台北2泊3日の旅 2024 Apr | ⑧ マンダリン・オリエンタル台北 | 臺北文華東方酒店
5つ星ラグジュアリー
一人旅であれば5つ星ホテルを選ぶことはなかったであろう。
今回は高齢&持病有りの親を連れて行ったということもあり、もしもの急病や怪我、地政学的な有事や自然災害など万が一の事態が発生した際に対応可能であるかという危機管理面を重視した結果、マンダリン・オリエンタル台北に宿泊することに決めた。
費用については後述するが、設備の充実ぶりやホスピタリティ、宿泊特典なども鑑みると満足度の高い体験となった。
アクセス | 松山空港利用なら抜群の利便性
台北松山空港から抜群のアクセス。
荷物があったため、松山空港からタクシーを利用したが「3分もかからないよ」と運転手さんに苦笑いされるくらい至近距離である。
MRT利用の場合は松山空港駅から乗り換えなしの2つ目にある南京復興駅が最寄りとなるが、駅からホテルまでは徒歩10分近くかかる。したがって台北観光の移動手段としてMRTを頻繁に利用する場合の利便性はあまり良いとは言えない。恐らくマンダリン・オリエンタルの利用客はホテルから各目的地へタクシーでドア・トゥ・ドアで乗りつけるスタイルが主流なのかもしれない。
一方で私たちはMRTをメインで利用したため、都度、南京復興駅ーホテル間を徒歩で歩くことになったが、途中コンビニでちょっとした買い物をしたり、50嵐や春水堂で飲み物を買ったり、また台北の街並みを堪能したりと、移動時間も楽しむことができた。
重厚感あふれる欧風建築
タクシー運転手の言う通り、松山空港から敦化南路を南へ3分走らせたところにベージュピンクを基調とした重厚感のある欧風の建物が突如あらわれる。マンダリン・オリエンタル台北は2014年に開業。建設に8年の歳月を費やしたと言われる欧風建築は、メインのホテル棟の周りにACARDEと名付けられた低層のテナントエリアが連なり、一つの街のように構成されている。
チェックイン
車寄せからエントランスを抜けるとふんわりとアロマの良い香りに包まれる。
レセプションはホテルの規模感に対してとてもミニマルであり、チェックイン・アウトに伴う慌ただしい人の往来も皆無で、静寂感があることに意表をつかれた。
松山空港からの好立地だけでなく、降機して割とすぐに空港外へ出られたこともあり、15:00のチェックイン開始時間よりも早くホテルへ到着してしまった。荷物を預けてそのまま外出しても良かったが、幸いこのタイミングでチェックインすることができた。
日本語が堪能なスタッフにチェックイン手続きを対応いただいた。ウェルカム・ドリンクのお茶をいただきながら、基本情報や利用可能な追加特典について的確かつ流暢な日本語で説明を受けることができた。
デラックス ルーム | ツイン
今回宿泊したのはデラックスのツイン。
最もリーズナブルなクラスとはいえ、部屋面積55平米とかなりゆったりとした作りである。洗面、バスルーム(バスタブ・シャワー)、トイレの水回りはそれぞれ独立しており、さらにウォークインクローゼット、ベッドルームと展開していく。
ベッドルームには猫足の長椅子と足を伸ばせる一人がけソファに加えてデスクとチェアもありちょっとした作業も可能だ。キッチンには定番のネスプレッソと阿里山烏龍茶などの茶葉が常備。
バスルームのシャワーはレイン、壁、ハンドと3種類に切り替えられ、水圧も十分だった。楕円形のバスタブは足が伸ばせる長さと胸まで浸かれる深さがあり、ゆっくりと疲れを癒すことができる。ソープ類はリッツ・カールトンでも利用されているDyptique製。優しい香りと使い心地がいい。
特筆すべきはベッディングだ。
ベッドベースの上に厚めのスプリングマットレス、その上に敷かれたベッドパッドが体の凹凸をうまく吸収し、何十時間でも寝ていられそうだ。また、長年の枕難民である自分にとって垂涎の首が痛くならない枕、そして肌触りの心地よいスレッドカウント480のリネンも最高の寝心地を体験させてくれた。
このベッディング(の一部でも)を自宅で再現できないものかとM.O.ショップを覗いてみたが、あまりにも現実離れした価格に目が飛び出た。枕難民としての受難は今後も続きそうである。
屋外プール
テナント群ARCADEの中庭から見上げるとエクゾチックな植栽が見える。そこに宿泊者のみ利用可能な屋外プールがある。
訪れた4月の時点で気温30度越えの暑さに一気に体力を奪われてしまったが、夜の観光の前にプールでさっぱりリフレッシュすることができた。
土曜の午後にもかかわらず利用客は多くなく、周りのガゼボでゆったりしている客がほとんどで、プールそのものはほぼ貸切状態で使うことができた。
プールサイドで飲食をリクエストすることも可能である。時間が許せば1日フルここで過ごしたいくらいだ。南国台北の空の下、エキゾチックなガーデンに囲まれたプールでゆったりする、この非日常感は得難い体験となるはずだ。
朝食 | カフェ アン ドゥ トロワ
マンダリン・オリエンタルに宿泊したのなら、朝食も是非体験したい。
「Fans of M.O.」に予め登録のうえ宿泊予約すれば会員特典として無料で朝食をつけることが可能だ。
朝食会場はシックでモダンな雰囲気の「カフェ アン ドゥ トロワ」でいただく。
会場に入るまでに並ぶというような煩雑さなど皆無で、ピークタイムになりつつある7〜8時頃に訪れたが、窓際が良いか、ビュッフェ台に近い席が良いかと好みの席を選ぶことができた。さらにビュッフェ台の各料理の説明もしてくれるとのことだったが、私たちは自分たちで見て回るから省略でOKと告げた。
座席に着き飲み物と卵料理の調理法(ポーチド or スクランブル or オムレツ)をオーダーして、いざビュッフェ台へ。
サラダ・フルーツ
レタス、きゅうり、トマト、ブロッコリーなどサラダ野菜にオリーブやフライドオニオン、ツナなどのトッピング類、自家製ドレッシング数種など。
フルーツは南国らしく、スイカ、グアバ、パッションフルーツもあった。ヨールグルト、シリアルのコーナーも。
コールドドリンク
スイカジュース、紅茶・中国茶、牛乳各種
冷菜
生ハム、サラミ、スモークサーモン、モルタデッラなど品質の高いシャルキュトリがいただける。
一口大に薄く切られたチーズも5〜6種類くらい。
温菜
中華惣菜、グリル野菜などの他に、蒸籠で蒸された点心が3種程度(カスタード饅頭、焼売、海老餃子)あり。
シェフ・コーナー
お粥、ヌードル系をオーダー式で調理してもらえる。トッピング多数。
パン・焼き菓子
クロワッサン、デニッシュ系、ハード系など10種類以上のパンがあり、全部試してみたくて悩ましい。
マフィンやマドレーヌなどのスイーツ系も。
パンが絶品だったため、冷菜をトッピングしたサラダをしっかり目にいただき、卵料理をおかずにパンを少しずつ色々試すのが正解だなと思った。ストリートフードを楽しむことが旅の目玉ではあるが、とかく生野菜不足になりがちのため、サラダはこの機に大量摂取しておきたいところだ。パンは一個一個が小さめに作られている。それでもさすがに全種類頂くことは物理的に不可能だったので、できることなら1週間くらい連泊したい。得にクロワッサンは超絶美味だったので、これを味わうために再訪する価値があると個人的に思う。(※クロワッサンは後述のケーキショップで購入可能)
前述の通りレストラン内は朝食時間帯にも関わらず混雑や騒がしさとは無縁で、また各テーブルはゆとりを持った配置となっている。ビュッフェ台も乱れておらず料理の補充も頻繁にされている様子がうかがえた。テーブル上の済んだお皿もすぐ回収され、おかわりのコーヒーもこちらからお願いするより先に気づいてくれる行き届いたサービスが嬉しい。
ザ マンダリン ケーキショップ
テナント群ARCADEの一角にホテルメイドのパンやケーキを販売するショップがあるので、宿泊者のみならず近くを訪れたら是非立ち寄ることをお薦めしたい。
ベビーピンクとブルーをモチーフとした乙女チックな夢あふれるペストリーショップ。ショーウィンドウの中の可愛らしいケーキやショコラの数々に思わずうっとりしてしまう。朝食で絶品だったクロワッサンのほか、パン類も数種類販売されている。マドレーヌやフィナンシェなどの焼き菓子は良いお土産になるだろう。
ホテルのペストリーが大好きなのと、乙女心をくすぐられるシグネチャーカラーの箱やショッパーに心惹かれて、下記のアイテムを購入した。
パン類:玉ねぎパン、洋梨のパイ
ケーキ:いちごのチーズケーキ、いちじくのミルフィーユ
焼き菓子:フィナンシェ、マドレーヌ、パイナップルケーキなど数個ずつ
これで8,000円相当。た、高い。
しかしながら、今回利用した宿泊プラン「Luxury Break」に1,500元/日のダイニング・スパ・クレジットが付帯していたため、結果的にこのお買い物代金は無料となった。※宿泊プランや特典については後述します。
やはりマンダリン・オリエンタルはパンが絶品だった。
ケーキは見た目も美しく、味も良かったが、単価1,000円以上するため、安価で美味しい台湾スイーツが他にいくらでもあることを考えてしまうとちょっと躊躇してしまう。
また、シグネチャーのパイナップルケーキも置いてあったが、外部工場に委託製造させている大量生産製品ということもあり、単価(500円/個)の割に味は普通だったかなぁと思う。
ミシュラン⭐️獲得レストランなど充実のダイニング
残念ながら今回利用する機会はなかったが、マンダリン・オリエンタル台北には魅力的なダイニングが揃っている。
ヤグ/雅閣
6年連続ミシュラン一つ星獲得の広東料理レストラン。
金魚を模した蒸し餃子(金魚帶子餃)が有名。
マンダリン・オリエンタル台北を訪れたからには、せめてランチをいただきたかった。日程の都合で泣く泣く断念。
ランチコースで10,000円/人からとお値段もなかなか。
シグネチャーコースだと50,000円超/人と、世界の広さを思い知らされる。
なお、ドレスコードがあるため、男性はジャケット、女性は靴も用意していかなければならないハードルの高さも。
The Jade Lounge
マンダリン・オリエンタルはアフタヌーンティーの評判も高い。
2泊3日の日程でアフタヌーンティーをできるタイミングはまる1日使える真ん中の日のみ。この日を街歩きに費やしてしまったため、こちらも残念ながら断念。
かわりにケーキショップでスイーツ、朝食会場でパンを堪能したため、まあいっかという結果になったが、再訪の機会があれば雅閣とアフタヌーンティーは是非試してみたいところだ。
価格は一人8,000円からとなっており、シャンパンやキャビアが付くコースだと20,000円/人となり、目が飛び出る。
宿泊プラン「ラグジュアリー ブレイク」
今回利用したのは「Luxury Break」というプラン。
・2泊以上で利用可能のプラン
・1,500元/日のスパクレジットまたはダイニングクレジットが付帯
他にもクラブラウンジ利用がつくプランや、3泊分の料金で4泊できるプランなども。
また、ホテル会員「Fans of M.O.」に登録しておくと下記の追加特典サービスを2つ無料で選ぶことができる。
今回は「毎日の朝食(1名様分)」と「2人目の朝食」を選択したことにより、素泊まり料金で2名分の朝食を無料でつけることができた。
「お祝いを盛り上げるプレゼント」ではケーキショップのホールケーキをもらうことができるらしい。記念日があっても(なくても)嬉しい特典になるだろうことから、選択肢の一つとして推しておきたい。
会員登録は無料・会費なしのため、利用の際は是非登録をおすすめする。
費用概算/デラックスルーム(ツイン)
11,000元×2泊+税金サービス料3,410元=25,410元(127,050円)
※上記は平日の場合。週末利用の場合は〜15,000元/泊くらい。
公式サイトからの予約をおすすめ
昨今、ホテル予約アプリが多数リリースされており、グローバル津々浦々のホテルをスマホでサクッと予約でき、また場合によってはキャンペーン価格が適用されるなど利便性が高いが、過去利用した際にトラブルがあったため、以降は原則ホテル公式サイトから予約をするようにしている。
マンダリン・オリエンタル台北も是非公式サイトからの予約をおすすめする。
その理由は前述の通り、公式サイトのプランおよび「Fans of M.O.」の追加特典のバリューが高く、アプリで多少宿泊料金が割引になったとしても、それを上回る特典を享受できるからだ。
また、公式サイトから予約すれば、予約の有無そして決済ずみor未済かといった煩わしいトラブルからも無縁でいられる。予約アプリ経由の場合、予約情報データがホテル側へ即時転送されない場合があるらしく、予約したのに予約されていない、支払い済みなのにチェックアウト時に再度請求される、といった致命的なトラブルに遭遇することがある。ホテル側が調べれば最終的に解決する事象ではあるものの、多少の割引きに目が眩んだ結果このようなトラブルに遭遇したものなら、心理的に却って高くついてしまうだろう。せっかくの旅行で嫌な気持ちにはなりたくないものだ。
最高のホスピタリティ | ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
チェックアウト時は英語での対応になったが、チェックイン時と同様に混雑することもなくとスムーズに対応いただいた。
レセプション、プールエリア、レストランでの接客は全て気持ちの良い対応であり、マンダリン・オリエンタルというブランドの豪奢さだけでなくスタッフ一人ひとりの温かいホスピタリティと確かなサービスを受けられる最高の体験となった。
2泊は本当に短く、できることなら次回は4泊目が無料になるプランを利用して体験できなかったサービスも堪能し尽くしたいものだ。
台北における同価格帯の5つ星ホテルとしては、台北101エリアにあるマリオット系列の「W台北」が競合になるだろうか。W台北はエリア柄、スタイリッシュ思考の若者向けといった雰囲気であることに対して、マンダリン・オリエンタル台北は全年齢向けといっていいだろう。
子供を伴ったファミリーも見かけたので、あらゆる属性・ニーズに対応できる稀有なホテルなのだと思う。
5つ星ラグジュアリーとはいえ、マンダリン・オリエンタル台北は他都市の系列施設に比べて価格設定が良心的であることも魅力の一つである。
マンダリン・オリエンタル台北を台北滞在の際の選択肢に加えてみるのはいかがだろうか。
マンダリン・オリエンタル台北 | Website
おまけ① | カードキーが開かないトラブル発生!
観光から帰ってきて部屋の扉口にカードキーをかざすもドアが開かないというトラブルに遭遇。同行者用のカードキーでも開かないので明らかに何かの不具合だなということで、フロア設置の内線からレセプションに連絡した。
するとスタッフが駆けつけてくれ、どうやらドア側のバッテリーが切れているとのこと。バッテリー交換作業の間、ラウンジで待機ということでせっかく案内してもらったが、10分ほどで作業完了し部屋に戻ることになった。
トラブルの際の適切な対応として大変参考になったエピソード。
おまけ② | 隣が廃墟ビルというコントラスト
マンダリン・オリエンタル台北の所在する松山エリアはオフィスビルや海外資本系ホテル、デパートなどがある落ち着いた繁華街エリアである。
冒頭で触れたように台湾の街並みにマンダリン・オリエンタル台北の西洋チックな建物が唐突に聳え立つのだが、その隣(厳密にはすぐ隣でもないが)には巨大な廃墟ビルがあり、その落差がなんとも台湾だなぁと思った。元テナント兼共同住宅と思われる廃墟ビルは取り壊しが決定している模様(だがまだ着手されていない)。古くて暗くて不法投棄や放置バイクもあり、夜はちょっと怖い雰囲気だが、東京では見られないものではあるなと。