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シロギス釣りに行った

趣味は海釣りです、と名乗りながら、しばらくご無沙汰だった。なぜなら、食べてくれる人がいないから。
よく行く釣り物は、アジ、シロギス、タチウオ。どれもソコソコ釣れるのでとても一人では消費できない。しかし、久しぶりに夏のシロギス釣りをやりたくなった。汗をかきながら誘いをかけ、小気味いい引きを楽しみ、海の貴婦人とも呼ばれる美しい魚体に出会い、天ぷらにしてありがたく頂戴したい。そう思っていたら、何人かが食べたいと手を挙げてくれたため、夏休みの締めに竿を出すこととした。


漁港の朝は早い。

朝6時。
わたしは船宿に着き、スタッフさんたちに挨拶をしつつ乗船の手続きをしていた。日焼けした、無駄のない筋肉質な腕。タバコをくわえ、豪快に喋る。まさしく童謡「我は海の子」に歌われるような海の男。妙に女の子扱いされることもあるけれど、そんなところも乗合船の醍醐味だと思っている。

船長から釣り方を教えていただき、船上でバナナを食べて出航を待つ。7時半、河岸払い。八景島シーパラダイスのジェットコースターを横目に見ながら、20分ほどで釣り場に到着。

大漁祈願スポット(とわたしが勝手に呼んでいる)「住友大明神」
正体は住友重工の横須賀製造所

さて、ここからは3時間一本勝負。半日船のため、午前中でオシマイなのだ。そして今日は天ぷらを待つゲストが複数名いる。必ずやおかずは確保しなければならない。
そんなわけで釣りに集中していたので、以降の写真はないがご了承いただきたい。

針にエサをつけて仕掛けを海に投入し、誘いをかけてアタリを待つ。
エサは「アオイソメ」。これ、何というか……ニョロニョロ系というか……このブログの想定読者層(フェムのレズビアン)には大変ウケが悪いであろうビジュアルなので、苦手な諸姉はうっかり検索しないよう注意していただきたい。
釣りの面白さと難しさは、同じ仕掛けを使っていても少しの工夫で全く釣果が違ってしまうことだ。エサをどれくらいの長さで付けるか、これだけでもぜんぜん違う。誘いの入れ方もそうだし、エサがちぎれたり傷んだりしたら釣れなくなるので、たまに仕掛けを上げてチェックしなければならない。上げるか、もう少し粘るか。考えることがとても多い。
シロギスは海底付近に棲む魚なので、仕掛けが常にその辺りを漂うように竿を操る。波で上下に揺れるので、こまめに底を取らないと仕掛けが浮いてしまう。
暫くした後、フルフルっとアタリが来る。
スッと竿を上げて掛けようとするが、手応えがなくなる。逃したか。
アタれども掛からない。今日はそんなもどかしい時間を何度も過ごすこととなる。
少しして、もう一度アタリ。やや待ったあと、静かに竿を上げてアワセると、グッと引かれてビビビッと竿が震える。乗った!
魚の重みを感じながらリールを巻き、遂に初シロギスとご対面。生きているシロギスは、よく見る黄色っぽい色ではなく、日の光で赤みと青みの混ざった美しいパールピンクに輝く。わたしはこの色を見るのが好きだ。
アタって釣り上げたこの時間、狩猟本能のようなものが刺激されてとても気持ちがいい。アタってもエサだけ取られて逃げられたり、せっかく釣れても海面で針が外れる(バラす)こともあり、悔しさでもう一度、と仕掛けを海に入れる。その繰り返し。わたしはギャンブルはやらないけれど、釣りで似たような快感を味わっている気がする。

釣りにのめり込みすぎて文字通り「熱中症」にならないよう、適宜水分を入れつつシロギスとの知恵比べ。結果、14尾釣れたところで納竿。

最大21cm。これくらい大きいと、意外と引きが強い


家に帰って捌いたのち、天ぷらパーティーの開催。写真は撮り忘れた。(いつもの)
フワフワ、サクサクのキス天はなかなかの高評価をいただいた。変な場所にあるマイハウスまではるばるお越しくださった方もいて、来た甲斐があったと思っていただけたのであれば釣り人冥利に尽きる。

今度はわたしの得意科目であるアジを狙いに行くつもりだ。栄養豊富な東京湾で育ったアジは黄金色に輝き、ラグビーボールのように丸々と太っている。脂の乗りが良く、刺身やタタキはもちろん、サックリフワフワ、臭みのない極上のアジフライを頂けるのだ。
親しい人を呼んで、また魚パーティをやりたいと考えている。

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