見出し画像

コロナの中、音楽家たちと対談してみた 〜パート3(完結編)〜


左上から時計回りで和田、筒井、﨑谷、西浦(敬称略)

この動画のリンク

この対談の参加者

﨑谷 直人  #神奈川フィル #コンマス #プロオケ #ヴァイオリニスト #音楽家 #LEOパートナー  
和田 一樹  #指揮者 #音楽家 #LEOパートナー
西浦 詩織  #コンマス #ヴァイオリニスト #フリーランス #音楽家 #LEOパートナー
(聞き手:筒井 #アマオケ #LEO

パート2はこちら
https://note.com/leorch_tokyo/n/n6ca2bd5fe3ba

音楽活動の再開の目処は? 

和田:﨑谷さんに改めて聞きたいんですけど、我々音楽ファンからするとやっぱり再開の時期っていつ頃なのかなって思ってるわけです。普通にっていうとちょっと色々あると思うんですけど、演奏会の再開のタイミングって、楽しみにしてるファンからしたらちょっと聞きたいところかなと
﨑谷:難しいよね。
﨑谷:これもだから…皆さんやっぱりこれも知らないけど、例えばオーケストラだったら、放送局のオケ、新聞社のオケ、100%行政が支援してるオケ、うちの場合なんか神奈川県とか横浜市とかも協力してもらってるけど、神奈川の企業さんだったり、僕らはサポーターって呼んでる個人の方で、定期会員だったり寄付してくださってる方がいて成り立ってるわけだけど、そういう形態によっても全然違うよね
和田:オーケストラの状態とか。
﨑谷:そうそう、例えば僕ら神奈川フィルとかは、企業さんからの依頼演奏会とか冠コンサートっていうんですけど、そういうのもあるし、我々の自主公演っていう県や助成金もらいながらやってる活動もあるし、同じ演奏会って言っても判断基準ってまた全然違ったりする。民間の人たちのタイミングっていうのと行政のタイミングっていうのは全く違うんだよね。ここのいま調整がものすごく難しいです。
和田:一概にいつからとは言えないけれども、一応緊急事態明けてここからまた再開に向けて、という時期っていうことでしょうね
﨑谷:我々もどういう方向だったら生でお客さんに届けられるかなっていうの考えていかないといけないと思う。プログラム変えることろからはじまって、ソーシャルディスタンス、奏者同士のっていうのはどうしたら解決されるのか、科学的な部分もそうだし、やっぱ人に不快感を与えてはいけないと思うし、ましてやクラスターなんか発生させちゃいけないと思うし。お客さんの中での発生だけではなくて奏者の安全性っていうのもあるし、そういうのを今検証していくところだと思うんですよね。第二波、三波と来るのかどうか、僕が専門家じゃないからわからないけども、来てしまうこともある意味想定してやっていかないとってなると、やっぱり表立ってぜひ来てくださいってやるのも難しい状況にあるのをぜひ理解してもらいたいかな。やりたい気持ちは山々なんだけど、そこのリスクマネジメントっていうのを各オーケストラの事務局だったりが今調整してるし、だから僕はオケ以外の活動ってのが半分くらいなんで、ウェールズ弦楽四重奏団とか、ソロ活動だったりとか、別の室内楽、やっぱりそれぞれタイミング違うんだよね。このくらいからはじめたいっていうのと、たとえ行政が絡んでてもタイムラグがあるし、じゃあそこでもし僕が先に演奏して、自分がコロナにかかってしまったときの神奈川フィルへの影響とかって。立場も立場なんでっていうのも考えちゃいますし…そのバランスだなぁ。
和田:いろいろなことを踏まえながら再開していくということですよね。
﨑谷:安全にね。弾く側も吹く側もっていう風に。
筒井:だから案外アマチュアのほうが先に再開する可能性もありますよね。そういった利害関係が少ないし、本当に練習場所と本番できる会場さえあれば、やってしまえるから。別にそれが良いとは言わないですけど、自発的に動けるっていう意味だとそっちのほうがもしかしたら早い可能性だってありますよね。
和田:まあ例えばLEOでもし練習を再開するって言ったときに今崎谷さんがおっしゃったソーシャルディスタンスの距離を守ってやられたりとか、そういう風にLEOも少しずつ合奏を再開してくっていう意思は筒井さんの方にはある?
筒井:僕らも結局会場がないと練習はできないので、会場がどういう方針を持つかっていうのは当然あるんですけど、仮に会場が使っていいですよってなったとしても、少しやっぱ慎重にはなりますよね。仮にその結果、万が一感染した人が出ましたとかっていった場合に、それでもきちんと対策はしていたのか、それは任意団体であったとしても説明はしなきゃいけないと思っていて、説明できるだけの準備はやっぱりしたほうが良いと思います。
和田:LEOはしっかりそこに対応してやるという、ということですよね。
筒井:もちろんそれはそうだとおもいます。

練習レシピの配信について 

和田:筒井さんだけじゃないと思うんですけど、当たり前のようにアマチュアの皆さんも合奏ができてた人っていうのは音を出すことができてたと思うんですけど、もちろん全員が全員防音室に住んでるわけではないと思うので、どうしようと思ったときに、﨑谷さん配信されていた弓の使い方、ロングトーンの回(の動画)があったと思うんですけど、僕の周りからするとすごい勉強になっていて、あれをコンマスが、まさかあの動画でずっと載せてくれるっていうのはプロでも勉強になる。あれは本当にアマチュアの音楽家からしたらすごく嬉しかったと思います。
西浦:﨑谷さんのような素晴らしい音楽家の方が普段なにを考えて演奏されているかとかっていうのを配信で聞けるってめちゃくちゃ勉強になるなって思いました。
和田:プロとしても勉強になりますっていうことですよね。
﨑谷:やっぱりそれはね俺も思ったよ。LEOじゃないオケなんだけど夏にブラームスのコンチェルトを弾く予定があってね、和田くんと一緒に。
和田:なくなってしまってほんとに残念
﨑谷:僕もすごいブラームス、それこそ今年ブラームスいい感じでいったら来年神奈川フィル持ってこうかなとか、そういうのもプランニングとしてあったんで、でも彼らも練習なくなっちゃなあとか思うと、家でできる基本的な練習方法とかっていうのを少しでもみんなに届けられればと思って…それがプロじゃない?「プロフェッショナル仕事の流儀」とかで、最近すごかったよ、三ツ星シェフが、家にある具材でおいしく作るとか、三ツ星ラーメン屋の店長がカップラーメンで作るアイディアとかを惜しみなく出すからね。そういう本当の一流のプロって。
和田:そういう形ですよね。﨑谷師匠の出してくれた味ですよ
﨑谷:でもう一つあるとしたら、見てもそう簡単に真似できないよっていう自信もあるんですよ。俺はそれで飯食ってますから。だけど、それで皆さんが楽しんでもらえたり、少しでも参考になるものがあれば、今は惜しみなく出しますよって。普段はもちろんプロだからね、そんな簡単にレシピを教えるなんてことはしないだろうけど、違う世界のプロフェッショナルを見るとすごく感じるよねそれを。かっこいいよね、家のキッチンで。
和田:でもまさにそれをやられていたからすごく感動しましたよね。
﨑谷:音楽の世界もそうなっていったらかっこいいよなって思って。
和田:皆さんの話を聞いているとねすごく元気になってくるというか、本当にありがたいですね。でも本当に再開のタイミングはね今言えないですけどすごい楽しみに。
﨑谷:みんなで見計らってね。

小編成での活動再開について

和田:西浦さんの活動からすると、「ぴろあり」ってすごい有名なグループあるじゃないですか。あれだけ大人気のグループですけど、舞台上に2人だけでいいので割とオーケストラよりは始めやすいと思うんですけれども、西浦さん的にはぴろありでどんどん始めていくっていう、熱い思いっていうのがあったりするんですか?
西浦:いやーでもお客さんあっての演奏会だと思うので、お客さん全員が安心して聴いて頂ける環境になるまではなんかちょっと演奏会をするのは怖いなっていうのはあります
和田:なるほどね、やっぱりそこも含めての演奏会ということですよね。お客様も含めてね。
﨑谷:でも、強いよね。そういうさ、少人数でも楽しませるっていう術を持ってるのはさ。西浦だったら有紗とやってるのもそうだし、ここ最近ウェールズカルテットの連中と話す機会増えてきて、オケよりは俺らだろ今って言ってる。だから僕らでこれからやれる活動っていうのをそろそろ4人で提示していこうかっていうのは少しずつ話してますよ。そういう意味ではやり続けてよかったなと思うよね。そういう小編成とかも。筒井くんだって、室内楽レッスンしたけどさ、ああいう活動だったら徐々に再開できるかもしれない。
和田:特に神奈川フィルは僕はすごくそういうの、この前のデリバリーコンサートも含めて、オーケストラの中からメンバーが室内楽やったり色々なパッケージで出しているという印象がすごく強かったので、どんな状態でも対応できる。それはアマチュアオケでも一緒で、常にオーケストラでやらなくてもというかメンバーの中で室内楽を今はやって研鑽を積むとか、そういうやり方でも音楽活動が復活していって良いのかななんて思いはありますけどね。
西浦:神奈川フィルさんのあの動画良いなって思いました。弦楽四重奏でアイネクを演奏している動画が上がって、1stバイオリンだけ皆さんで弾いてくださいっていう動画が上がっているのを見て、視聴者も一緒になって参加型の動画ってめちゃくちゃいいなって思って見てました。 
﨑谷:あんなのも団員さんの意見だからね。
和田:素晴らしいですよねそういう意見ね。

指揮者の活動再開について

筒井:ちなみに和田さんは指揮者としての活動の再開はどうなるんですか?
和田:もともと指揮者というのはたくさんの人数が集まってそれでなかなか合わないところに必要とされるので、ミスター三密と言われているわけですよ。なので指揮者で言えば、しばらくない、というかもう3密解除になるまでないんですけれど。でも指揮者の仕事って本番よりもリハーサルと、更にリハーサルの前にどういう風に曲を理解して準備してっていうことなので、その準備期間はたくさん増えてます。ただ残念なのが準備している曲が中止になりましたってなるとちょっと凹みますよね。それはその演奏会のための勉強ではない、自分自身にとって大事な一つの勉強ではあるんですけれども、中止になりましたっていうのはちょっと切なくは感じます。
﨑谷:一口に指揮者っていってもさ、それこそ、やっぱ武器持ってるかっていうのはこれから問われるよね。いい指揮者かどうかとかって、いい音楽家かどうか、いいスコアリーディングして、いい振りができてっていうだけではなくて、和田くんくらい、子供たちを喜ばせるって、ただ指揮がうまくてもできないものだと思うんだよね。子供を惹きつける何かとかさ、それが言葉やコミュニケーションだったりするかもしれないし、もっと学者肌の指揮者の方とかは、それを学問として説いていくような活動っていうのがあってもいいと思うし、それぞれやっぱり武器を見つけていかないとそれは我々音楽家だけじゃなくて、演奏家だけじゃなくて、指揮者もそうかもっていう話は、それこそ川瀬くんとかともするし。阿部未来とか、若い指揮者ともしますけど。
筒井:和田さんからは、LEOの団員向けに今度僕ら新世界とかドヴォルザークやるんで、ドヴォルザークってこういう音楽だよとか、生い立ちこうだよっていうのを「note」にまとめてアップしていただいたんですよ。さっきおっしゃっていただいたリハの前の勉強の段階のチラ見せじゃないですけど、なんかそういうのをこのタイミングで公開いただいたのが新鮮でしたね。
﨑谷:いいよねなんかそういう、弾く前の段階で、知る材料を提供をしてくれるってすごい良いと思うんだよね。飯森範親さんの YouTubeですごい面白かったのが、ペスト禍のモーツァルトっていうのをお話されてる動画があって、モーツァルト自身も旅の途中でかかったりとか、貴族の人のお祝いをするためにモーツァルトがウィーンに駆けつけたけど今までで言う三密状態で、今と似たような状態でモーツァルトは活動できなくなってっていうお話から入って、その頃書いた曲で自分のオーケストラの演奏を流してなんていうYouTubeチャンネルでやってたんだけど、すごく言葉の選び方とかわかりやすくて、子どもたちなんかが見てもいい音楽と、今のコロナっていう状況、当時ペストっていうのとすごく似た状態で社会と音楽と、色んなことが結びついて物語みたいになっているし、そういうのが学びとか、知りたいっていう欲求につながると思うから、ああいうのはすごく演奏家ではなくて指揮者の人にどんどんやってもらいたいなって思ったね。
和田:﨑谷さんに言っていただいたらぜひ僕もLEOのためだけじゃなくて本番演奏する曲について、こんなことを感じたら良いとか、noteで今後も書いてみようと思います。
筒井:noteって有料化できるじゃないですか。こっから先は有料ですみたいな。だから全然物によっては有料にしても良いんじゃないかなって思ったくらい、勉強になるなって思いました。結局演奏する方たちは配信してオンラインで録って配信して、いずれはそれをお金にするみたいな話がありましたけど、指揮者の方も同じアプローチで、音楽に対して思ってることをまとめたら、最初はもちろんみんなに知ってもらう目的で無料かもしれないけど、そのアイディアそのものがお金になるものだって思うので。
﨑谷:知識だったりね、そういう事ができる人が生き残るんですよ。
和田:今日は同じ音楽の仲間なんですけど4人がそれぞれ違う立場で活動されている人たちの意見がこうも充実して、それぞれ励まされる、そして大変勉強になったと思いますけれど。なんといっても僕は神奈川フィルハーモニー管弦楽団を愛してやまない男としてはですね、神奈川フィルハーモニー管弦楽団のソロコンサートマスターを超えて日本代表するコンサートマスターとして今この音楽シーンを引っ張ってくれています崎谷直人さん、ぜひどうかご健康であられるとともにですね
﨑谷:よくつらつらとでるなあ
和田:やはり西浦さんの活動もですけど、なかなかお客さんをたくさん入れての活動は大変だと思うんですけど、引き続きファン層の獲得と、いま西浦さんについてるファンの皆さんのためにもやはり活動を続けていくという感じでしょうか。
西浦:はい。今の活動を続けていきつつ、生でできるようになったら生の音楽も届けていけたらなと思います。

「四季」の配信について

﨑谷:LEOでもこのあと配信続くんだよね。
和田:そろそろこの後の配信についてちょっと筒井さんから。今度は何を公開してくれますか
筒井:今回の配信は2018年7月に軽井沢の大賀ホールで収録したヴィヴァルディの四季から春と夏を西浦さんがソロをやられていたのでそれを配信したいと思います。
﨑谷:僕じゃないんですよソロは
筒井:いやーこれはね、僕も久々にこの前動画聞きましたけどすごい楽しみです。どんな反応か。でもすごいいい演奏だと僕は思いました。
西浦:ありがとうございます。﨑谷さんの存在感が…
和田:西浦さんからバシッと!もちろん師匠も春夏秋冬の映像わたくしも見せてもらったけど
﨑谷:全楽章神奈川フィルハーモニーYOUTUBEチャンネルで配信してますから。ぜひ見て勉強してください
西浦:全部見ます
和田:師匠に対する下剋上じゃないですけど、師匠になにか言うことありますか。どうだ!とかそういうのありましたら西浦さんどうぞ
西浦:今世中に下剋上は無理だと思うんですけど、でも本当にお世話になった師匠がここで弾いてくださっているっていうのは本当に心強かったし、本当にLEOのみんなとの思い出の動画となっておりますので、たくさんの方にご視聴いただけたら嬉しいなと思っております。LEOの方も、神奈川フィル様の方も、視聴も、チャンネル登録も、ぜひよろしくおねがいします。
和田:ピロチャンネルもね
西浦:ピロチャンネル、ありがとうございます。ピロチャンネルまだ動画1個しかだしてない…よろしくおねがいします。
一同:見てね~

「四季」の配信はこちら
https://youtu.be/FbDSSZ1cYzs

収録日:2020年5月27日



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?