アン・ディールはシルクロードの人で「木の人間」かもという妄想(下)
*一度twitterで呟いた内容を大幅に編集・追記してまとめたものです。
今までの名前関連情報のざっくりまとめ
中の章ではもっぱら東方翻訳を掘って来たので、下の章では西方翻訳を掘る……というか妄想を膨らませていきたい。
上の章において、筆者は
アン・ディール=Aldia=アルディーア=安迪尔=アンディイア
というまとめと、
アン・ディール=安迪尔=安迪爾=Endere=Endir
というまとめを作った。
この2つをさらにまとめればアン・ディール=安迪尔=安迪爾=アンディイア=Endere=Endir=Aldia=アルディーアで……。
目が回ってきた。音だけを抜き出してみよう。
アン・ディール=アンディイア=アルディーア
だいぶマシに。わけわかんないのはそのまんまだけど。これを説明するのに4,000字以上を費やした。まだ足りない気もするぐらい、複雑な話だと思う
アン・ディールの別の英名を提唱してみむとてするなり
中原ではアンディイアと呼ばれ、西方ではアルディーアと呼ばれる原罪の探究者は、極東では(中原文化に近いくせに)なぜかアン・ディールと呼ばれる。
いや、和名語尾の「ル」どっから来たんだよ。中国語名でも英名でも語尾は「ア」ですけど??
という疑問を発酵させた末の妄想の酒に酔っての戯言なのだが「原罪の探究者」には、また別の西方翻訳の名前があったのではないだろうか。
Aldir とか。
公式英名Aldia の語尾を「A」から「R」に変えただけの仮定である。なぜ語尾を「R」に変えたかと言えば、「R」は「ア」にも「ル」にも和訳できる(のかもかもしれない)文字だからである。
実例を挙げてみよう。
サンプルは指輪物語のキャラクターである「ファラミア Faramir」。彼の名前をGoogle翻訳にぶち込むと「ファラミル」になる。
このことから、語尾の「R」は和訳される時「ア」にも「ル」にもなりえる(主に翻訳者のさじ加減で)と、言えなくもないのではないだろうか?
とはいえこれはあくまで「筆者が楽しけりゃいい」というノリで言い出したことなので、眉によくよく唾をつけて読んでいただきたい。信じるか信じないかはあなた次第!ってやつなので。
アン・ディールはエルフ語由来かもしれない
まずはshe.oakenさんのこのツイートを読んでもらいたい。
また、瑞希さん(@Girion_stray)に以前教わったエルフ語翻訳サイトでは、Alda=樹("Tree")を指します。
Tree…アンディールの見た目からこの線が臭いなと感じてます。 https://elfdict.com/w/alda?include_old=1
イルシールもアノールロンドもエルフ語由来ですし、指輪の一致を補強できるかもと思い…。
―― she.oaken(@SheOaken)さん June 29, 2020
she.oakenさんのツイートのみならず、その前後もとても興味深い指摘がなされているツリーなので、ぜひツリー全体を参照して欲しい。すごくワクワクするから。リンクは参考サイト欄に貼っておくので是非。
さて、she.oakenさんがツイートで指摘されているように、Aldiaはクウェンヤのalda由来では?という気が筆者もしている。アン・ディールの見た目は確かにすごく「木」っぽいので。
そうなると残りは ia。エルフ語に限ってもこれには複数の候補があり、どれも意味ありげに聞こえるので逆に決定打に欠ける。お好きなものをお選びください状態だ。
とりあえずお品書きを出していく。
クウェンヤ ia。意味は「ever」。
これが語尾だとするならAldia= alda("tree")+ ia(”ever”)。
常なる木。なんだそれは。灰の時代の大樹の類型?
シンダール語 iâ。意味は「gulf, abyss, void」。
これを語尾とするならAldia= alda("tree")+ iâ(”gulf, abyss, void”)。
深い裂け目の木、深淵の木、虚ろな木。意味深ワード過ぎて逆に何を示しているのか分からない。
これが今のところ筆者が思いつくAldiaに関する解釈の限界だ。さらなる知見を筆者は常に募集しておりますので、新しい意見があればぜひお聞きしたいです。聞かせて下さい。お願いします。
そしてまた先に述べたアン・ディールの別訳がAldirであった場合について。これもこれで、束人には心当たりがある。
シンダール語 dîr("man")だ。これは束書(トールキン作品)の中で実際に人名として用いられている。
シンダール語 dîrは単純に「ヒト」という意味ではない。どちらかと言えば「成人男性」、もしくは「エルフとは違う、老いて死ぬ種族」というニュアンスを持つ。
知恵を持ち言葉を操り道具を使う生き物を「ヒト」と定義してしまえば、エルフもドワーフもホビットもエントもオークも「ヒト」括りになってしまう中つ国ならではの彩りだ。
Aldir = alda("tree")+ dîr("man")、木の人間。
アン・ディールは逸話や台詞を伺う限りでは人間に属している気がするので、これは外見通りの名前と解釈できるかもしれない。
ただまあそもそもアン・ディールってAldirでもあるのでは?というのは筆者の勝手な思い付きなので根拠とするには色々が足りないのだが。
総論
とりあえずアン・ディールの名前について吐き出せる情報は今のところ以上だ。どうしようもなくとっ散らかったので最後に簡単にまとめておこう。
「アン・ディール」は和訳、英訳、中国語訳でそれぞれ発音が違う。
中国語名「安迪尔」はアンディイアと発音し、英名「Aldia」はアルディーアと発音する。
各翻訳名がバラバラにもほどがあるので、どれも原罪の探究者の本名ではなく、彼の真名は失われているのでは?
安迪尔はシルクロード遺跡の名前であり、アラビア表記をするウイグル語の土地名に由来する語であるため、2の舞台は西域やシルクロードかも?
安迪尔という地名はEndereやEndirとも英訳されるので、これらもアン・ディールの別名と言えなくもないかも?
英訳アルディーアの「ル」の出どころは不明。
語尾のRは「ル」とも「ア」とも和訳される文字だから、アン・ディールの別訳にAldirというのがあったら筆者が楽しい。
Aldiaはクウェンヤalda(木)由来ではないだろうか?
Aldia の iaは「常に」か「深い亀裂」か?
Aldirをアン・ディール解釈の中に入れていいなら、クウェンヤalda(木)+シンダール語dîr(男性、種族としての人間)で「木の人間」という線もアリ?
うむ、まったくもって簡単じゃない。情報量が多いし、多岐に渡り過ぎている。手当たり次第に掘れる情報を掘っていたらこのざまだ。上手くまとめられない。
まとめられないので終わりの言葉も思いつかない。どうしようもない情報の羅列は、アン・ディールの失われた本名が分かればまとまるのかもしれない。いや、やっぱりまとまらないかもしれない。まとまらないで欲しいと思う。その方が楽しいから。
個人的には、各言語訳に散らばった「ア」「ン」「ル」「ディ」「ア」の音が滑らかに繋がる1つの名前がアン・ディールの本名でないかと思う。それがどんなものかは全く想像もつかない。
つかないが、それがせめて現生言語から来ていることを切に願う。では。
おまけ1:わざとポンコツに振る舞っているのか、素でポンコツなのか
安迪尔にしろAldiaにしろ、一単語なのだから区切りは要らないだろう。けれど和訳名アン・ディールには「・」が付いている。なぜだろう。
中国語発音を聞く限り、安迪尔は「アン・ディィア」のようにも聞き取れるから、それが「・」の由来かもしれない。
どうも、ダークソウル世界の言語は誰かに翻訳されてプレイヤーに届けられている、そういう設定がフロムによって組まれているという気がする。その設定はひどくトールキン的だ。
トールキン教授は中つ国の言葉で書かれた赤表紙本を英訳した、というのが教授によるトールキン作品に通底する設定である。例えば教授はマウラ・ラビンギという中つ国の名前をフロド・バギンズと訳した(という設定)。
アンディイア、アルディーアの翻訳に「・」が混じったのは、赤表紙本取り扱いにおける教授の立ち位置の誰か、ダクソ世界と日本語プレイヤーの間に介在してる誰かが翻訳ミスしたからじゃないだろうか。
どちらにせよ、その人は教授ほど翻訳が巧みではないな!と1人の束人が鼻息を荒くしていることだけは書いておく。
おまけ2:木の宝石、という名前の中つ国人
アルダミア Aldamirという人名が中つ国には存在する。意味はTree Jewel。構成は alda(tree)+ mírë(jewel)。
この名前を持つのは2人の人間で、1人は中つ国的アトランティス王族、もう1人はその遠い子孫の石の国の王。
なんとなく名前がアン・ディールに似てる気がしたが、そうでもなかった。
おしまい。
参考サイト
アン・ディール - ダークソウル2世界観wiki(https://seesaawiki.jp/mousou_darksouls2/d/%A5%A2%A5%F3%A1%A6%A5%C7%A5%A3%A1%BC%A5%EB)
Aldia, Scholar of the First Sin | Dark Souls Wiki | Fandom(https://darksouls.fandom.com/wiki/Aldia,_Scholar_of_the_First_Sin)
安迪尔_百度百科(https://baike.baidu.com/item/%E5%AE%89%E8%BF%AA%E5%B0%94)
フロド・バギンズ – Wikipedia(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%AD%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%90%E3%82%AE%E3%83%B3%E3%82%BA)
Alda – Parf Edhellen: an elvish dictionary(https://www.elfdict.com/w/alda/q)
Ia – Parf Edhellen(https://www.elfdict.com/w/ia?include_old=1)
Dîr – Parf Edhellen: an elvish dictionary(https://www.elfdict.com/w/d%C3%AEr%C2%B9/s)
Aldamir – Parf Edhellen(https://www.elfdict.com/w/aldamir?include_old=1)
ファラミア – 中つ国Wiki(https://arda.saloon.jp/?%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%82%A2)
アルダミア(アクサントゥアの息子) – 中つ国Wiki(https://arda.saloon.jp/?%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%9F%E3%82%A2%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%82%AF%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%A5%E3%82%A2%E3%81%AE%E6%81%AF%E5%AD%90%EF%BC%89)
アルダミア(エルダカールの息子) – 中つ国Wiki
(https://arda.saloon.jp/?%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%80%E3%83%9F%E3%82%A2%EF%BC%88%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%83%80%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%81%AE%E6%81%AF%E5%AD%90%EF%BC%89)
she.oakenさんのツイート(https://twitter.com/SheOaken/status/1277570561036578817)
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Photo by Martino Pietropoli on Unsplash