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ガンバレ!の言葉が届く話

「ガンバレ!」という言葉に看取りのことを思い出しました

ガンバレという言葉をオリンピックを観ながら使っています。
見ごたえありますよね。開会できてよかった。アスリートの真剣な表情を見ていると、何かを為すというこの大切を感じます。
特に柔道は試合時間も短いのでずっと「ガンバレ、ガンバレ…」と繰り返しておまじないのように唱えています。

この言葉、病院に勤務していて、患者さんの急な状態悪化(いわゆる急変)の時にも使っていました。
長期療養中の患者さんでは、呼吸が止まった時に積極的な処置を何もしないと決まっていることがあります。付き添っていたご家族が、たまたまシャワーを浴びに短時間だけ離れて、その時の呼吸停止の時に、このおまじない「ガンバレガンバレ…」を唱えていました。
家族の方はもうすぐ来る、向かっているよ、もうちょっと「ガンバレガンバレ…」
看取りが頭に描いているようにできることは少ないのですが、ご家族は今まで生活を共にして、一緒に病気と闘ってきた同士ですから家族のため「ガンバレガンバレ…」

聴覚は最後まで残ると言われています。心臓マッサージや酸素の増量をしないときにも、耳元で「ガンバレガンバレ…」

当直の深夜だったか、朝方だったか、全科当直でしたので、今まであまり縁のない患者さんを看取ることがありました。主治医としてでなく、生きているこの世界の最後の応援者として、「ガンバレガンバレ…」と言い続けたこともあります。そんな時は家族の方が間に合わなくても、不思議なつながりのようなものが感じられました

今回のオリンピックも実際に会場に行くことが出来ないで、残念な思いをしている家族や仲間がいるでしょう。

ガンバレガンバレ…の声は届くと思っています。


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