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妄想癖とペットボトル #2
最近よく思い浮かべること。
「もしも、この世界が全て誰かに作られた箱庭であったならば…」
建物はもちろん、街も人も動物も、私が見ているあらゆるものが、誰かの作品で創造物であったなら。
この味気ない日常も少しは面白可笑しく暮らしていけるのだろうか。
例えば、私は長編映画のキャストで…役どころは、まあ主役の旧友といったところだろうか。
そんなことを空想しながら、駅の緑と白と、コーヒーショップの緑と白の違いを探していた。
「タブノキは元気にしてるかなあ」
幼少期を過ごした家の近くにある神社には、それは大きなタブノキがあった。御神木というやつだ。幹にはしめ縄で結界が張られ、公園で遊んだ帰りに通るときまって風が吹き、心地よい葉音を聴かせてくれた。
あの葉っぱのような温もりと強さを感じる緑が私は好きだ。
いつの間にか日が暮れて、駅の緑と白が一層無機質な光を放ち始めた。
まもなくすると、疲れ果てた兵士たちが家路を急ぐ時間だ。
こんな時に私は何をしているのだろう。
皆は一日中働いて、やりたくない仕事も、ご飯を食べるためだから、生活のためだからと、歯を食いしばって頑張っていたのに、私はここで一体何を?
ひたすら働いたり勉強することが全てではないが、果たして私は今日少しでも有意義に過ごせたのだろうか。
…いや、私だって頑張った。
このところずっと、考えていたけれど行動に移せなかったが、今日こそはと、勇気を振り絞り退職願を提出してきたのだ…