はじみょん

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2020年のあしあと

はじめに 2020年が全世界的に大きく混乱した年であった一方、個人的に大きな混乱は少なかった。変わった点をあげるなら、大学の授業の受け方と夏にもマスクをつけていたことくらいしかない。 一年の出来事を振り返る中で、記憶に残るようなものの種類は意外と少ないことに毎年気づく。どこかに外出した記憶は、旅行のように大々的なものでないと、8割くらいは忘れてしまっている。外へ出るたびに、特に何もないのに写真を取るのは気が進まないが、思い出す材料としてこれ以上はないと今更思った。 外

    • スカンジナビア半島の記憶 #6

       宿に戻ったときには、5時を過ぎたくらいだったと思う。8時からオーロラツアーの予定があったが、それまでにはかなり余裕があった。Hは事前にツアーの申込みはしていなかったが、現地申込でどうにか参加できることになったようだった。  オーロラツアーを控えていたわけだが、こういうときに過去の経験は生きるのだ(と思っていた)。オーロラを観察するためには、運が必要なことは間違いない。が、それ以上に体力勝負な面もある。なぜかといえば、それは尋常じゃなく夜は冷え込み、体力が常に奪われていくか

      • スカンディナビア半島の記録 #5

         ヘルシンキから北へ825㎞の地点に、サンタクロースで有名な都市ロヴァニエミはある。サンタクロースエクスプレスと呼ばれる寝台特急で、10時間かけて移動する。寝台列車は人生で初めてだった。かなり疲れていたので、すぐに横になりたかったけど、履いてきた防寒ブーツが壊れていて、足がずっと濡れていた。去年アイスランドに行く前に、少し高めながらも、値段は耐久性を保証すると思っていたから買った。この旅でうまれたすべての負の感情をぶつけるならこのブーツしかない。  寝台列車の移動は静かだっ

        • スカンディナビア半島の記録 #4

           ヘルシンキ中央駅の出入り口は、大きな扉で区切られていてヨーロッパの城みたいに見える。  僕たちはロッカーをあきらめて、大きな扉を開けて外へでた。首都ヘルシンキはかなりの大都会。駅前のバスのロータリーの先には、広場がある。広場にはだれかはわからないが、服を着た「考える人」のデカバージョンの銅像があった。ついたばかりでまだまだ元気があったので、銅像の前で観光客らしく写真を撮った。  広場にはスケートリンクが併設されていた。そこで滑っているたくさんの人たちを見ていたら、本当に

          スカンディナビア半島の記録 #3

           2020年2月19日、ついに僕と友人Hは、フィンランドの首都ヘルシンキに向けて、成田空港を出発した。何事もなく、順調なすべりだしといきたかったのだが、Hの持っていたアイゼンが手荷物検査で引っかかっていた。  フライト時間が10時間もあるので、現地到着時間(19日の15時頃)に合わせるように半分くらいは寝ていた。Hはすぐに機内サービスで強めの酒を頼み、「高度が高いところだと、酒が早く回るから、(気持ちが)飛べるんだよな」みたいなことを言ってた。うるせえなと思いながら、空返事

          スカンディナビア半島の記録 #3

          スカンディナビア半島の記録 #2

           行き当たりばったりで海外にいってみるなんていうことは、映画みたいでかっこいい。しかし、そんな勇気があったら今頃は、大学の大人数サークルで会長しながら、毎日zoomで飲み会している。  今回は、一人ではなく友人のHと一緒にいくことにした。彼とはアイスランドも一緒にいっていたので、また北の寒いところに行くなんて誘ってみても、断られるかと思っていたが、どうやら彼もかなり乗り気だったようだ。  まずは大きな都市や観光名所を調べるのが一番計画を立てやすいと思う。しかし、去年のアイ

          スカンディナビア半島の記録 #2

          スカンディナビア半島の記録 #1

           2020年2月19日から3月5日までの約2週間、フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの三ヶ国へ行った。  その時点では、新型コロナウイルスの影響はまだ、いまのように世界規模で深刻なものとなってはいなかった。北欧旅の記録を振り返ろうとなんども思いながら、結局手をつけないまま時間だけが過ぎた。時間とともに流行病も、急速に勢いを増し、2020年3月を一区切りにして、人々を移動、旅行から切り離した。自由に旅行ができるのはいつになるだろうか。  本当は、北欧をめぐりながら、その

          スカンディナビア半島の記録 #1