選挙事務 本人確認と投票用紙に思うこと
全国の市町村の職員のみなさま。
2024年衆議院選挙、終わりましたね。
心身のお疲れは癒やされましたか?
小選挙区、比例選挙区、国民審査。
3種類の選挙を同時にやるので、本当に大変。
これに参議院なんて同日にされたら、
地方選挙が同日にあったら…
想像だけでもぞっとします。
世の中はどんどん変化しているのに、
日本の選挙制度は戦後のままだなとしみじみ思います。
なんだかな~と首をかしげるところがたくさん。
まず、本人確認。
お知らせ券を持参すれば「○○さんですね」と言われて、
「はい」と返事したら終わり。
だまそうとする人がいたら、超簡単。
そんなだましてまで、1票を投じたからと言って
結果は変わらないから誰もしないからなのか、
厳密な本人確認とはほど遠いです。
運転免許証もマイナンバーカードも保険者証も不要。
だから私が投票管理者をしているときは、
「お名前を読み間違えた方が本人確認としては確実」
と言って、
担当者の読み間違いを決して責めませんでした。
間違えても、恐縮しすぎる必要なし!と。
来た人が「いえ、◎◎です」と訂正していただいて、
もう一度名簿を見て、
○○さんじゃなく◎◎さんだったら、
「失礼しました、◎◎さんですね」というやりとりがあるわけで、
そっちの方が本人確認できたと思うわけです。
三田さんが「さんだ」なのか「みた」なのか
渋谷さんが「しぶたに」なのか「しぶや」なのか
とにかく、入り口で「○○さんですね」「はい」が
本人確認だっていうの、すごいですよね。
あんなに費用をかけてマイナンバーカードを導入したんだったら、
入り口でマイナンバーカードで本人確認しません?
持ってない人は運転免許証でも保険者証でもいいですやん。
よっぽと病院の受付の方が、厳密な本人確認してますよね。
いくら選挙立会人さんが地元の人だからって、
全員を知っているはずないじゃないですか。
もし、もしですよ。
私じゃない別人が、私の名前で先に投票していたら、
どうしたらいいんでしょうか。
投票用紙はいただけるんでしょうか。
投票にいくたび、思っています。
また、職員として選挙事務に従事しているとき、
そんな案件が目の前でおきたら、
職員としてどう行動すべきか、
毎回心配しています。
幸い、たった1票や2票で世の中は変わらないので
悪用されることはなさそうで、よかった~です。
でもですよ、そうなるとですよ。
「あなたの大切な1票」というキャッチフレーズが
いったいどうなんだっていう気持ちになります。
次に、投票用紙。
候補者の中から1人選ぶ趣旨なんだけど、
名前を記入しなければならないですよね。
字が書けない人がいます。
字が読めない人がいます。
その人のために代理投票や点字があるんだけど、
○とかチェックだけであれば、自分でできる人もいます。
顔写真があれば選べる人もいます。
字を書いているから、
開票の際にその書いた字の判定作業が必要になります。
読めない字を書く人が本当に多くて、
時間がかかります。
手が震えるのか、
わざとわかりにくくしているのか。
タッチパネル、タッチパットとまでは言いませんが、
なんだかなぁと思います。
字を書かせたい昭和時代。
印刷に時間がかかる昭和時代。
そんな時代の名残のように感じます。
デジタル投票なら、
投票所を8時に締めて、5分以内に結果が出るだろうから、
もう私たち職員のたいていは、
すぐに家に帰れるのにな~とは思います。
夜中の12時や1時まで、
選挙速報のニュースで当確が流れた後、
何時間も大勢で立ったまま寝不足になりながら
苦労して開票作業をする必要ないのにな~と。
本当はそうしてもらえたら、
集計がとっても効率的でいいのにとは思います。
ただ、日本はすぐにセキュリティが~と言って、
先に進めなくなるので、デジタル投票はその次、
また今度、次の時代でいいです。
もう少し言うなら、
マイナンバーカードは高度なセキュリティなはずなので、
マイナポータルで選挙できるんじゃないかとも思います。
「○○さんですか?」「はい」なんていう、
本人確認方法よりももっと確実じゃないかしら。
そうなると、
若者の投票数が増えてしまうからやらないのかしら…?
ま、とりあえず、まずは
投票用紙を選択制にしてもらえたら
少し時代が進むのに、と思います。
国民審査(最高裁判所の裁判官)では印刷できてるんだから、
やってやれないことはないです。
立候補の届け出の後、
すぐに投票を開始しようと思うから準備できないのであって、
数日あければ対応できるんじゃないかなと思います。
世界各国、そうやってるんじゃないですか?
また日本だけガラパゴス…
全国どこかで毎回報道されていますが、
投票用紙を渡す際に「政党名を」とか「候補者名を」とかの
案内を間違えて無効になってしまうことも防げませんか。
書かせるからそういう案内をしなければならないわけで、
人間だから間違ってしまうこともあって、
投票用紙に選択する方式であれば、
「○を入れてください」と言えばいいだけ。
その間違いもなくなるわけです。
昭和のやり方を、そのまんまなぞる私たち日本人。
投票時間だけは長くして、
人の努力と根性に頼る選挙事務。
なんだかな~と思います。
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