見出し画像

 女性が集まればミステリー~「木曜組曲」恩田睦著~

#読書感想文
kindleアンリミで読んだ一冊です。
恩田睦さんは今まで読んだことがなかった。
一人の作家が自殺して、ゆかりのある女性4人が集まって命日に故人をしのぶ。
4人とも書くことに関連した仕事をしている.
しかも、作家の枠を超える力はないことを自覚している。

優秀な人の近くにいて、自分に能力が十分にないことを自覚するのは辛い

特に血縁だったり(兄弟姉妹とか)、一緒の職種だったりすると余計にモヤモヤする。
これは、途中までは一緒だったからではないでしょうか?
兄妹なら生まれたときは皆同じ。
職場も初日から差がついているわけではない。
優秀な人は普通に優秀だから、レベルが下の人を意識していない。
偉ぶってもいない。ただできてしまうだけ…

頼りにしている人を憎む

お母さんは子供の世話をする。
子どもが傷つかないように、大きく成長できるように。
お母さんさえいれば守ってもらえると思っていたのに、実際社会に出るとお母さんは守り切れないのよ。
そうするとどうして守ってくれないの!どうして助けてくれないの!
こんな私にしたのはお母さんなのに…とばかりに自分を育ててくれた人を憎む娘、息子。

愛憎半ばの残された4人の芝居じみた数日間が描かれています。
著者はもしかすると、編集者に憧れがあるのかもしれません。
それが謎を解くヒント。

女性のネガティブを描く恩田睦さんの仕掛け

男性が読んで面白い本ではないと思いますが、大家族に育った人、才能ある人の近くで生活している人ならだれでも感じるネガティブをそれぞれの登場人物に振り返らせています。
明るい気持ちでなく、自分の周りの関係性を深掘りしたくなる、エンターテイメント作品です。
ぜひお読みください。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集