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網膜投影

トップ絵は戦術機コクピットの典型的な映像である。右下には救出中の純夏=00ユニットが見えている。この映像のおかしい点にお気づきだろうか?

普通のスクリーン投影だったり、透過型のコクピットだったりすると、画像のような視野映像と各種情報表示システムは純夏より奥に見える(純夏が手前に見える)はずだが、この世界の戦術機コクピット映像は全て「網膜投影」のため、当然ながら全ての映像は純夏より手前に表示されなければおかしい。だが、この映像では情報表示が純夏より手前にある一方で、カメラで撮影している視野映像については純夏より奥に表示されているのだ。これは網膜投影という仕組みを考えるとあり得ない。

戦術機はガラス製の透過型コクピットではなく、通常視野についても戦術機のカメラで撮影したリアルタイム映像の網膜投影であるから、このような表示になることはあり得ないのだが、ゲーム性を重視して仕方なくこうしているということなのだろう。むしろ情報表示は手前にあるという点で、網膜投影という設定を守ろうと頑張っているのはうかがえる。こういう細かい設定遵守がマブラヴの良いところであるし、それならゲーム性無視して視野映像の重複についても拘ってよかったのではないかとも思う。

加えて、この設定が採用されているのは実はオルタ以降であり、アンリミテッドにおいてはさらに不自然な表現になってしまっているのだ。


図:アンリミテッド編でのコクピット映像

上図はアンリミテッド編で冥夜と一緒に乗り込んだ場面であるが、なんと情報表示の映像も冥夜より奥に移っている。これは網膜投影方式ではありえない現象なので完全に設定の把握ミスである。以前の記事でも言及したが、アンリミテッド編の頃は、細かい設定がオルタ以降で変化している部分なども多く、まだ煮詰まっていない点も多かったのだろう。もっとも網膜投影の設定自体はアンリミテッドから出てくるので、これはシンプルな認識不足なのだろうが。なお設定変更についてはバージョンが進むにつれて修正されている点もあると紹介したが、私の知る限りはこのミスはかなり新しいバージョンでもそのままだった(ここは強制オートで進行するクライマックスのパートなので直すのが面倒なのかもしれない)。

以上のように、キャラの奥に網膜投影の画像が出てくるという謎現象はゲーム性の観点から仕方ない理由や認識不足またはプログラムミスのせいで、どうしても散見される。だが、実際にはコクピットに人が乗っていたところで網膜投影の実背景消去モードであれば全く見えない状態になっているはずなのだ。まあこの辺りは考えれば考えるほどゲームとの矛盾が出てくる部分として紹介させてもらった。

ただこの情報表示はゲーム的には各パーツを細かく指定して組み合わせて表示させているので、それなりに大変なプログラム作業だと思われる。この情報は高度や角度、速度に方角と状況に応じた情報が表示されているのだが、それを場面などに合わせてかなり整合性を取りながら表示しているのだ。たまにミスはあるのだが(移動中なのに速度が0km/hなど)、こういう細かい部分に注目してみるのも楽しいのでぜひ気にしてほしい。そして、こういうことを気にしていると上記のようなミスにも気づいてしまうのだが、それはそれで楽しみ方である。むしろ大半の場面で設定を守った表現を心がけていることをほめたたえたい。

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