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連載「毒親育ち・・・それでも輝く50代!」第八話
「店長の衝撃的な言葉」
今、流行りの
生どーなつの新店オープン。
8月にオープンでしたが
7月の最初に面接があり
即決してもらいました。
(よし!新店メンバー
お店の立ち上げって大変だけど
研修、頑張ろう)
そう思い、店長さんに
研修の日程を伺いました。
まだまだ先の7月の下旬の
最後の週の3日間になるから
大丈夫です!
え・・・下旬に3日間だけ?
オープン直前に3日間だけ?
しかも、人数の都合上
ひとり、研修は1回にしてください、とな。
仕方ないので、お店のHPを見て
生どーなつの写真をプリントアウトして
メモ帳に貼って
覚えておこう、と思いました。
12種類もあるんです。
そのほかにも、バームクーヘンだけでも
5種類、パイが6種類、クッキー12種類
それぞれをチョイスした箱詰めアソート9種類。
でも、ホームページを見ただけでは
どの箱にどれくらいの自由度で焼き菓子を詰めていいのか
わかりません。
入れるクッキーの種類とかパイの種類とか
決まってるのかなぁ~
グループラインは早々に出来ましたが
商品に対する情報が一切流れず
そのショッピングモールで働くための
入館証を、どうするとか
そんな話ばかりで
もう、明日研修
来週、オープンってなってしまいました。
仕方ないので、店長に個人ラインで
商品でわからないことなど、番号を振って
書き出しました。
そして、最後に
すべて研修で解消されるなら、それで大丈夫です!
と書いたら
研修で解消されます!
とのこと。
なんだ~ちゃんとやってくれるのかぁ~
とんでもなかったです。
初日の研修に4人集まりましたが
やったことと言えば
倉庫で制服となる、シャツとエプロンを
ちょっと探して見つけてください。
狭い倉庫の山積みの段ボールの中から
焼き菓子やら、バームクーヘンに混ざって
何とか制服の段ボールを発見。
その後は、2-2にわかれて
倉庫か店前で焼き菓子のアソート作りです。
9種類ある焼き菓子を箱の組み立てから
全部、いちからやります。
「ここに種類は書いてあるから」
仲良くなった、一緒のパートさんと
「これ、研修?」
「どーなつの売り方、わからないのにどうしよう」
文句を言ってもしょうがないので
どの箱に何をいくつ、何をいくつ、何をいくつ
と間違えないように
山ほどある段ボールの中から
お目当てのクッキーを探し出し、パイを探し出し
箱のふたがわからなかったり
そりゃあもう、酷いものでした。
これ、オープン直前にすることかー?
採用から3週間、何してた???
販売についての流れや、どーなつの扱い方
レジの注意点などなと、何も教えてもらえず
当日を迎えたのでした。
そして、なぜか皆同じことを言ってましたが
店長がいつも不機嫌で
バイトに当たることも、しばしば。
出勤の挨拶もロクにしない感じです。
目の前で溜息つかれ
無言で商品を並べ、目も合わせないで
どこかに行ってしまう。
オープン初日、わたしはシフトに入っていました。
でも、研修でレジなど触れていません。
他店の応援の女の人が
ささっと釣銭立ち上げなど教えてくださいましたが
裏から出来上がってきた、どーなつを
どう扱ったらいいか、わからない。
注文の受け方がわからない。
何なら、どれに入れてお渡しするかも、わからない。
新店のお店はキラキラしていましたが
本社の人間は7、8人きてるし、カオスでしたね。
何もできていない状態でのオープンに
本社の人間も呆れたり、キレたり
まぁ、酷かったです。
どうやら、店長はお店の売りの
生どーなつを作ることに正義を覚えていたらしく
販売のほうは、すっかりお留守で
わたしたちは何も聞かされてないまま、オープンとなってしまいました。
オープンしてから、生どーなつだけど、揚げていることを知る。
決まった時間に売り出し、売切れたら次のどーなつの時間までは
どーなつは、なし。
焼き菓子を売る。
そういうのも、オープンしてから知りました。
ただ、アソート作りは先ほども書いた通り
何十通りもの組み合わせでできていて
しかも、発注ミスだったり
単品売りしてしまったりしてると
パイがないから、アソートを売りに出せない
とか、当たり前で
ショーケースには、どの焼き菓子も品切れの札が
ずっとつきっぱなしでした。
生どーなつは、1時間で売り切れ。
新店で珍しがって来てくださってるお客様に
アソートもない。
ショーケースは空です。
こりゃあ、こんな一等地にお店構えるのはいいけど
早々に潰れるかもなぁ~
と、頭をよぎりました。
それでも、他店からの応援の方が
汗だくになりながら
倉庫でアソートの箱作りを必死にしているとき
わたしが、上りのタイミングでちょうど倉庫に行き
信じられない、店長の言葉を聞いてしまいました。
「こんな仕事、障碍者雇って、安くやらせればいいよ」
こんな仕事?
障碍者?
安く?
「お疲れさまで~す」
聞かなかった、振りをしました。
それから、3日間
たまたまシフトに入ってなかったので
ジーっとしてました。
でも、思い出すと腹が立って
仕事に行ったら、喧嘩しちゃうかもしれない。
震えが止まらない。
人としての、モラルのなさが
わたしには、許せなかった。
そんなとき、お店のグループラインが鳴りました。
「どーなつは食品なので、販売の方はマスクをすることにしてください」
何だとーーー
面接で、わたしは確認しました。
「マスクの着用は義務ですか?」
「個人の自由です」
確かに聞きました。
なぜ、聞いたかって
明太子屋で、それで揉めたからです。
「マスク着用って聞いてないですけど」
「飲食店なんだから、当たり前でしょ!」
「昨日も、面接の日も、あなたはしてなかったですよね?」
お膳の前で、大きな声で話してて
客に怒鳴られて、マスクすることにしたそうです。
どーなつ屋の店長の個人ラインに書きました。
「マスク着用義務はないって、面接のときに確認しましたよね?
マスクしないと仕事できないなら、アレルギーで
マスクできないので、仕事にならないですよね?
このまま、退職の流れとさせていただいて
よろしいでしょうか」
既読がついた瞬間に
グループラインから、外されました。
仲良くなって、個人ライン知ってる方から
どーしたの???
って何人かラインきましたが
正直には、言いませんでした。
ちょい、うやむやにして
「迷惑かけて、ごめんね~」
で、終わらせました。
「こんな仕事、障碍者雇って、安くやらせればいいよ」
今でも、ちょっと考えられないです。
#コミックエッセイ大賞
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