ふしぎなひと
ある人が、あなたは弱いねとわたしに言った。
たしかにそうだな。
その人はいつも、わたしのことをよくわかっていて、ほんとうのことを言う。
そういう人としばらくいたら、
すこし、けっこうつかれてしまった。
…
またべつのひとは、沈黙するひとだった。
わたしはいつも話しかけたいけれど、言葉はからだの内側に沈んでいく。
話しかけるかわりに、お互いの存在が二つにならんでいた。
おたくのこと、よくわかんない。
けど、同じ空間に、同じ時間のなかに、確実にいる。
そのひとといると、わかることや、わからせることがすこしどうでもよくなってしまう。
時々ちらっと目配せしたり、おなじ空気を吸っている。
離れたあと、やわらかな空気に包まれている感じ。
敵対していた世界が、やさしくなる感じ。
…なんか贈りものみたいなひとがいるものだな。
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