フリーライティング#25 やじろべえ
巷では乳幼児たちのあいだで「手足口病」なるものが流行っているらしく、うちの子も漏れずに数日前から口まわりと手足とデリケードゾーンにポツポツと出てきた。いま病院受診の順番待ちの最中で、こんなイレギュラーな状況でようやく文章を書けるというのも逆説的で面白い。
「ああ、手と足と口だね」
「うん、手と足と口だ」
昨夜の妻と僕の対話は俵万智さんの短歌そのものだった。
「手足口病」とは何と素晴らしいネーミングだろうか。なんの医学的予備知識も要らず、誰が見ても「手足口」だ。ヘッド・ショルダーズ・ニーズ・アンド・トーズ♪の曲さえ歌えればこの病のことを認知することができる。
「糖尿病」はもう「糖尿病」ではないらしいし、「パーキンソン病」とかもはや意味不明だ。
「おいしい水」のようなマーケティングを意識したネーミングとも違う。
「手足口病」の潔さには詩歌の切れ味がある(むりくり←)
さて、本格的に社会復帰を果たしてから半年ほどが経過して、いい加減、創作に時間を使えないことに苛々してきた。創作とは、その前段階の鑑賞とか散策とか、ボーッとしたり、心を自由に放つことも含む。
そんな中で重要なことに気付きもした。MBTIにかかわることだ。
自分は社会と現実的に関わるときINFJ的な理想・理念を実現しようとする。その一方で個人でいるとき、より小さなINFP的な自分を敷衍する理想世界を夢想する。
このふたつは似ているようで実はやじろべえで、時間的にも量的にもバランスを取らないと苦しくなってくる。
どちらにせよE外向型やS感覚型、T思考型などには転びにくいことを知っているだけで、足元は固まってきた気がする。むだな逡巡を少なくするだけで生きやすくもなるだろう。
それにしても受診順番がやって来ない。これは僕にもっと休めと言ってるのかもしれない。