バカ豚汁
料理が趣味、とは胸を張って言えない。
ただ、食べたいものを食べるため、作る。
そんな感じ。
この季節は豚汁が旨い。
でも野菜の下茹では面倒なので、パックの下茹で済野菜を手に入れる。
肉はレシピの倍。200g以上。それも豚バラに限る。しゃぶしゃぶ用だと切る手間が省けて尚良し。
カサ増ししたいのでマイタケをちぎる。
味噌が切れていたので買う。北海道産という文字に心惹かれて、ちょっといいやつを。
週の頭から風邪でダウンして、いまだゲホゲホやっているのでニンニクを入れてしまおう。友人からたくさんもらったやつ。
豚汁にニンニク入れたことはないけど、豚バラ、味噌、ニンニクの組み合わせに間違いはないと思う。
こんなふうに、欲望のままに作るやつを「バカ豚汁」と呼んでいる。
わたしの、わたしによる、わたしのための料理。
雪平鍋を出して、ごま油で豚バラを炒める。
焼き目をつけたほうが旨そうなので、動かさずに洗い物でもしながら放置。
アブラが弾けて肉の焼ける香り。一旦手を拭いて、ひっくり返して肉全体に火を通す。いい感じにコンガリしている。マイタケとニンニクを入れ、冷蔵庫にあった生姜麹をスプーン一杯くらい絡める。
マイタケがしんなりしたら、下茹で野菜を投入。料理酒を適当に回しかけ、水を2カップと少し。具が多すぎて、鍋がヒタヒタになってしまう。
実家から貰ったダシ粉を振り、沸騰させて数分茹でる。皿洗いの続きを済ませる。
火を止めて味噌を溶く。味噌は、大さじよりバターナイフで取るほうが好きだ。窪みから掻き出さなくて済む。
ちなみにここまで調味料の量は全部適当だ。豚汁にそこまでの厳密さはいらない。
味噌の量はレシピの半分(と思われる)。飲み干せる味が好きなので、あまりしょっぱくしたくない。味見をしながら少しずつ味噌を足す。
沸騰させないようごく弱火で火を通し、完成。
ずっしりと具の重みを感じながら器に移す。ひと口すする。
味噌ラーメンのスープを飲みやすくした感じ。これはいい。
本当にラーメンを入れるならもっと味を濃くしなければいけないけど、単独で味わうにはコレくらいがちょうどいい。
そして、食べても食べても肉が出てくる幸せ。
肉はレシピの倍に限る。
ご一緒に、お勤め品のネギトロ巻とハマチの刺身。
これはこれでいいけれど、この豚汁にはカツオの方が相性良かったかな。
……もし人に出すなら、そうしよう。
たっぷり食べて、幸せな余韻に浸りながら、これを書いている。
早く風邪を治して、体重を取り戻したい。