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【アンソロジー】 note神話部の夏祭り2022 『神々のバカンス・ひと夏の恋』
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アンソロジー
『神々のバカンス・ひと夏の恋』
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1 成瀬川るるせさん
「アムニージアック」
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2 悠凛さん
「恋は心のバカンスです」
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3 笹塚心琴さん
「面影」
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4 すーさん
「アフロディーテのひと夏の恋」
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5 矢口れんと
「月に煽られ月に背いて」
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6 吉田翠さん
「calm」
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お題ベストセレクション
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告知記事
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編集後記
まずnote神話部の夏祭り2022に遊びに来てくださった読者の皆様、まことにありがとうございました。楽しんでいただけましたでしょうか? 気になる作品は見つかりましたでしょうか? もしそうでしたら祭りの主催者として幸甚の限りです。
note神話部は活動3年目を迎え、夏の企画も3回目となります。1年目「星」、2年目「競技」に続いて、今年は「バカンス・恋」といかにも夏らしいテーマを掲げ、常時部員たちに筆を奮っていただきました。元々魅力溢れる文章を書く方々ですが、神話部活動の中ではますますの成熟を見せ、今回も個性を飽くなく追求した素晴らしい作品を仕上げてくださいました。
私に批評する力量・立場がないことは承知しておりますが、これほどの力作たちを突きつけられては応えないわけにもいきません。不肖ながら講評を述べさせていただきます。
悠凛さん「恋は心のバカンスです」
お題にもっとも忠実だった本作。エロスを開けっぴろげにすることで、エロさが痛快に変わっていく。これぞまさに神話における性愛表現の真髄だと思います。しかし悠凛さんの筆はそれに留まりません。開放的な恋の描写を、惜しげもなくメタ物語に放り込んで笑いに変えてしまう。この荒業には心底脱帽しました。
吉田翠さん「calm」
さらにメタ視点を持ち込んで、神話の空間的間隙、時間的間隙に物語を捩じ込んだのが「calm」です。note神話部ならではの大胆な発想だと思います。発想の良さだけでなく、それに耐えうる役者と背景を揃えたのは作者の慧眼あってこそ。そしてそんな奇抜な物語すらペレの降誕伝説に支えられているという、二重三重の驚きを味わえる良作です。
すーさん「アフロディーテのひと夏の恋」
今回寄せられた中でもっとも驚かされた作品でした。性愛に奔放なアフロディーテを主役に置きながらも、ここには「抑制の徳」が描かれています。これは禁欲とは全く異なるものであり、欲のコントロールによって美徳に至るという極めて高度な精神活動です。殊の外、思金さまという日本の神と抑制は特に相性が良く、その絶妙な采配に感動しました。
笹塚心琴さん「面影」
亡き祖母の面影が自らの使命と重なり、乗り移っていく。近年の使われ方とは違う「尊さ」が作中に満ちています。これは現代の人間関係から失われつつあるものにも思われ、ますますこの作品に気高さを感じざるを得ません。そこに幻想世界における象徴的な展開も加わり、まさに夢現を味わえる素晴らしい小説となっています。
成瀬川るるせさん「アムニージアック」
時事、地方史、神話を融合させるという高難度大技を見せてくれました。その中心に配置されたのが不完全な世界を作ってしまった神デミウルゴス。完全でない者たちが完全でない世界でイマココを選び取っていく。その力強さこそが自由な世界を切り開いています。作品の先に雨上がりの虹が浮かんでいるような清々しい余韻があります。
矢口れんと「月に煽られ月に背いて」
主役である無性の月読、現代の概念に当てはめればXジェンダーのアセクシャルということになります。退屈ながらも安寧な日々を過ごしていた月読が、愚直なヘテロセクシャルらに振り回され心掻き乱される。その懊悩を、諷刺を込めて描いた作品です。お題にそぐわない暗い作品を用意してしまったと反省しています。笑
このように、神話世界・物語世界・現実世界の関わり方・重なり方が部員独自の世界を編みあげています。お題を含めて縛りの多かった本企画で、これほどまでにバラエティに富んだ作品が揃ったのは個々の基底の世界観があってこそです。
そしてそれらがアンソロジーとして纏まった時、全方向に迸る光源のような輝きを得た感覚があります。自賛を多分に含みつつも、確かな手応えを感じられた企画となりました。
ご参加くださった皆さま、お疲れ様でした。素晴らしい作品をありがとうございました!
そしてスペシャルサンクス。アンソロジー・ベストセレクション、各作品にイメージ画像を作ってくださったのは吉田翠さんです!!
それでは、来年も部員・読者揃ってお祭り騒ぎができるよう祈念しながら、今年の夏祭りを終えたいと思います。
最後までお付き合いくださった皆さま、まことにありがとうございました!
酷暑に感染症にと気苦労の絶えない日々ですが、どうぞご自愛ください。
2022年8月7日
note神話部 部長 矢口れんと
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