赤くんと青ちゃん #シロクマ文芸部

小牧さんの＃シロクマ文芸部に参加させていただきます。
短い物語です。

🔴

赤青鉛筆で日記を書く。
青以がそう決めたのはかれこれ3ヶ月前のことだ。

○

12月25日
　郵便ポストに届いたプレゼント。この日記帳と一本の赤青鉛筆、そしてカードにはこう書いてあった。

お互い受験頑張ろう
　　　　　　　　　　　　　　　赤より

誰からだろう。このカードの文字はあったかいから、書いてみようと思う。私は青以だから、青を使おうかな。そしていいことには赤線を引こう。日記さん、よろしくね。

○

1月３日
　受験生にはクリスマスもお正月もない。お年玉は貯金する。
　この日記帳の向こう側に、あの贈り主の赤さんがいるとしたら、わたしたち、背中合わせに座って勉強してるみたいだな。そう思うとなんだか元気が出る。

○

1月３０日
　びっくりした。今日図書館であの文字とそっくりの字を見た。私の大好きな作家さんの本を気分転換にパラパラとめくっていたときに、ひらりと落ちてきたメモの文字。絶対赤さんだ。

○

２月１４日
　この世の中はハートとチョコレートで溢れかえっている。でも私は受験生。ハートとチョコレートより合格の文字が10000倍必要だ。

○

２月２８日
　ちょっと嬉しい発見をした。図書館のいつもの席に座ったら小さな落書きを見つけた。それは、ハートなんだけど、左側が赤で右側が青で書いてある２色のハートだった。この赤青鉛筆みたい。
　考えてみるとハートって２つの山。ぽいんぽいんと。それもなんか嬉しい。

○

３月８日
　合格だ！合格だ！合格だ！！
　嬉しくて、学校に報告に行った。
　日記さん、どうにかして、赤さんに知らせたいな。

○

３月１０日
　ねえ、日記さん、隣のクラスの赤井くん、去年図書委員で一緒だったんだけど、同じ大学らしいんだ。仲良くできるといいな。

○

赤青鉛筆で日記は続いていく。
青以の青春は今始まったばかり。