新しい夢を見る

いつも、自分がこれまでと変わりつつあるときには見たことのない夢を見る。
これまで、カウンセリングを学び始めたときにも、ナンパをし始めたときにも、新しい夢を見た。この種の夢は大体一度見るとそれきり見ないが、何を見たのかをはっきりとよく覚えている。

書いた本二冊ともに出ている亡くなった祖母が夢に出てきた。
大きなガラス窓から公園が見えるドトールに祖母が座っている。
このドトールは現実にはないが、素晴らしいドトールだった。
窓際に面したカウンターから日差しが入ってくるのは、新宿三丁目のドトールに似ているが、窓の先に見える光景は緑の眩い公園だった。
新宿のドトールは交差点である。
祖母の隣の席に座るとこれが夢だとわかった。自分の目から涙が流れているのがわかったからだ。
夢から少し目覚めたことに気がついたあと、恐る恐る目を開いた。目を開きながら、枕に横向きに預けた頬を涙が伝っていることがはっきりと感じられた。
なぜ自分が泣いているのかはほんの少しだけわかった気がした。
祖母が亡くなる前に最後に会ったとき、僕は用事があってさっと帰ってしまったことを後悔しているのだ。あのとき祖母はもう帰ってしまうのかという顔をしていたが、祖母との最後であることと比べれば全く大したことのない用事に急いでしまっていた。

それなりの歳になっている自覚はある。こんな風に新しい涙が出ると安心をする。まだ自分には新しい感情を開いていく力が残っていると。

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