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独書思想史

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僕の読んだ本のメモと一部にイシューを見つけ出し答えを求めようとすることを試みるマガジンです.
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#読書

2025年の幕開けと内田康夫

2025年の幕開けと内田康夫

「僕はあと何回、満月を見るのだろう」

これは「シェルタリング・スカイ」で原作者のポール・ボウルズがナレーターで語った一節。僕の好きな映画の言葉でもあるんだけど、なんと言っても坂本龍一ファンにとっても好きな一節だと思う。

年末は憧れの坂本龍一教授の著書『僕はあと何回、満月を見るのだろう』を開いて過ごす。時は2025年、寿命100年時代と言われる社会では満月は特別なものではなくなってきているのかも

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師走と暖冬、、、トレンドの外読書

師走と暖冬、、、トレンドの外読書

12月の初旬、連日の気温は15度前後の推移で薄手のニットで事足りる。

白菜が育たないだの異例のトウモロコシの大収穫など日本の変貌には憂う気持ちと罪悪感が募らせる。

11月の下旬に小石川後楽園に訪れた時全く紅葉の気配を感じず四季の終焉を感じたが観光客は全く気にすることなく写真を撮っているのには驚いた。

まあ私も最初のうちは気掛かりだったが三福団子を食べているうちに冷えない指先が暖冬も悪くないな

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寒すぎる、、、そうだ読書しよう

寒すぎる、、、そうだ読書しよう

早朝のスマホから鳴り止まないアラームを止めるために布団から手を伸ばそうとするが、また寝てしまおう、とよからぬ思惑が頭をよぎる。

時期を考えれば少し早く出してしまったかと思っていた毛布が手放せない。

まだ目に十分な光が入ってきていない状態でニットと靴下を履きリビングに足早に向かう。コーヒーを淹れるためにマシーンを触れるが、洗い物と“時間“を考えるとインスタントのコーヒーで十分だ。

お湯を沸かし

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人生の大一番、そんな9、10月

人生の大一番、そんな9、10月

高校三年生の最後の夏が終わり、着々と進路が決まっていく時期。僕も、他の人に負けじと勉強に励む日々。

8月が過ぎ、9月、10月と時間は過ぎても暑さはずっと付いてくる。「付いてくる」が正しい日本語なのかはわからない。だけど、10月の下旬を迎えた今も二の腕の赤い部分が痒い。

新書・単行本

渋沢栄一氏著『論語と算盤』(守屋淳訳)現代日本の経済の父と呼ばれる渋沢栄一は論語の言葉と商家の算盤を掛け合わせ

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色々忙しくて。。。8月

色々忙しくて。。。8月

今月1ヶ月の読書の感想と共に本を読んでくれる人が増えればいいなという思いで記録をつけています.選書の参考程度になればいいなと思っています.僕のTwitterの方で付けている記録を元に一部改変しながら書いています.下記にリンクが僕のアカウントになります.(よかったらフォローして友達になってくれたら嬉しいです.)それでは、

単行本・新書編

佐藤 優,宮家 邦彦氏著『世界史の大転換』31日未明にハマ

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Monthly 読書days 文月編

Monthly 読書days 文月編

今月1ヶ月の読書の感想と共に本を読んでくれる人が増えればいいなという思いで記録をつけています.選書の参考程度になればいいなと思っています.僕のTwitterの方で付けている記録を元に一部改変しながら書いています.下記にリンクが僕のアカウントになります.(よかったらフォローして友達になってくれたら嬉しいです.)それでは、

新書,単行本編

クリス・アンダーソン著のLONG TAILロングテールはニ

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ペストが作り出した無造作な社会

ペストが作り出した無造作な社会

“パンデミック“

2020年を代表する言葉といえばコロナによって破壊された社会を想像させる.社会が目指した団結した世界、一つの世界が蔓延を助長させ、偉大な国の自由の女神像の前は疫病によって無惨にも死んでしまった人たちが並べられた.疫病が人類を殺していくスピードに埋葬が間に合わなかったのである.コロナは死者の前で泣く権利も与えられない.泣く時間も与えてくれなったのだ.

世界中の人々が“ステイホー

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21世紀に赤い繭は否定できるのか

21世紀に赤い繭は否定できるのか

1950年の大作、安部公房の『赤い繭』は今でも多くの人に読まれている作品の一つだ.

この話のキッカケは今年が安部公房の生誕100周年ということで書店に特集コーナーが設置されていたところから始まる.

安部公房といえば第二次戦後派の大岡昇平『俘虜記』や堀田善衛『広場の孤独』などと一緒に知られる文学会のスーパースターである.

最近では国語の教科書に掲載されていることもあり、名前だけでも聞き覚えがあ

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自己認知で出来上がった歴史の修正

自己認知で出来上がった歴史の修正

「いい国(1192)作ろう鎌倉幕府」

高校受験を振り返ってみれば社会が一番暗記に苦労した思い出が蘇る.いくら覚えようとしても既にインプットした情報でストレージが一杯.記憶容量を増やすなんて物理的変革がない限り無理だ.

そんな苦しい思い出のある社会という科目だが、この本を見れば多少は解消される.

まず僕らのやっている歴史というのは時系列が存在して、そこに名前をプロットしインプットするという作業

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行きたい世界が家の中にある世界

行きたい世界が家の中にある世界

「自由にどこにでも行ける世界」

僕の小学生の頃にずっと憧れれた世界だった.ドラえもんが四次元ポケットから“どこでもドア“を出してくれて「今日は暑いから海に行こう!」「今日は寒いからタイに行こう!」なんて世界を真剣に考えていた. 

でも小学校高学年にもなれば面白くないほどに現実が見えてきてしまう.

僕は海外に住んでいた時、休みの時期になれば必ず旅行に行っていた.みなさんもご存知の通り国境を越え

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『仕事選びのアートとサイエンス』

『仕事選びのアートとサイエンス』

本屋に行くと大抵置いてある転職関連のビジネス書.

でも学生の僕には全く関係のない事だ.まだ悠々と高校生活を楽しんでいるし仕事は自分の好きな事をっていう漠然なイメージしか持っていない.

でも社会では転職が正義かのように促す風潮が強い.
スマホを開けば転職の広告,テレビを見れば転職の広告.なんだか大人になったら転職するのが正しいかのように思えてくる.

それに転職は当然の事ながら歳をとるにつれて難

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『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

水島治郎著『ポピュリズとは何か』から見える現代のポピュリズム的動向について少し考えてみたい.近年、ポピュリズムの概念が普遍的な理解として広まっている.しかしポピュリズムの認識はいずれも「悪」や「扇動」「独裁」といったデメリットの部分の認識が強いと感じる.

最近急激に支持層を増やしていった「れいわ新選組」や「NHK党」は正にポピュリズム政党に当てはまる.さらに遡っていくと元大阪市長の橋下徹氏が創設

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『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

最近では中小企業になるほど社員同士の役職格差はなくなりチームプレーの意識が尊重されている.社長は肩書だけで実際には社長も社員も同じように意見を出し合っていたりする.大切なのはチームプレーではなく、どれほど大きな結果を残すことができるか.だと思う.

この本では上司の部下に対する教育の考え方やプロジェクト以前の普遍的な意識の養い方などを提示している.

ここでは上司と部下として名前が存在しているが上

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