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ドラマ劔 その6 ウチカレ夢想

 親が毒親になる前はいったい何者だったか、そして、そんな親を早いとこ厄介払いしたいと思わない子はいったい……

 「ウチの娘は、彼氏が出来ない‼」喪失の物語かと密かに目論んでいたが、どうやらそれは勘違いで、何も失うことなく、ドラマは円満に終息した。
 誰もが少しずつ何かを手に入れ、生きてゆこうと確かに心に誓う。
 その(誰も大切なものを手放さなかった)代償は、捨てること、親を、子を、いずれ来るその時に。
 このままの現在が永遠に続くことを碧は夢見、それはほとんど適おうとしている。その母の夢を娘の空は知っているから、しばらくは、その儚い夢の続きを一緒に見ようと願っている、おそらくは意識していないだろうが。

 先送りされた破綻、夢の風船は、空の近くまで飛んで、弾けるだろう。それが、約束だから。死すべき者たちへの優しい手配り。
 思えば、母と娘が同じベッドで戯れる、あの親密な時間こそ、永遠を模倣し、捏造するものだった。失われたものの償いを癒すために、愛する人を、まだ見ぬ父を、その不在がいつかくつがえされ、ふたたび時間が輝きを取り戻すことを。

 空は光と結ばれる定めだが、この二人には確かな担保がない。

(以下略)

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