#3 カードの種類と関連法令〜クレジット、デビット、プリペイドの話〜
はじめに
前回までの2回でカード会社の2つの顔(#1)と収益モデル(#2)について書きました。仕組みの話に行く前に、
・カードの種類とついでに関連法令
・カード自体の仕様(書きました→コチラ)
について書いておこうと思います。仕組みを理解するにあたり重要な前提知識となります。今回はカードの種類と関連法令についてポイントだけをかいつまんでさらりと書こうと思います。
カードの種類
日本はクレジットカードに加えて、おサイフケータイ勢(Suica、iD、Quicpay、nanaco、WAON)と最近ではバーコード決済勢(PAYPAY、LINE PAY)によるペイ乱立戦国時代の真っ只中にあります。
日本人としてはおサイフ勢もバーコード勢も頑張って欲しいとは思うものの、ここでは国際標準仕様の国際ブランド付のカードの話をしていきます。
最近では国際ブランド付(VisaやMastercardが付いた)デビットカードやプリペイドカードも発行が相次いでますが、その違いは下表の通りで、一言で言うと
「原資の違いで、インフラはすべて同じ」
と言うことです。※ぶっちゃけ今回理解しておいてほしいのはこれだけです
例えば、お店の店員さんはお客さんから「Visaで!」と言われて、使われているのがクレジットなのか、デビットなのか、プリペイドなのかは意識してないですよね。
実はアクワイアラのシステムも加盟店と同じで基本的にはクレジットかデビットかプリペイドかは意識せずイシュアへ取引(オーソリとクリアリングデータ)を飛ばしてます。
ちなみにプリペイドの「前払い残高」は「チャージした残高」のことです。
関連法令
次にクレジットカード、プリペイドカード、デビットカードの関連法令について、ポイントを紹介します。インフラは同じなんですがクレジット、デビット、プリペイドで関係法令が異なるのでこれだけはというものを表にしました。他サイトでも詳細解説はされているので、ここでは知っておくべきポイントだけを表にしてみました。
クレジットカード:分割払いやリボ払いで支払うことができますが、この場合は割賦販売法を意識する必要があり、キャッシング(融資)を提供する場合は貸金業法を意識する必要があります。
プリペイドカード:最近はチャージした前払い残高を送金して、その残高を出金できるものが増えてます。これはチャージした残高を「資金決済法の前払い残高」と、「資金移動業の資金移動残高」を分けて管理して、資金移動残高については出金ができるように対応しているのがよくある仕掛けです。
チャージされた原資が現金相当のものが資金移動残高として扱えます(現金チャージや銀行チャージされた残高を資金移動残高として色をつけて管理しているとイメージすればOKです)。
かたやクレジットチャージやポイントでチャージした残高は前払い残高として扱う必要があります。この前払い残高は返金/出金は不可です。
現金相当の残高(ここで言う資金移動残高)の送金は本来銀行にしか認められていなかった業務ですが、1回あたり100万円までの送金に限り銀行以外の資金移動業者でもできるよう開放したものが資金移動業となります。
まとめ
国際標準である国際ブランドのカードの種類はクレジット、プリペイド、デビットがあるけど、違いは原資の違いでインフラは同じであること。そしてそれぞれの関連法令についてポイントをかいつまんで書いてみました。
次はカード自体の仕様(JIS1とかJIS2とかICチップとか)について書いてから決済の仕組みに入っていこうと思います!