#私の街の三ツ星レストラン
私の住んでいるところは贔屓見に見ても田舎である。高級なホテルや有名シェフのいるレストランがある訳では無い。
どこの街にでもあるようなチェーン店か、店員の人柄重視で安くて量の多いお店が生き残る。そんな街だ。
そんな街の一角にあるタイ人とネパール人がしているカレー屋さん。そこが私の思う三ツ星レストランである。
味はもちろん美味しい。本場の人達が作り上げるスパイシーなカレーやナン、タンドリーチキンは絶品である。
しかし真の評価は決して味では無く接客態度である。微笑みの国タイと言われるだけあって店員は常に笑顔の接客だ。たどたどしい日本語でも相手の言うことを聞こうとする態度には非常に好感が持てる。
商品の提供速度も早く、水が無くなったことには必ず気が付いてすぐに水を持ってきてくれる。
提供後も微笑みのサービスは止まず味や辛さの確認など極上の接客は留まることを知らない。
水に目が行き過ぎて注文をとることを忘れるなど可愛いものだ。たまに日本語を諦めてタイ語が混ざる時もあるがそこは人と人だ。真心とボディランゲージがあればなんとなくは通じる。頼んでもない謎のせんべいがついてきてもそんな些末なことを気にする客はこの街にはいない。
というわけで私はこの店の虜である。憎むべきコロナ禍であってもテイクアウトをしてでも食べたくなるのだ。
先日初めてテイクアウトで注文した。
そのお店公式のSNSでメニューを確認し妻とメニューを見ていた。その中にあったランチAセット。これはカレーが2種類と大きなナンがついてタンドリーチキンもあって1000円行かない。
妻が早速電話をかけ始めたので私は出かける準備をし始めた。すると妻が困った顔で電話を渡してきたので「どうしたの?」と聞くと「分からない」と答えた。
私には分からないが分からないが仕方ないのでおずおずと電話に出た。
「すみません、予約したいのですが。」
「ハイ、ヨヤクデスカ、☆@&$¥℃デスカ!」
…これを5回繰り返した。
なるほどこれは分からない。確かなことは言えないが途中からタイ語かネパール語、もしくは非常に訛った日本語だろう。
仕方ないのでわかりやすく簡潔に伝えようと思った。「12時にいきます!」プチ、ツーツー。
いきなり切れた。
戸惑いは隠せなかったが仕方ないのでお店に向かうことにした。お店に着くと流暢な日本語で「いらっしゃーい、ナマステー」と笑顔で迎えてくれるタイ人(もしくはネパール人)店員さんが「オスキナ、席ドゾー」と案内してくれたのでテイクアウトの希望言うと、何故か日本人女性がメニューを持ってきてくれた。
そこからはこともスムーズに進み会計に進んだ。
会計中お店の電話がかかってきた。タイ人の店員さんが早速タイ語で話している。また今ひとつ会話が進んでない感じもある。
いや、担当させる場所間違っとるやんけとは思ったが恐らくタイはみんなが平等で全てを任せるのだろう。いわゆるモウマンタイである。
家に帰って早速食べてみると辛口のカレーを頼んだはずだったが、完全に甘口だった。
しかしそんなことは気にしない。この街1番の三ツ星レストランなのだから。