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visual diary 📱📝 20250211



11 February 2025
きょうから、東近美では『MOMATコレクション展』が始まりました。

12のギャラリー それぞれに、研究員が考えたテーマがあって、そのテーマのもと、作品が所蔵品から選ばれ展示されています。

印象的だったギャラリーのひとつが8室。
テーマは「反復がもたらすもの」。

視線の先に広がるのは、規則的なパターン。

でも、じーっとよーく眺めていると、次第にそのズレやムラに気づき、気になってきます。

最初は機械的に見えたものが、実は人の手によってつくられていて、繰り返すうちに個性がにじみ出てきているよう。
そのわずかなズレやムラが作家の身体のリズムや制作の軌跡を映し出していて、画面の中に、人間が関与した痕跡やその時間がみえてきます。

1960~70年代のアーティストたちは、こうした〝反復〟を通して、人々が心に思い描く像(イメージ)の認識プロセスそのものを問いかけ、探究していたのだそう。

繰り返されることで、その像は新たな意味を生むのか。
あるいは、なにかたいせつな価値すらをも 失ってしまうのか。

〝反復〟という手法は、単なる視覚的な美しさを追求するものではなく、視覚情報の流通や受容のされ方そのものや表現の主体性などを問い直すものだったようです。

翻って、2025年の私たち。

次々と情報が押し寄せるスクリーンやモニターに囲まれて、視覚情報が氾濫している時代で絶賛生活中。
SNS、広告、ニュースなどを通して、膨大な数の情報が高速で消費されて、次々と新しいものに置き換えられています。
画像生成AIやアルゴリズムによって、情報の生成・拡散のスピードがどんどん加速していて、「オリジナルって?」「今見ているものは本物?」といった問いが、かつてないほど複雑に🤔

50年前、60年前のアーティストたちが、視覚情報の認識プロセスや「同じものを繰り返し見る」ことの本質を問い探究したように、

2025年の私たちも、繰り返し目にするそれらの意味や価値について考えながら、そのリテラシーを磨いて、振り回されないようにしなくては…。
そんなことを自省する展示でした。

過去の美術のムーブメントを回顧すると いうだけではなく、先人たちの思考を静かに辿るような時間でもありました。

李禹煥《点より》(1977年)

ソル・ルウィット《ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。角や辺から発する円弧、直線、非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部。》(1994年)

#MOMATコレクション
#art #exhibition #tokyo

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