31 双子の子育て (1)出産
私は約30年前に双子を出産した。
人生でもっともエキサイティングな出来事だった。
限られた人にしか体験できないことなので、記憶を少しずつ記録しようと思う。
妊娠がわかったのは結婚して2年目のお正月明けだった。
年末から風邪気味で体調がいまいちだったが、もしやと思って新年初出勤の日に会社のトイレで検査薬を試したら陽性(笑)
産婦人科に行ったら8週目ですとのことだった。
すぐに双子とは知らされず、10日程経ってから「どうなるかわからないからこの間は言わなかったけど、双子です」と言われた。
びっくりして頭が真っ白になり、その足で夫の実家に報告に行った。
多胎児妊娠は早産リスクが高いから普通の妊婦のように動けない。
当時はフルタイムで貿易事務の仕事をしていた。派遣で比較的楽だったが、上司に事情を説明して退職の希望を伝えた。
あからさまに嫌な顔をされて「困るんだよな、そういうの」と言われたことを覚えている。
出産にまつわる話と言えば、会社初の産休を願い出た後輩が「そんな前例を作るな」と拒否されたことがあった。平成が始まったばかりの頃である。令和なら大炎上案件だ。
つわりは殆どなく順調だったが、予定日の1ヵ月前から管理入院した。多胎児は未熟児になりやすいからお腹の中で大きく育てなくてはならない。
ゆっくり編み物できると思っていたら、座ってはダメと叱られて寝たきり状態でテレビを観ながら1ヵ月過ごした。
出産予定日の4日前の朝に兆候が出て、その日の13時頃から陣痛が始まり、本格的に痛くなったのが15時頃、18時過ぎに自然分娩で出産した。
一人目が生まれた後、再び陣痛が始まる。既に道が出来ているので二人目は10分後にスルっと産まれた。
産院の食事を毎日完食したおかげで約2,500gと3,000gという普通サイズで産まれた。
初産で多胎児だった割に安産だったと思うが、その後が大変だった。
1ヵ月ほぼ寝たきり状態だったのに全身に力を入れて産んだから(しかも二人!)、体中激痛で眠れず、翌日はフラフラで食事も喉を通らなかった。
陣痛よりも筋肉痛の辛さが忘れられない。