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ドラマ劔 その12 ノマドのドラマ~ひとり森(キャンプ)を行く

 ノマド、遊牧の民、放浪者
 時に、キャンプで火を囲み、酒を酌み交わし、星や波、風や砂のことなどを語る。
 時に、ひとり、草を枕に仮の宿りをする、月と雲、草と木との諍いに耳を澄ませながら。
 青春、それは、さすらいの旅に似て、あてどなく、どこかしら辿り着く前に、別れを告げなければならないもの、かもしれない。
 LONGMANの「Replay」、TVドラマ「ゆるキャン△」の主題歌を聴く。「ウチカレ」からの流れで、福原遥を追っかけて辿り着く。
 男女のツイン・ヴォーカル、女声パートのさわちゃん(頼木 佐和) パンクの神髄に喰い込む声質だ。一度聴くと、病みつきになる。
 曲は軽快で、疾走感に溢れるも、なぜかノスタルジック。いつか聴いたはずのあの歌だったのかと、訳もなく懐かしい気分になる。切なさと裏腹に。
 Good-bye もう戻らない日々よ、と夢に向かって叫びながら。それがさすらい人の選んだ生きる方法(すべ)と知ってか、知らず。
 リプレイできないあの頃の夢が、それでも明日へと向かって歩いていく。ひとり、気負わず、たじろがず。

 オープニングテーマのH△G(ハグ)「瞬きもせずに」、透明感のいっぱい詰まった森林浴みたいに心を洗い流してくれる歌
 「木漏れ日の中」、「落ち葉焚きの匂い」、「光の中に閉じ込めた」青春の日々が「透き通る まるでビー玉みたい」に、ドラマの導入剤として極めて強力な効き目を発揮している。

 命を削れば、その分、生きる元気を与えられる、ゼロサムではない世界がここにもある。


追記

 映画「ノマドランド」を観る。
 元来、アメリカは移民、移住の地であったから、トレーラーで流離う人たちは、ある意味、開拓者の面構えを隠しおおせていない。
 メイフラワー号に乗った者も、遠く迫害から逃れて、この地に、自らの信ずる神に捧げる新しき天地を築こうとしたのだろう。
 そこには、先住の民もいれば、新来の売られた民もいた。
 坩堝はすべてを溶かし込もうとするが、モザイクは見えないはずの深層を時に顕わにしてしまう。


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