂本さん(梅本洋一妻)、島森さん(広告批評)、坪内祐三、田野さん(MSBR)、ウィリアム・ベネット(WHITE HOUSE)、フィリップ・ベスト(WHITE HOUSE)、秦野さん(ライター)、屑山さん(トラッシュマウンテン)、小山田圭吾、小川くん(CICADA)、岸野雄一、宇川くん、北野篤くん(友人)、石黒くん(イルドーザー)、ムードマン、河出水越さん、野田努(remix 編集長)、吉田さん(COMA)、山崎監督、藤原章監督、野田さん(キャロサンプ)、松永さん(スマーフ男組)、西村さん(CISCO店長)、長嶌さん(DOWSER)、堀口さん(米国音楽)、今井さん(知り合い)、斉藤陽一郎(俳優)、升野浩一、山下さん(?)、村松くん(学生)、高橋ヨシキ妻、松村監督、中山さん(タコシェ)、しまおまほ、福井くん(高橋ヨシキ友人)、ナディアさん(通訳)、藤本さん(エロビデオ)、細野さん、三輪ひとみ、マゾ山崎、原雅明(映画宣伝)、薮下さん(ソニー)、伊藤さん(?)、土肥ゆきよ、佐々木さん(FADER)、山口雄大監督、大竹伸朗、藤田さん(SPA!)、寺本くん(office)、ナオ(元シーガル)、ECDさん、ジャスティン、山口さん(デスメタル)、ライムスター宇多丸、坂口さん(トラッシュマウンテン)、戸田、岡田茉莉子、増子さん(DMBQ)、木全公彦、生悦住さん(モダン店長)、佐藤さん(スタボイ)、江戸木純、石坂さん(群像編集長)、浅田彰、長島有里枝、乾貴美子、大谷さん(乾さんの旦那)、田中さん、野界くん(クララレコーズ)、手塚眞監督、岡田さん(モダンミュージック)、妹尾さん(カボシャール)、リトルモア社長、本田さん(元松竹富士)、彦江智弘、小沢さん、佐々木監督、樽本さん(国書刊行会)、伊橋さん(元大映)、村杉さん(大人計画)、渡辺電機、和久田さん(白水社)、女池監督、宇田川幸洋、吉田さん(ガバメントアルファ)、末永さん(エロ本)、清水博子旦那、佐藤さん(カプコン)、斎藤さん(ゲームデザイナー)、大場しょう太、山本均、塩田監督、友成純一、金井美恵子、金原ひとみ、上野昴志、岡林さん(UGマン)、メイヨ・トンプソン、谷口さん(UGマン)、山口さん(群像)、桃子さん(早稲田)、下田さん(早稲田女子大生)、岡田利規、光石研、おにんこ、John Hegre (JAZKAMER)、Lasse Marhaus (JAZKAMER)、長谷川さん(Astro)、柳下さん妻、ピカチュウ(あふりらんぽ)、大川さん(文學界編集長)
3回(61人)
土屋恵介、梅ちゃん(カメラマン)、塩田さん(カメラマン)、工藤キキ、赤坂大輔、村松さん(スマーフ男組)、山本くん(早稲田の学生)、絓秀実、五木田さん、宇川直宏、小野島大、永田さん(ライブハウス?)、品川さん(スタボイ)、工藤さん(?)、中原翔子、大西くん、ロマン優光、シロー・ザ・グッドマン、竹田さん(QJ編集)、YOONKEE、コンピューマさん(スマーフ男組)、東森さん(ビートインク)、中村達也(ブランキー)、紗和さん、石原さん(ゆら帝プロデューサー)、豊崎由美、遠山さん(映画)、藪崎さん(FADER)、岡田さん(フィルムセンター)、西尾監督、中森明夫、掟ポルシェ、成田さん(ハイライズ)、クラミツくん、筒井武文、有馬さん(モダンミュージック)、アヤちゃん、完ちゃん妻、とよた真帆、ウェス・アンダーソン、壱岐さん(entaxi)、山田広野、秋桜子、いまおか監督、宮城さん(関西の友人)、渥美ちゃん(土建屋)、尾崎さん(ロフトプラスワン)、海猫沢めろん、雄也さん(ダーリン)、高崎さん(映画ライター)、中村航、西尾くん(大阪)、大和田さん、フィリップ・アズーリ、湯川さん(映画宣伝)、エミリー、元カノ、東野祥子、瀬尾さん(猫目)、ダンさん(イギリス人)、柴崎友香
4回(25人)
松田政男、美川さん(インキャパシタンツ)、樫原さん(ピンク映画)、ギンティ小林、大友良英、前田さん(友人)、河出尾形さん、直井さん(アップリング)、町田康の妻、湯山玲子(Switch編集)、北尾さん(太田出版)、山田詠美、蓮実重臣、JOJO広重、山崎さん(?)、宮崎あおい、阿部和重の妻、渚ようこ、安井豊、大森望、中村さん(未来社)、佐藤さん(川崎市民ミュージアム)、田畑さん(美人編集)、市山さん(フィルメックス)、山口くん(湯浅湾)
5回(22人)
高木さん(文學界)、めーちゃん、角田光代、島田雅彦、田野辺さん(映画秘宝)、筒井康隆、浅井さん(太田出版)、羽鳥くん(友人)、坂本さん(日仏)、小林さん(映画宣伝)、芝山幹郎、声ちゃん、佐藤睦雄、秋田昌美、リリー・フランキー、荒川良々、秋田昌美の妻、川瀬陽太さん、生西くん(ライブ主催)、大里俊晴、煙巻ヨーコ、川上未映子
6回(18人)
井土紀州、森さん(ナチュラル・カラミティ)、磯部涼、五味さん(ペインジャーク)、大寺さん、大嶺さん(リトルモア)、寺西さん(講談社)、市川さん(早稲田文学)、町田康、継田くん(友人)、荻野さん、坂本慎太郎、岡田さん(oka-chang)、灰野敬二、イチコ(TVブロス)、杉山彦々、井口昇監督、黒住光
7回(12人)
新潮風元さん、冨永監督、青土社宮田さん、多田さん(ロフトプラスワン)、伊東さん(タコシェ店長)、不二子さん、滝本監督、湯浅さん(?)、佐藤さん(プロデューサー)、渡部直己、美人編集者お桑どん、デモ田中
8回(3人)
吉田豪、佐々木敦、河村くん
9回(3人)
高橋洋(映画監督)、清水博子、長嶋有
10回(3人)
高橋源一郎、黒沢清、鈴木則文監督
11回(2人)
モブ・ノリオ、平山夢明
12回(5人)
浅野忠信、相川氏(カメラマン)、完ちゃん、梅本洋一、ジム・オルーク
13回(2人)
毛利さん(友人)、篠崎監督
14回(1人)
スタボイ松村さん
16回(1人)
加藤木さん(新潮社)
17回(1人)
山辺さん(ロスアプソン)
18回(2人)
西島秀俊、蓮實重彦
20回(2人)
荒井晴彦、桑原あつし
21回(2人)
丹羽哲也(文藝春秋)、池谷さん(小説トリッパー)
26回(1人)
新潮矢野さん
27回(1人)
稲田さん(EYESCREAM編集長)
30回(1人)
ノリちゃん
46回(1人)
清水さん(文學界)
50回(1人)
柳下毅一郎
51回(1人)
SPA!担当者生田くん
53回(1人)
樋口泰人(boid)
56回(1人)
高橋ヨシキ
62回(1人)
阿部和重
80回(1人)
青山真治
トップテンを整理すると、以下のようになります。
1位 青山真治 80回
2位 阿部和重 62回
3位 高橋ヨシキ 56回
4位 樋口泰人(boid) 53回
5位 SPA!担当者生田くん 51回
6位 柳下毅一郎 50回
7位 清水さん(文學界) 46回
8位 ノリちゃん 30回
9位 稲田さん(EYESCREAM編集長) 27回
10位 新潮矢野さん 26回
青山真治さん、おめでとうございます!半分終わった段階では、阿部和重さんがトップでしたが、そこから怒涛の勢いで巻き返し、終わってみればダントツの優勝でした!
さあこの結果から、僕たち私たちは何を得ることができるか?というよりそもそもこの結果に信憑性はあるのか?
正直きちんと漏れなく数えることができた自信はありません。まず、同じ名字の人が多すぎました。例えば、佐藤さんは何度も出てくるのですが、少なくとも1人ではなく何人かの別の人物です。しかし、それがどこの誰かきちんと書いてある場合もあれば、単に「佐藤さん」とだけ書いてあるときもあり、「どこの佐藤だよ!」と内心キレながら作業をしていました。そういう時は、「この佐藤でいいや」と適当に数えているところもあります。ですのでデータとしての正確さには大いに疑問があると言わざるを得ません。
また、実際にはここで出た結果よりも多くの人に会っているとも思います。なぜなら先ほども述べた通り、今回の集計は、文章中に明記されている人しかカウントしていないからです。ここに書いている以外にも沢山の人に会っていると思います。
ここからは雑感です。結局この本には627人(著者を含めれば628人)もの登場人物がいます。これは冷静に考えてみるととんでもない数字です。例えば小説で、登場人物が628人もいたら、みんな怒りますよね。覚えられるか!
それでもこの本には、それだけの人物がいる。なぜかというとそれが事実だからです。そして本になっている。なぜ小説だったらみんな怒るのに、この本の場合は誰も怒らないのでしょうか。誰も読んでないから?いやそんなこと言っちゃったらどうにもならない。現に僕は泣きながら読みました。その理由の鍵を握るのは、この本を読んでいる時の脳の使い方だと思います。
普通小説を読むときに使う脳を、この本を読むときは使っていません。なぜならそこに書いていることのほとんどは、知らないことだからです。知らないCD、知らないレコード、知らないDVD、知らない映画、知らない店、知らない本、知らない人。知らねえよ。知らんし。知らんわ。あほ。ぼけ。かす。
ふつう、小説だと、知らない人が出てきても、しばらくその人がいて、誰かと話したり、何かをしたりするので、しばらくすると、知っている人になります。
しかし『中原昌也作業日誌 2004→2007』の場合は、知らない人や知らないものが出てきても、ほとんどがその一瞬だけ登場してすぐどこかに行ってしまいます。繰り返し出てくるのは、先ほど紹介した上位の人々くらいです。
「知らない」の数が少なければ「知っている」にするために脳を使うこともできます。しかしあまりにも多すぎるので、読者はその努力を早々に放棄せざるを得ません。あるいはそもそもこの本を読むことを放棄します。それでもこの本を読み続ける場合、読者は「知らない」の洪水に飲み込まれます。
これはある意味とても楽です。なぜなら頭を使わなくていいから。
人間、できれば頭を使いたくありません。だからYouTubeを見ます。
しかしYouTubeは頭を使わない代わりに、目を使います。そして結構疲れます。しかも嫌な感じに疲れます。
しかし『中原昌也作業日誌 2004→2007』を読んでいるとき、本当の意味で頭を使わずにすみます。それは、奇跡です。この世界で今生きる上で得られる、数少ない本当の奇跡です。
また、検索ワード一つで、自分の興味・関心のあるものに出会える現代社会では、自分が全く知らなくてしかも興味も関係もないものに大量に出会うことのできる機会は、ほとんどなくなってしまいました。その体験が唯一できるのが、この『中原昌也作業日誌 2004→2007』です。
そして、だからこそ、時々出会う、「知っている」ことが輝きます。
開口一番、「人生辛いことばっかりだよね」という話になり、思わず涙が溢れ出てしまった。と同時に端から見れば、何なんだこの人という光景だろうと思うと爆笑してしまった。しばらくゲラゲラ笑いながらボロボロ泣いた。 『中原昌也作業日誌 2004→2007』
あ、これは「知っている」。そして僕も泣いてしまう。
こういうところを読むと、「小説」しているじゃん、と思ってしまう。
長くなりました。『中原昌也作業日誌 2004→2007』の奇跡が分かっていただけたでしょうか。いやどうなんだろう。まだまだ書くべきことが残っているような気がします。しかし今の僕にはこれが限界です。他にどういう調査ができるか、と考えるとやはり、中原昌也の購入したものを全てリスト化し、合計金額を調べる……なんてことができそうですが、さすがにやりたくありません。
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