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【Jリーグ】秋春制を考えてみる

Jリーグは2022年現在は春秋制で開催されています。春秋制とはシーズンが3月ごろに開幕して12月ごろに閉幕するシーズン制のことです。これに対して主にヨーロッパでは秋春制8月ごろに開幕、5月ごろ閉幕)を採用しています。

春秋制(赤)と秋春制(青)

この開催時期のズレによっていくつかのデメリットがあることが以前から指摘されており、Jリーグも秋春制に移行すべきとの声があります。ただ、秋春制に移行することによって生じるデメリットもあるので、現在まで実行には至っていません。

秋春制にするメリット(春秋制の問題点)

海外移籍

ヨーロッパのサッカーカレンダーに合わせることによって、Jリーグからヨーロッパ、ヨーロッパからJリーグの両パターンで移籍がしやすくなります

まず契約更改(選手の獲得や退団)は通常シーズンオフに行われます。Jリーグでは12月から1月、ヨーロッパでは6月から7月です。

現在はこの契約更改期間のズレによって、契約途中での移籍となってしまします。例えばヨーロッパでは6月にJリーグの選手を獲得したいのに、Jリーグの選手は契約期間途中での移籍となるので、契約解除金が発生してしまいます。

また、選手のコンディション面でのメリットもあります。例えばJリーグの選手がシーズン終了後の1月に海外移籍した場合、海外ではまだシーズン中盤なので、選手にとっては1年間シーズンを戦った後でオフ無しでさらに半年プレーするということになります。これは怪我やパフォーマンスの低下に繋がります。

日本代表の強化

世界の大きな大会も秋春制を基にして開催されています。ワールドカップコンフェデレーションズカップなどは秋春制シーズン終了後の6月に開催されます。逆にJリーグではシーズン中なので、リーグ戦を中断しなければなりません。また、日本代表の海外組と国内組のコンディションが揃わないといった問題があります。

夏季の高温下でのプレーを避ける

秋春制にすれば真夏がシーズンオフになるので、高温多湿の日本の夏を避けてプレーすることができます。現在夏の時期は開始時間を夜にするなどしていますが、夜になってもなかなか気温が下がりません。高温下でのプレーは質の低下に繋がったり、選手の健康にも影響を与える恐れがあります。

秋春制にするデメリット

積雪の影響

日本で一番大きい影響が出るのは北海道、東北、北陸などの降雪地帯です。降雪や積雪によって試合開催ができない、試合会場への交通機関に影響が出る、練習施設が使用できない、といった問題があります。全面ドーム型のスタジアムは現在札幌ドームのみです。それ以外の降雪地帯のチームにとって冬季の試合開催は雪による影響が非常に大きいです。

ドイツのようにウィンターブレイク(冬季に1か月くらいリーグを中断する)を取り入れるという手もあります。ただ、ドイツに倣って12月中旬~1月中旬を中断しても、日本では1月や2月はまだ寒く雪の影響が十分あります。

夏休みの興行問題

日本では7月~8月は学生などの夏休み期間であり行楽シーズンです。このシーズンにリーグ戦ができないとなると、興行的な痛手があります。高温下のプレーを避けるという問題と矛盾しますが、どちらを優先するのか難しい問題です。

日本の学年制度とのずれ

日本の学年制度は3月に卒業、4月に入学(進学)という制度になっています。これは現在の春秋制とほぼ合致しており、高校や大学を卒業してシーズン開始時からチームに加わることが自然です。これが秋春制になると加入時期が難しくなります。シーズン中ですが卒業してすぐに加入するのか、逆に半年前倒して加入するのか。契約の問題もありますので半年とか1年半の契約にするのかいくつか考慮すべき問題があります。ただ、この問題はやり方さえ定着すれば解決できそうではあります。

ACLが秋春制に移行する?

ACL(アジアチャンピオンズリーグ)は現在Jリーグと同じく春秋制ですが、2023年から秋春制に移行することが決まっています。そうなると、Jリーグから参加するクラブにとっては、Jリーグのシーズンを跨いで参加するということになります。シーズンオフを挟むため、予選リーグと決勝トーナメントで選手構成が大きく変わったり、オフである1月や2月にACLの試合日程が組まれてしまう可能性が出てくるなど、Jリーグ勢への影響は大きいです。

ちなみにACLに参加している西アジア(中東など)の国では秋春制でリーグ戦を行っているので、今回のACL秋春制移行については歓迎されていると思われます。

Jリーグが秋春制に移行する可能性はあるのか

無い、とは言い切れないというのが現状です。前述したように降雪問題があるので、今すぐに移行するということはできません。

降雪地帯のスタジアムをドームにしたり、屋内の練習施設を整備したりといったことは、お金がかかりすぎて現実的ではありません。

降雪問題に対して現状できることは、ウィンターブレイクを設けることや、冬期の試合をなるべく積雪が無い地域で開催するように日程調整することです。ただ、この日程調整は、積雪のある地域のチームにとって冬期はアウェーの試合が続いてしまい、リーグの公平性を欠くという問題があります。

このようにいくつかの難しい問題がありますが、これらの問題をクリアできる方法があるのかないのか、最終的に秋春制への移行はできるのか議論は続けていくべきだと思います。

それでは失礼します。


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