外泊を勧められると困る家族
多世代同居の家庭の場合
リハビリテーション科で入院の患者さんは社会復帰を目指していますので、退院後の生活様式を想定した訓練を行います。
ただ、病院の中の想定では現在があるので外出外泊を段階的に行うのがほとんどです。
外出外箔を進める前に
入院している患者さん達は当初はもちろん家に帰りたい気持ちでいっぱいです。
それが、自分が思うように体が動かないのがわかってくると、家族への迷惑を考えるようになります(病院のスタッフへの気遣いは少なくても家族へは高齢の方はえんりょしているのです)
逆に体が動かせるような人に、どうして家に帰れないかを説明するのは本当に難しいです。
さて、伝え歩行であっても歩行を獲得して、自宅での生活を試みようと外出外泊を勧めようとすると、ご家族は拒否される場合があります。
家に帰ってだれが見てるの、どうやって車に乗せるの、何を食べさせたらいいの?
病気になる前の人間関係が継続する
家庭はみんな仲良し幸せというわけではありません。
反対した結婚、うまく行かない仕事、洗面台、お風呂、玄関の使い方が違うところを何とかすり合わせて生活していたのです。
それも、経済的、身体的な自立がまあまあ果たせていたから。
外出外泊の勧めをきっかけに家族の気持ちを聞くことができます。
それまで良くなったら自宅へと言っていた家族の本当の気持ちを聞くことができるのです。
家にいるときは何でも自分でできていたから、そのレベルではないと一緒に生活できない
奥さんやお嫁さんに強い言葉をかけていたから、もう受け入れられない(自分で自分の面倒みられない患者さん(家族)を介護することは出来ない。
こちらとしても、若い世代の仕事もあるよね、子供の学校の行事も、そして奥様の体調が悪いのもわかります。
それまで、リハビリがんばってと話していたのをいきなりリハビリがんばっても家には帰れませんと方向転換することもしばしば。
でも一回は家に帰りたい
患者さん自身の気持ちはどうなのでしょうか。
自宅には戻れず、施設や療養型の病院へ行く人も一回は自宅に帰りたいはず。
だって、骨折や脳卒中は突然起こります。
あの日をきっかけにまさか自分が住み慣れた家に帰らずに一生をおえるとは思っていないのです。
そういう方の家族にも外出や外泊を勧めることがあります。
最後の自宅ステイとして外出、と思って勧めます。
これがなかなか理解が得られない。
もし一旦帰ったらもう病院に戻らなくなるかも、そのまま居着いてしまって在宅介護が始まるのではないかと恐れる家族は案外多いのです。
一緒に暮らしながら、不満や恐れを感じていた家族の方はもちろん、遠くからいらした娘息子も外出を嫌がります。
以前の威厳のある両親の思い出があるのかもしれませんが、今は骨折や脳卒中で衰えた体になった高齢者はそこまで元気ではありません。
家族に促されるまま、家の玄関から入るものの、帰る時間は大丈夫か?
先生に約束したんだから遅れると悪い、と数時間の外出も早々に切り上げて病院に戻ってくる方が多いんです。
もうおうちに帰さないなんて言わないで、短時間お家に連れて行ってあげてください。
最後の家の時間をちょっと元気なうちにつくってあげてね。
病院のスタッフは患者さんのお帰りをお待ちしています。
その日きっと患者さんは疲れるけれどよく眠れるでしょう。