テロリストとは誰のことですか

「誰がテロリスト? 俺がテロリスト? ここは俺の祖国だぜ 誰がテロリスト? お前だよ お前が横取りしたんだろ 先祖を殺し 俺を殺し。」パレスチナのラップグループDAMはこう歌っています。
 イスラエルが軍事的暴力によってパレスチナ人から住む場所を奪いとってきたことは歴史的事実です。

 公安調査庁はハマス(パレスチナ)、クルド労働者党(トルコ)などを国際テロ組織としてウェブサイトで解説しています。その中には、カチン独立機構、カレン民族同盟、シャン州軍などミャンマー国内少数民族の解放組織も含まれています。
 映画「ランボー最後の戦場」(2008年)はミャンマーの少数民族カレン族の居住地が舞台です。映画ではカレン族の人びとを虐殺するミャンマー国軍に主人公のランボーとその仲間が共に立ち向かいます。もちろん、彼はテロリストではなくヒーローとして描かれています。
 今、現実のミャンマーでは民主派政府(NUG)が少数民族の解放組織と共に連邦民主制の国を創ろうと努力しています。2021年2月1日のクーデター以降、ミャンマー国軍・警察は非暴力で抗議する人びとを銃撃、拷問などにより少なくとも800人以上殺害しました。

 暴力を背景とした恐怖を人びとに感じさせ、それを政治的手段とする。テロリズムをこのように理解すれば、現代においても、支配する側の人びと、あるいは力関係において優位に立つ人びとがテロリストとして現れても不思議ではありません。

 現実には、自分たちにとって嫌悪の対象となる人びとが何らかの暴力を行使した場合にテロリストと名づけることが行われています。テロリストという言葉がどのような政治的社会的文脈の中で使われているのか、批判的に検証することが必要になります。
 例えば、高校で学習する世界史の教科書や参考書には、フランス革命やロシア革命を起こした人びと、ナチス・ドイツの支配に抵抗した人びと、植民地解放闘争に参加した人びとをテロリストとは記述していないはずです。

以下、ご参照ください。

映画「自由と壁とヒップホップ」(ジャッキー・リーム・サッローム監督、2008年)公式サイト
http://www.cine.co.jp/slingshots_hiphop/

パレスチナ問題とは(NPOパレスチナの子どもキャンペーン)
https://ccp-ngo.jp/palestine/

 映画「アルジェの戦い」(ジッロ・ポンテコルヴォ監督、1966年)はフランスによる植民地支配からの独立運動を描いています。
映画「アルジェの戦い」予告編
https://www.youtube.com/watch?v=V_0h-8mX-q4

 映画「鉄路の闘い」(ルネ・クレマン監督、1945年)はナチス・ドイツの占領下での鉄道労働者の抵抗運動(レジスタンス)を描いています。
映画「鉄路の闘い」予告編
https://trailers.moviecampaign.com/detail/4873

 2021年3月23日、7歳の女の子がマンダレーの自宅で治安部隊によって父親の目の前で銃殺されました。治安部隊は家のドアをこわして押し入り、「ほかにだれもいないのか」と言いながら銃を発射しました。彼女の19歳の兄も連行されました。
ミャンマー治安部隊が7歳の子どもを殺害(動画ニュース約3分) 
South China Morning Post
https://www.youtube.com/watch?v=xV_sUfpmwkQ

市民に暴行を加えるミャンマー治安部隊(動画ニュース約6分)
https://www.youtube.com/watch?v=MJqFN1k1pqs

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