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visual diary 📱📝 20250224

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23 February 2025
今日は、東近美『所蔵品ガイド』の担当日。
対話鑑賞のファシリテーターを務めました。

鑑賞した作品は3点。
そのうちのひとつは、ソル・ルウィットが1994年に制作した《ウォール・ドローイング#769 黒い壁を覆う幅36インチ(90cm)のグリッド。角や辺から発する円弧、直線、非直線から二種類を体系的に使った組み合わせ全部。》(タイトル 長〜い😆)。

通常、対話鑑賞では「キャプションをお読みにならないで、まずはじっくり作品をご覧ください」と促します。

でも、この作品は、吹き抜けの壁3面にわたる大きな構成で成り立っていて、じっくりみようとすると、どうしてもキャプションやこのドローイングのパターンに関する情報が視界に入ってしまいます。

そこで、少しアプローチを変えて「じっくりみて、何か発見をしてください」と問いかけました。

すると、参加者の皆さんは「線の組合せに規則がある感じ」とか「描き出しの場所が決まっている」などいろいろ発見していきます。
「そうですね。線の種類が幾つかあって、決め事があるかのように、パターンに則って描かれていますね」

そのパターンを皆でおさらいしているうちに「あれ、非直線は非直線だけど、でもコピペのように同じというわけではない」といった気づきが出てきました。
単純な繰り返しに見えた線の集積の中に、わずかな違いやゆらぎがある。この作品ならではの特徴をみつけはじめます。

この作品は、幅90cmのグリッドの中に16種類の円弧、直線、非直線が2つずつ組み合わされ、全部で120通りのパターンによって構成されています。
しかし、シンプルな線の集合は一見規則的に思えながら、じっくりみることで、微妙なズレや人の手で描かれたならではの表現がみえてきます。

最後に皆さんに問いました。
「ルウィットはこの作品を1994年に制作、そして2007年に逝去。東近美はこの作品を2018年に購入、そして2020年にこの壁に描いて展示……では、これは誰が描いたのでしょう?」

この作品の背後には、ルウィット独特の制作プロセスがあります。
彼のウォール・ドローイングは、アーティスト自身が描くのではなく、設計図(指示書)をもとに「ドラフトマン」が描き上げる。
作品が展示されるたびに、指示書をもとに新たに制作され、設置されるもの。

東近美に展示されている作品は、日本にお住まいのドラフトマンとアシスタントが、1ヶ月半かけて制作しました。

ルウィットが亡くなった後もなお、新たなウォール・ドローイングが制作され続ける。

「え? 本人が描いていなくても、それはソル・ルウィットの作品なの?」
そう思ったら、まさに彼の問いかけに触れている証し🤓💡

「アーティストとは?」
「作品とは?」
「オリジナルって?」
—— 当たり前のように捉えていて、普段は全く疑問にも思わないようなことをこの作品は問い直してきます🤔

ルウィットの作品を通して、作品についてディスクリプションするだけでなく、自身の〝先入観〟についても、じわ〜っと考えることになっていきます。
当たり前と思っていたことって本当に当たり前? さて、その問いの答えは…。

途中「うちの塀に描かれたら消しちゃうなぁ」というご発言も。
「これは美術作品?」という問いの延長線上にあるご発言。
それによって作品が提示する〝境界〟の曖昧さを考えてみたり。

皆で静かに考えを巡らせる、問いが問いを生む近現代美術ならではの楽しいもやもやを持ち帰るような余韻が残る時間になりました。

#SolLeWitt #ウォールドローイング #MOMATコレクション #対話鑑賞 #InquiryBasedAppreciation

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