あるコロナ記:2020年4月14日(火)
35.7℃
月曜日は出勤し、火曜日は自宅待機日である。本来テレワークするべきところだが、私の仕事は持ち帰り不可の業務なので、ただ自宅にいる日という事になっている。
そんなところへ、もうすぐ配置転換になる人への送別贈り物の用意の連絡が来た。
自分も覚えてはいたが、自宅待機が増えた分、勤務先の業務は忙しくて誰も手を付けられずにいたのだ。連絡が来ては仕方がない。
しかしこれが。
いま東京の百貨店は食品売り場以外閉まっている。雑貨店もやっていない。
いつもなら色紙に寄せ書きとか花屋さんに花束を作ろうとか、色々いろいろ準備があるものなのだ。そして、大体贈り物当番が駄弁りながら買いに行く。
いま、私は軽いうつ症状を実感している。2月のSARS-CoV-2の国内感染者の報が出てからずっとそうだ。2月末のトイレットペーパー買い占め騒動や、その後の全国一斉休校で、3月もずっとうつ傾向だった。ものを考えるのが面倒くさい。思考力大暴落状態なのである。本も読めない。
不安だからがその理由だが、それだけに何かの問題解決をするのが億劫で堪らない。
そんなときにプレゼント。いつもなら楽しい買い物と準備だが、そうも行かない。
結局プレゼントは通販で異動者の引越し先に配送することになり、花束は100均、色紙は社内在庫放出で賄うことになった。
当初、「これでいいのだろうか」とかなり戸惑った。空いている花屋を探して花束を作ってもらうべきなのではないかとか、通販で買える範囲からあっさり決めてしまって心が籠もっていないのではにないか、とか。
わかる。わかる、が、私は体力があまりなかった。
体力がないと、辛抱強く他人との意見のすれ違いに向き合うのが疲れる。
悪いと思いつつ、これでなんとかなったことにしようと押し切ってしまった。
これは過去を振り返りながら書いているから余計そうなのだけど、私達はまだ緊急事態宣言がよくわかっていなかったのだ。非常時、の、経験がないのだ。やがて、わかってくる。どの店も空いてない。いつものように気軽に物が買えない。品物の搬入が遅い。
そしてそれだけではなく、日々の感染者数が増えていくのがわかる。それに連れて、芸能人など知名度の高い人達が感染したと知らされていく。職場は、日に日に勤務日を減らしていく。
一週間もすると慣れる。
慣れて、あるもので間に合わせるのは、「精一杯」という感覚になって来る。
自分たちの行動範囲というものは、日に日に更新されていく。それと共に、感覚も変わっていくのだ。