ベア型ETFのエントリータイミングについて
2022年は年初から米国株で調整相場が続いています。FRBのテーパリングや金利引き上げ、B/S縮小といった金融引き締め=Quantitative Tighteningがすぐそこにまで忍び寄っているからです。
その状況下、以下のようなご質問を頂きましたので、私の対応方法をお伝えします。
1. 普段よく使うベア型ETFについて
私は楽天証券の口座を利用しているため、同証券会社で取り扱いのあるベア型ETFが対象となります。
同証券会社ではDirexionのレバレッジド・アンド・インバースETFを選択可能です。私がよく使うブル/ベア型ETFは以下です。
S&P 500を原資産とするSPXL・SPXSや、半導体関連のPHLXセミコンダクター・セクター指数を原資産とするSOXL、SOXSも対象にはなり得ます。
ただし、私は明確なトレンドが出ているときに限定して購入することもあり、S&P 500よりもNASDAQやRussell 2000を原資産とするレバレッジド・アンド・インバースETFを用いることが多い他、SOXL/SOXSは原資産の値動きを追いにくく、TECL/TECSやTNA/TZAで十分代用できるので積極的には利用していません。
楽天証券で取り扱うDirexionのレバレッジド・アンド・インバースETFリストはこちらを参照ください。
2. ベア型ETFを仕込むタイミングについて
基本的にはベア型ETFのエントリータイミングは、原資産となる指数や個別株、ETFの値動きを見て判断します。
それでは、今回は$TECSを例にエントリータイミングを検討したいと思います。$TECSのエントリーポイントを見極めるには、この原資産とほぼ同じような動きをする$QQQの株価と出来高の動きを見るのが良いと思います。以下は$QQQの日足チャートです。
この内、直近の値動きに焦点を当ててチャートを見てみたいと思います。
ピンク色の移動平均線は10日移動平均線(10-day Simple Moving Average, 10SMA)、緑色の移動平均線は21指数平滑移動平均線(21-day Exponential Moving Average, 21EMA)、赤色の移動平均線は50日移動平均線(50-day Simple Moving Average, 50SMA)、黒色の移動平均線は200日移動平均線(200-day Simple Moving Average, 200SMA)です。
まず、1/4/2022の(1)を見てください。この日は出来高を伴った大陰線で、10SMA/21EMAを下抜けした上に、50SMAに一瞬タッチしました。この2つの主要移動平均線を下抜ける動きは大変良くない動きです。
翌日1/5/2022の(2)では一旦21EMAまで株価が戻るも、今度は前日よりも大きな出来高で今度は50SMAを大きく下抜け、下ヒゲがない大陰線となりました。通常、50SMAを下抜けるアクションは売りサインと言われており、ベア型ETFでエントリーするポイントの一つになります。
但し、50SMAを下回ってから大きく株価が戻ることもあります。このチャートでは、1/12/2022の(3)と1/13/2022の(4)がそれに該当します。ここでまず(3)を見て頂きたいのですが、(3)では上値が10SMA/21EMAの抵抗にあって上抜けできていないことがわかります。その上、出来高が50日平均以下となっており少なくなっています。これは、買い需要が力尽きていることを示し、更なる売りサインと言われています。このポイントもベア型ETFでエントリーするポイントとなります。
もう一つ、(3)に至るまでの1/10/2022から3日分の株価と出来高の動きを見てください。株価は上値を切り上げて行っている一方で、出来高が逆に下がっていっているのがわかります。これは上昇ウェッジ型、またはウェッジ型と呼ばれ、出来高が乏しくなった後でかなりの確率で下落すると言われるチャートパターンです。これが発生したことに加え、(3)のチャートアクションが重なったことで、売りシグナルの成功確度が高まったと言えます。
このタイミングでエントリーせずとも、(4)で再度10SMA/21EMAが上値抵抗線となり上抜けできなかった上、出来高を伴って大陰線で大きく下落しました。このシグナルを見てからベア型ETFでエントリーすることもできたかと思います。
極めつけは、1/20/2022の(5)で出来高を伴う大陰線にて200SMAを大きくした抜けたことです。200SMAの下抜けは、50SMA下抜け以上に売りシグナルと言われています。このタイミングか、もしくは1/21/2022の(6)で終値が200SMAを上抜けしないことを確認してからベア型ETFでエントリーするということも考えられます。
3. まとめ
如何でしたでしょうか。
売りのシグナルを見極める際は、株価と出来高、抵抗線・支持線の役割を果たす移動平均線等の動きを見極めつつ、ベア型ETFのエントリータイミングを検討しては如何でしょうか。
私の場合は、1/14/2022までは買いポジションを立てていたのですが、1/18/2022に株式市場がほぼ全面安になった事象を一つのトリガーと判断し、1/18/2022に$TECSを購入しました。
皆さんご自身の投資判断の参考になれば幸いです。
See you again!