スクエニがWeb3にいよいよ本気な件。2022/3決算資料を見た所感雑記

2022年5月17日 04:42

家庭用ゲームソフト大手3社*の決算が出そろいました。

各社がWeb3の波をどう捉えてどう立ち回るのかな～と、財務・経営戦略の視点から分析していて、恐ろしくて面白い示唆を得られたので、ちょっと書き連ねてみます。

異論や質問もコメントにて大歓迎です！（Twitterの方が嬉しいかも）

*大手3社：
　・カプコン(CP社)
　・コーエーテクモ(KT社)
　・スクウェア・エニックス(SE社)

まず結論から言うと

言いたいのは以下の3点です。

①SE社だけ異次元の動きをしている
②次の1年に最も注目すべきはSE社の”ルールメーカー化＋クリプトVC化”の動き
③（おまけ）なぜSE社は攻める？

分かりづらくてすみません。以下にちゃんと順を追って書きます

正直、一番言いたいことはこれです。笑
Web3領域に本気で踏み込んでくるんだな、と感じました。

今回の決算発表資料の中で、次の1年は”NFTビジネスにおける「収益構造」、「遊びの幅」、「NFT保有体験」の可能性にチャレンジ” と明記されています。

2018年の「クリプ豚」や、松田代表の「年頭所感 2019」の内容からも、NFTや暗号資産事業への興味は伺えるのですが、やはり自社のブロックチェーンゲーム(BCG)である「資産性ミリオンアーサー」の手ごたえが良かったのだろうと推察します。すげえ。

恐らく、ドラクエやFFのBCG化のような接続は、(表面上は)出てこないだろうと思いますが、SE社員陣に、Web3とBCGに関する知見と経験が溜まっていく、というところに畏怖を覚えます。

何年先の、何が見えているのだろう、、と。

そしてさらに恐ろしいのは、②の構想です。

あ、ちなみに他2社ですが、CP社もKT社も、BCGに対する決算資料内での言及は全くありませんでした。

しかし、だから遅れているというわけではないです。むしろ私は、バネをグググっと縮ませて地盤づくりをしているように捉えました。
この辺は③で。

まず(i)について。

BCGに関する法整備みたいなところのイニシアチブを取ります、と宣言されています。

今年は既に暗号資産の取引が一般的になっている東南アジアに展開するのかな？と推察しているのですが、ここで得た経験や知見も後押しして、国内企業の中で最もブロックチェーンゲームに詳しい大企業に成り上がるでしょう。

次に、(ii)について。

CVC（会社の中にVC機能を持たせる）の設立を検討しているとも明記されていて、これには大きく二つの意味がありそうだと考えています。

一つ目は、他BCGスタートアップとの差別化。
国内企業は、保有している暗号資産の価値が大きくなると多額の税金を納めなくてはならないのですが、普通は資金体力が無くて財務的に耐えきれないので、シンガポールやドバイに逃げたり、規制の緩いNFTを用いたりします。

しかしSE社は、そもそも資金体力があるし、最悪、持っているトークンを市場で売り払ってしまえば良い。

そもそもここで短期的に儲けることや資金を作ることが目的ではないので、リスクを支配下におさめたり、ノウハウだけ吸い取って売り抜けたり、という選択肢が取れます

二つ目は、VCとの差別化。

日本の現行法では、一般的なファンドが暗号資産を保有することはできないという理解です。トークン発行による資金調達が一般的なBCG領域で、これは少し痛手。

でもSE社ほど資金体力があると、そもそもファンド化しないという選択肢が取れます。

また、海外法人設立も動いているようで、二段階で準備万端。用意周到です。。

・・・と、ひたすらSE社をべた褒めしましたが笑、最も時価総額が小さく、最も売上高の大きいSE社ならではの「攻めの一手」とも言えます。

※時価総額・売上高（億円）
SE：6,900・3,700
KT：7,000・700
CP：9,400・1,100

・・・

以上です。長文読んでいただき有難うございます。

関連ニュース：
スクエニ海外子会社を390億円で売却（日経新聞, 2022/5/2）
（これも、BCG方面の投資に力を入れるための下準備なのかな、などと邪推してしまいますね）

少しでも参考になったら幸いです。
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