県知事候補の熊谷俊人氏に質問〜南房総、館山など安房地域のZOOM対話会
千葉県知事選挙を控え、全千葉市長、千葉県知事候補の熊谷俊人氏と、南房総、館山など安房地域のZOOM対話会が開催されました。主催は館山市議会議員の室厚美さん。私は室さんのFBで対話会について知り、観光施策や移住推進などについて質問させていただくことになりました。当日知ったのですが、なんとトップバッターでした。
プロポーズは北条海岸
対話会、最初は熊谷氏のお話より始まりました。
冒頭、南房総、館山エリアにはには昔から足をよく運ぶ、という話の流れから
「実は、私が妻にプロポーズしたのは北条海岸なんです」
という言葉が!
ZOOM会議でしたが、中にはコミュニティセンターなどに集まって画面を見ている会場もあり、「おおー!」と、どよめきの声が上がりました。さすが、掴みはバッチリです。(写真は夕暮れの北条海岸、ロマンティックですね!たまたまいたカップルで熊谷氏ではありません)
リモートワーク、移住推進について質問
スピーチが終わり、質問タイムとなりました。質問できる時間は1分間。私はここに2つの質問を盛り込みました。最初は、リモートワークや移住推進について。
私は南房総市で宿泊施設を経営しながら、息子の中学受験を機に、県北の習志野市と2拠点生活をしています。
実は最近だけでなく、20代の頃から数えると、通算20年以上首都圏と南房総の2拠点生活をしており、旅するように場所を変えながら、自分の会社をリモートワークで経営しています。
そのため、コロナ禍でリモートワークが推進されるようになってからは、自分の宿泊施設でも「ワーケーションプラン」「ウィークリープラン」をいち早く打ち出しました。
↑私の経営するバケーションハウス「ル・ファーレ白浜」ではワーケーションプランを打ち出しており、受けた取材もテレビや雑誌など多岐にわたっている
最近ではリモートワークがどんどん一般化してきて、2地域居住のニーズも高まっており、都心に近くリゾートの雰囲気のある南房総の持つポテンシャルは非常に高い、と感じているところでした。そこで、特に安房地域への長期滞在、移住促進等に関して、熊谷さんが持っているビジョンを伺いました。
テレワークで房総の海辺や里山での2拠点生活や移住を促進
まずは、三方を海に囲まれた豊かな自然を活用した地域活性化に取り組みたい、とのことでした。そのためには東京では実現できない、千葉らしい都会に近い場所で、自然を味わえるライフスタイルを確立し、提示することが重要、とのこと。そのため、
・2地域居住に適した土地を紹介する「伝道師」の任命
・単なる特産品を紹介するアンテナショップではなくて「ライフスタイル」を訴求する東京での広報拠点を作ること、
・2地域居住を地元住民に寄り添った形で推進し、千葉にしかない魅力とライフスタイルを全国に発信すること
などをビジョンとしてあげてくださいました。
2拠点居住20年の私としては、東京と、隣県でありながら豊かな自然を有する南房総との往復生活は本当にリフレッシュでき、伝道師などが都心でお勧めする価値は本当にあると思って感心しました。
音楽やアートを取り入れての観光施策は?
次の私からの質問は、観光についてです。
私は南房総・館山の復興ソングプロジェクトというプロジェクトの代表をしており、地元の音楽家と共に、南房総から音楽で元気を発信しようという活動をしています。
復興ソングプロジェクトによる「虹を見たかい〜Have you seen the rainbow?」
観光に携わるとともに、長い間この地で音楽系のイベント企画や、ホテルでの演奏などをやってきて、南房総には特に、宿泊に重要なナイトタイムに気持ちが高揚するような機会が非常に少ないと感じていました。
そこで、例えば自然環境を生かしながら、夜の時間を含めた音楽やアートを取り入れての観光施策などがあれば素晴らしいと思い、熊谷さんのビジョンをお伺いしました。
早朝・夜間の観光イベントなどを重点的に支援
熊谷さんの回答は、まず、観光関連産業が大変厳しい状況にあることは認識している上で、再起に向け観光促進に取り組みたい、とのことでした。
そして、「確かに宿泊していただくには、ナイトタイムと次の朝が非常に重要です」とのことでした。そこが充実しないと、お客様は日帰りで帰ってしまうからです。しかし、お役所が率先するようなイベントは圧倒的に日中が多いのも事実。そのため、早朝・夜間の観光イベントなどを重点的に支援し、日帰りから宿泊へのシフトを促進することを考えているそう!
↑宿泊していただくには夜のイベントが重要。こちらはホテルでのコンサート
音楽、アートについて特に言及はなかったものの、夜間のイベント支援は本当に必要であり、アートの要素も盛り込めるのでは、と感じました。
この「ナイトタイムの充実」は本当に大切なことだと思っています。以前、観光業者として某市に呼ばれた時も同じことを提案しましたが全く実現しませんでしたので、大変嬉しく思いました。
「移住」は「魅力的な教育」とセットである
私の質問は以上で終了しましたが、他に、私は子育て中の母でもあるので教育についてが気になっていました。そして、こと移住に関しても、労働生産人口の移住は魅力的な教育とセットだと常々強く感じておりました。
千葉県は縦に長く、北部は塾もあり中学受験から予備校、大学教育まであらゆる教育環境が充実しています。しかし、南部にはそういった環境はありません。我が家はそんな中、5年前に中学受験塾のオンライン授業(黎明期でした!)を受け、南房総から県北の中学を受験しました。
しかし、本来的には県南は県北型を目指さず、全くビジョンを変えて自然を生かしたオルタナティブ教育的なものを充実させていくことで、魅力ある移住先になるはずだとずっと感じていました。モンテッソーリ、シュタイナー、イエナプラン、サドベリー、レッジョ・エミリア・・・魅力的なオルタナティブ教育というのはたくさん存在しますし、実際、長野県に日本初のイエナプランスクール「大日向小学校」ができたことで、長野移住に興味を持つ方や入学を検討する方、そして実際に移住する方もいました!
↑ 母親アップデートコミュニティ(HUC)で行ったオルタナティブ教育の勉強会
以前、教育研究家のおおたとしまさ氏を迎えての「世界7大教育に学ぶ 才能溢れる子の育て方」読書会で学んだのは、オルタナティブ教育というのはどれも「全体主義に対抗するため」に出てきたのだということ。人民を「管理」しようというシステム構築に抗い、人間の感性を豊かにし、個を解放するものであること。だから今の日本には必要なものなのだということ。「個の時代」を迎えるにあたって、本当に必要なのはこういう教育です。
息子を通わせた館山市の神余小は、そういう意味では里山のスモールスクールで、非常に環境が良かった。ただ、いつ統合されてしまうかわかりません。
魅力的な教育を求めて長野を検討する人を見るたび、同じ自然豊かな環境でしかも東京の隣にありながら、教育というファクターで選ばれない房総を残念に思っていました。移住には魅力的な教育が肝であるのに、そこを論じようとしても誰も聞いてくれなかったなぁ・・・
熊谷さんは、千葉市長時代に公教育の改革に取り組んでもいて、教育の施策については非常に気になりました。
プレイパーク、そして森のようちえん
教育関連では、こんな質問がありました。
「知識詰め込みでなく、子どもたちの自発的な学びを重んじる学校、あるいは学校以外の場があると望ましいと考えています。熊谷さんが進めてくださった千葉市のプレイパークのような取り組み、あるいは他になにか子どもの育ちを応援する政策を全県的に展開されるようなことは検討されていますか?」
私の所属する母親アップデートコミュニティ(HUC)でも、プレイパークは大人気ですし、森のようちえんなど自然保育に携わるメンバーもいます。前回の記事でも書きましたが、自然保育は北欧とも深い関係があります。
「私自身も子育て世代の市長として、子育て、保育所への送迎などしながら、一つひとつ子育て環境を拡充してきた」と熊谷さん。
「プレイパークももちろんですが、森のようちえんなどの自然保育の認証、支援をしたい」とのことでびっくり!!
↑先日大房岬で見かけた、森のようちえん「はっぴー」のみなさん。
南房総では、既に森のようちえんに対する取り組みがあります。その上に「子どもを伸びやかに育てる自然保育の環境を整備して、千葉県の魅力としたい」とのことなのです。ずっと願っていた「魅力的な自然を生かした教育」を公約に盛り込んでいて、嬉しくなりました。教育がいいから、千葉を選ぶ人が増えてくるかもしれません。
千葉市長時代のたくさんの実績
他にも「オーガニック給食」「男女共同参画・多様性」など、興味深い質問がいくつも挙がっていました。
驚いたのは、千葉市長時代に、既にこういった問題についてたくさんの実績を挙げておられること。特に育児休暇については市長自らが取得し、千葉市の男性職員の育休取得率は92.3%と、地方公務員の中で断トツだったことは大きなニュースになりました。日本全体ではたった8%、どれだけ断トツかがうかがえます。
育児休暇については、昨年訪れたシンガポールや、前回書いた北欧などの話を聞くにつけ、日本は何と遅れていることだろう、と感じます。ここのところのニュースから漏れ聞こえてくる日本のジェンダー観のやばさには、憂鬱になるばかりです。
しかし、数年でここまで改革した千葉市を見ていると、やればできるんだなぁ、と感じます。日本で常だった「出世コースから外れる」「復帰後やりたい仕事から外される」そんな心配をさせない雰囲気が千葉市にはあるのでしょうね!素晴らしいことだと思います。
そんな熊谷さんの県政ビジョンはこちらに語られています。「女性の起業家を育成、支援」も盛り込まれていて、嬉しい・・・
政治に希望が持てると思ったのはいつ以来だろう
質問を終え、熊谷さんのビジョンは「これまでの県南の悲願を政策にした」ようなものだなぁ、と感じました。一言で言って、大変希望が持てました。
また、自然保育や男女共同参画、私たちが憧れる北欧型の要素をたくさん持っていることにも気づきました。幸福度の高い北欧型社会に近づけば、私たちの幸福度も上がりそうです。
そして「政治」のようなものに希望が持てると思ったのはいつ以来だろう・・・とふと考えました。ひょっとして、生まれて初めてかもしれない。政治というものに私たちはいつでも、がっかりさせられ、裏切られたような気持ちになり、あまり考えたくない、という気持ちにさせられてきたような気がします。
まだ他の候補のお話を聞いたわけではありませんので、これだけでの判断は控えますが、ひとまず、このような候補が県政に出てきてくださったことには大いに感謝です。
今まで切り捨てられていた(ように感じる)房総地域にも深い理解があり、地域の特性を見て独自の政策を展開しようとしていること、大変嬉しく思いました。Zoom対話会、ありがとうございました。
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