映画「また逢う日まで」、「人間の條件」など
戦争について考えるためにも観ておきたい日本映画をいくつか。いずれもアジア太平洋戦争の時代が背景となっています。
「また逢う日まで」(今井正監督、1950年)
軍国主義や前近代的価値観に違和感を感じ、家族とも距離ができている三郎。母親とふたりでつつましく暮らしている蛍子。街が空襲に見舞われている時代に二人は出会います。そして、戦争は二人の真摯な恋愛も打ち砕いてしまいます。ロマン・ロランの『ピエールとリュース』が原作です。
「人間の條件」(小林正樹監督、1959年)
日本が事実上植民地支配した旧満州国を舞台とする大作です。仲代達矢が演じる主人公は、戦争を嫌悪しつつも、鉱山の労務管理者として、また兵士として加害者の立場に立たざるを得ません。そして、苛酷な体験を重ねた末に、自らも犠牲者のひとりとして結末を迎えます。この映画は3本に分けて制作され、上映時間は合わせて9時間を超えます。
「二十四の瞳」(木下惠介監督、1954年)
『二十四の瞳』(壺井栄)の映画化作品。小豆島の分校の大石先生役を高峰秀子が演じています。この映画を観たある中国人の方が「中国だけでなく日本の人びともまた戦争の犠牲になったことがわかった」という感想を述べたということです。
「ゆきゆきて、神軍」(原一男監督、1987年)
ニューギニアに派遣された部隊の中で終戦時に起きた射殺(処刑)事件。加害者である上官らの責任を徹底的に追及しようとする元兵士奥崎謙三の行動を追ったドキュメンタリー作品です。
『ピエールとリュース』 ロマン・ロラン 宮本正清訳 みすず書房
『ピエールとリュース』 ロマン・ロラン 渡辺淳訳 鉄筆
『人間の條件』 五味川純平 文芸春秋(文春文庫)・岩波書店(岩波現代文庫)
『二十四の瞳』 壺井栄 角川書店(角川文庫)ほか
「人間の條件」(小林正樹監督、1959年)予告編
「二十四の瞳」(木下惠介監督、1954年) 予告編
「ゆきゆきて、神軍」(原一男監督、1987年)公式サイト