トイプードルダイアリー #シロクマ文芸部
愛は犬神家の長女として生まれた。長女、と言っても、上には三人兄がいるので、四人兄妹の末っ子に当たる。秋の気配が濃くなる頃に生まれた愛は、両親と三人の兄に囲まれてもこもこと温かく、スクスクと育っていった。
今振り返ってみると違和感を感じたのは三歳になった頃だ。物心ついた頃とでも言おうか、なぜだろう。みんなでお昼寝をして、お揃いの柄の洋服を着て、みんな同じおもちゃで遊んでいる、なのに、どうして私のごはんだけ、違うんだろうと思っていた。みんなと同じものが食べたいなと。
だからママにいってみた。お兄ちゃんたちと同じものが食べたいのと。するとママは困った顔をして「愛ちゃんは愛ちゃんのごはんを食べようね」といった。悲しかった。で、ママに内緒でこっそりとお兄ちゃんたちのごはんをつまみ食いしたら、おいしくなくってがっかりだった。よくよくみてみると、私は黒っぽいくるくるヘアなのに、お兄ちゃんたちは同じくるくるヘアでも少し明るいマロン色だった。みんなと一緒がいいのに。
あれから10年が経った。今はもう私だけが完全に違うことははっきりとわかっている。でも今もみんなと一緒だったらいいのにとちょっぴり寂しさが込み上げることがある。お兄ちゃんたちは今、いつの間にかすっかりとおじいちゃんになって、私の足元に全員揃って丸まっている。私は中学生になって、いつの間にかくるくるだった髪もまっすぐになった。今はセーラー服に似合うようにボブヘアにしている。
お兄ちゃんたちと明日は公園に遊びに行こう。
明日天気になあれ。
小牧さん、いつもありがとうございます。
文フリで大阪に来ています。
ホテルのお部屋にあるコーヒーマシーンに感動しております。
いただいたサポートは毎年娘の誕生日前後に行っている、こどもたちのための非営利機関へのドネーションの一部とさせていただく予定です。私の気持ちとあなたのやさしさをミックスしていっしょにドネーションいたします。