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タイガーマスクが教えてくれた

1982年。
青木真也さんが生を受ける一年前。

「タイガーマスクは誰だろう?」
僕は興味津々だった。

恐らくは、新日からメキシコに行った若手レスラー。小柄な体型だから佐山聡あたりではないか。
漠然とした思いを胸に、タイガーマスクを応援していた。

小林邦昭との対戦が楽しみだった。
タイガーマスクの四次元殺法に心を躍らせながらも、小林のマスク剥ぎに期待した。

ある日、父が買ってきたアブドーラ・ザ・ブッチャーの書いた本を読んでいると、
「タイガーマスクの正体は佐山聡」
という文字が目に入った。

その時のショックと虚無感は、今でも鮮明に覚えている。
知りたかったけど、答えに辿り着きたくはなかった。

現在では、様々なことがめくられている。
裏側が暴かれても、湧き上がるのは怒りや失望など負の感情ばかり。

僕は曖昧な状態で、想像を巡らせていたい。
めくられてしまう怖さを、タイガーマスクが教えてくれた。

翌1983年、タイガーマスクは突如引退し、テレビ番組でマスクを脱いだ。


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