MarketSmithを用いた銘柄検索手順について
はじめに
以下のご質問①を頂きました。
この質問は、過去にお答えした質問②にも関係しますので、市場環境と補助指標、Industry Group分析の箇所を補足の上で、改めてnoteで記載したいと思います。
私の銘柄選定及び購入までの流れ他、購入中及び売却後の対応方法についても以下説明します。私はMarketSmithを用いておりますので、ご利用でない方は別のツールで代替頂ければと思います。
2.市場環境の確認
まずは市場環境を確認しましょう。MarketSmithのトップページにある"Market Pulse"で、以下の何れの市場環境かを確認しましょう。Investor's Business Daily (IBD)を購読中の方は、The Big Pictureから市場環境を確認できます。それぞれの項目の見方については以下のリンクを参照ください。
Confirmed uptrend
Uptrend under pressure
Market in correction
https://www.investors.com/ibd-university/can-slim/market-direction/
3.補助指標の確認
次に補助指標の確認です。IBDを購読中の方は、トップページ上部にある"Market Trend"タブから"Psychological Indicators"を選択してください。以下の画面が出てきますので、各指標を確認します。ここでは指標の見方を省略しますが、必要あれば説明しますので仰ってください。
MarketSmith利用の方は、Tickerとして"NASDQ"と"GMIAB"とそれぞれ入力してください。前者はNASDAQの主要な補助指標が、後者はNASDAQのAdvance-Decline Lineを閲覧できます。更に、これらのTickerで右端にあるタブ:Related InformationからClimateボタンを選択すれば、上記IBDのPsychological Indicatorsを閲覧できます。詳細は以下のリンク先を参照ください。
(注)"NASDQ"と"GMIAB"は日次チャートでのみ閲覧可能です。その他の時間軸(週次/月次/分次)では何れにおいても”Selected periodicity not available”と表示されてしまいます。MarketSmithのチャート画面の左上にある時間軸のボタンで”Daily”が選択されていることをご確認ください。
4.週次Industry Groupのランキング確認
以下のIBD Live FAQページにあるWeekly Industry Group Analysisの項目下にあるIndustry Group Spreadsheetを週1回ダウンロードし、状況を確認しましょう。毎週月曜日更新です。
具体的には以下のようなスプレッドシートをダウンロードできます。
使い方はこちらのビデオから確認できますのでご一読ください。
https://www.investors.com/videos/how-to-use-the-ibd-live-weekly-industry-group-spreadsheet/
5.スクリーニング
次にスクリーニングです。だいたい週末にざっと済ませることが多いです。
①CAN-SLIM銘柄の抽出
CAN-SLIMの最低限の必要要件を全て充足する銘柄に対象を限定します。具体的には以下を参照ください。各Ratingの位置付けは皆さんご存知との前提で説明を省略しますが、もし必要でしたら説明しますので連絡ください。
②トレンドテンプレートで第2ステージ銘柄に絞り込み
ミネルヴィニ氏が提唱する第2ステージ銘柄に絞り込みます。具体的には、同氏のトレンドテンプレートに該当する銘柄に限定します。 第2ステージ、及びトレンドテンプレートについては以下を参照ください。
MarketSmithをお使いの方は、4種類ある以下トレンドテンプレートのうち、最も対象範囲の広いTrend Template - 5 Month Wideを使います。好みで他のトレンドテンプレートも活用ください。
Trend Template - 5 Month
200SMAが5ヶ月間上昇トレンドにある銘柄をスクリーニング。Trend Template - 5 Month Wide
上記5 Monthと基本的には同様ですが、「株価が50SMAを上回っている」が条件から省略されており、直近の株価下落により50SMAを下回ってしまった銘柄も含まれるようになります。Trend Template - 1 Month
200SMAが1ヶ月(4週間)上昇トレンドにある銘柄をスクリーニング。直近で急上昇中の銘柄を見つけることができます。Power Play(High Tight Flag。『ミネルヴィニの成長株投資法』p302参照)やCheat Areaでの銘柄選定に際して用います。Trend Template - 1-4 Month
200SMAが1〜4ヶ月間上昇トレンドにある銘柄をスクリーニング。
③-(1)足元の市場環境が調整局面の場合のスクリーニング方法
足元の市場環境が調整局面の際は以下のスクリーニングを用います。直近RS Lineが最高値をつけている、または直近での特定期間のRS Lineの傾きが右肩上がりになっているを絞り込みます。これにより、S&P500よりも値動きがよい上昇トレンド銘柄でファインダメンタルズが良好な銘柄に絞り込まれます。
MarketSmithをお使いの方は、「RS Line Blue Dot」「All RS Line New High」でのスクリーニング基準を追加したり、RS Line 3 month / 6 monthが一定数値以上(私の場合は80以上)で絞り込みます。 絞り込まれた銘柄のRS Lineの形状をとにかく目視で見て、勢いの良い銘柄を選択します。
③-(2)足元の市場環境がBull相場の場合のスクリーニング方法
足元の市場環境がBull相場の際は以下のスクリーニングを用います。①と②を満たした銘柄を対象に、ベースを形成中の銘柄でearly entry候補を探します。
例えば、A) 一時的に下降トレンドにある銘柄と、B) 出来高減・価格収縮=Volatility Contraction Pattern(VCP)に該当しそうな銘柄を目視で確認します。両者共にMarketSmithでトレンドラインを引き上抜け時にアラートが鳴るように設定します。 VCPについてはこちらをご覧ください。
その中から、しばらくしたらベースを上抜けする可能性があるベース形成中の銘柄を絞り込みます。
このような銘柄が後日ベースのPivotエリアから上抜けすると大きく株価が上昇する可能性を秘めますが、最近の流れとして売り浴びせのリスクもあるので、そうなっても問題ないように利益バッファーを事前に積み上げる観点からearly entryで入ります。
ベース形成中ではない場合でも特段問題はありません。
④リスクリワードの計算
上記③-(1)または③-(2)で絞り込んだ銘柄を対象に、最大でも10銘柄以内に絞り込めたら、リスクリワードを計算し、各銘柄での期待利益と許容損失を額・率の両面で定めます。それに先立ち、ポートフォリオ全体での許容損失額から逆算したポジションサイズと保有銘柄数を確定しておきます。この点については以下を参考にしてください。
6.エントリー
適切なタイミングでエントリーします。
具体的には、以下のearly entry手法と分散エントリーを参考にしてください。
7.日次モニタリング
銘柄購入後は、各銘柄の売り抜け有無及びその回数が多くなっていないかを毎日観測し、弱さの兆候が出た場合は売却を検討します。但し、まだリスクリワードの観点から十分に利益が出ていないタイミングに当たる場合は、予め設定した損切り率を上限に様子を見るようにしています。売却のあり方については以下を参考にしてください。
8.取引の記録と振り返り
銘柄売却後は、想定リスクリワードとの対比で結果がどうだったのかを記録として残し、月単位で纏めて集計の上、平均利益率・損失率や勝敗率、損益レシオを計算します。リスクリワードが3:1以上となっているかを常に確認しつつ、そうなっていない場合は何が悪かったのかを振り返るようにしています。
9.終わりに
以上です。上記のプロセスを繰り返し、手法について課題感を感じたら修正していくというやり方を採っています。
上記には幾つか理解が難しい事項があるかもしれません。難しいなと感じた部分については、適宜私宛に質問箱等で連絡を頂ければ適宜回答します。
皆様ご自身の投資の参考になれば幸いです。
See you again!