高次脳本の感想
当事者、鈴木大介さんと高次脳機能障害の専門家、鈴木匡子先生とのコラボ本がでました。
壊れた脳と生きる
高次脳機能障害「名もなき苦しみ」の理解と支援
ちくまプリマー新書
先日、鈴木大介さんの「脳こわさん支援ガイド」の読書会に参加しました。もともとのファンで高次脳機能障害についての本はすべて読んでいます。
鈴木匡子先生は私がお手伝いしている支援センターの顧問ですので、親しみがあります。
障害者の側の意見、意識が書かれています。
認めてほしい気持ちとレッテルを張られたくない気持ち、矛盾しているようですが、両方抱えている高次脳機能障がい者。
支援者にとっては新しい気づきがあります。
例えば、大声を出した後、暴力をふるった後の嫌な気持ちについて、死んでしまいたい、落ち込むと語っています。
私の周りの高次脳機能障害のある方は家族と社会に出たときの対人対応が全く違う人が多いので、家族へ強い当たりを繰り返す彼ら彼女たちもそうなのかな。
障害者だからと許される場面ばかりではありません。
そこを突き詰めればよいのか、リセットをかければ良いのか。
対談の中で、匡子先生が大介さんの以前のつらい経験に対して良かったところはどこですかと問う部分が印象的でした。聞かれると大介さんも考える。自分一人で考えているとネガティブな思い出の繰り返しになってしまい、それが強化されていきます。良かったことも整理して思い出すことが大切なんです。
自分の脳の引き出しに良かったことを入れよう。
さすが、高次脳機能障害を知り尽くした匡子先生だからこその対応と感じ入りました。
お二人の言葉の選び方、事象のたとえ方が秀逸です。しっくりきます。
高次脳機能障害が多様な障害であることがわかる本です。
急性期、回復期のスタッフにおすすめです。もちろん生活の場でも。
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