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コンビニのコーヒーがいつも買えない

シューっという蒸気の音とともに香ばしい香りが広がる。最近のコンビニコーヒーのクオリティはとても高い。私のお気に入りはカフェラテだ。
自粛期間中は外出の回数を減らすため、ミルクフォーマーまで買って家で再現しようと試みた。最初は泡がたっぷりのラテに興奮していたが、やっぱり同じようにはいかなくて今ではすっかり棚の奥に息をひそめている。毎朝コーヒーの香りに包まれながらゆっくりと身体が目覚める、なんて丁寧な暮らしは私には難しいようだ。(まだ諦めてはいない)

今日も仕事の合間に自宅近くのコンビニに向かった。梅雨らしく強い雨が降っていて、風も強く半袖では肌寒く感じる。レジでホットラテ用のカップを購入し出来上がるのを待つ。
ピーっという合図でカップを取り出そうと扉を開けた。
楽しみにしていたラテ…が半分だけ入っていた。
「またか…」
そう、いつもこうなのだ。
先週のとても暑かった日にアイスラテを買った時もそう。私がコンビニでコーヒーを買う時はいつも何か問題が起こる。今日で3回連続だ。
前回は途中でミルクが足りなくなったし、今回は機械の清掃のタイミングと被ってしまった。
レジで忙しそうにしている店員さんに声をかけ、2Lの水と今夜の晩ご飯がたっぷり入ったレジ袋を手首に食い込ませながら、ひたすら待つ。
プシュプシュと音を立てる機械を眺めながら、「いろいろやっておいて良かったな~」とのんびり思った。

大学4年間、興味本位でいろいろなことに手を出してみた。
バイトでファミレスのホールをしたり、ライブ会場でグッズの販売をしたり、バーでお酒を作ってみたり。ドラマやアーティストのPV撮影でエキストラをやってみたりもした。どれも長期間続ける訳ではなく、面白そうなものを見つけたらすぐに試してみた。
周囲からは辛抱強さが足りない、続かない人だと思われていただろう。就職活動の自己PRでは入学当初から続けているバイトの話は定型文のようだ。忍耐力や語学力が優秀さを計る物差しだったあの頃は、自分の好奇心が短所みたいに感じた。
だけど今となっては、とても大学生らしい良い時間の使い方をしたのではと思う。
たった3ヶ月だけれどコンビニでもバイトをしていた。短い時間でも分かることは多い。覚えなければならない分厚いマニュアルや、不機嫌なお客さんの対応の難しさは今でも覚えている。
だから3回連続でコーヒーが途中までしか注がれなくても、イライラせずに過ごせる。ファミレスで店員さんがなかなか来てくれなくても、忙しいんだなと思って納得できる。
英語が話せるようになったら友達も増えるし、好きになる人も、好きになってくれる人も増える。それと同じように、いろいろ試してみたことで理解できる人が増えた。
もしかしたら将来、大切な人の悩みに共感できるかもしれない。上手くいった時は自分のことのように喜べるかもしれない。とても幸せなことだ。

大人になると、面白そうというだけでは動けなくなってくる。十年先の自分の役に立つか、メリットがあるかを考えてしまう。
大事なことだけど、ワクワクするという理由だけで動いてみる行動力はいつまでも無くさずにいたい。
そんな事を考えていたら熱々のラテが出来上がって、私はご機嫌で帰宅した。
午後の会議も一段落した頃、お腹がゴロゴロ鳴き始める。
私はコーヒーを飲むとお腹が緩くなる体質だ。すっかり忘れていた。
長年やってても覚えられないことがあるんだよね~!と言いながら廊下をダッシュする。この悩み、私も共感(♡スキ)して欲しい。

#エッセイ #日記 #日常 #バイト #就活 #れもんさわあ


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