🍋🍯推敲備忘録

どこに入れるか、入れるかどうかわからないシーン

「でも、普通、人は大人になったら怖くなくなるものだよね」
「何？　普通？」
「他の人は怖いと思わないよねって……」
「知らない。他の人のことを知りたいと思っていないから、ボクは聞いていない。ミエルは怖いと思うのかを知りたい」

「僕は、怖いと思う。弱いから」
「うーん、弱い？」
「弱い、でしょ……レモーノは？　怖いと思う？」
「思わない」
「強いからだよ、レモーノは」
「違うと思う。ボクは、ずっと、生きるのに、怖いと感じなくなる必要があっただけだ。ミエルは、怖いと感じても、生きていられる場所にいるだけ。生きる場所が違うから、できることも違う」

「今のミエルの答えで、ボクは気になることがある。ミエルではない人がどう思うを知って、ボクは何をすると、ミエルは考えた？」
「あ……」

「ごめん、ボクは聞きたくないの言葉を言った？」
「いいえ、言っていない。悲しいの涙ではない」
「悲しいの涙ではない……ごめんの涙？」
「多分そう」
「ごめんと思わないでいい。ミエルは聞かれたくないことを、ボクは聞いたね？」

「違う。君に酷いことをしてしまった」
「何？」
「えっと……生きる場所が……違うことを……考えないで……あの、説明が難しい……」
「たくさんの怖いの気持ちがあるミエルを、弱いと言ったこと？　それはミエルに謝るといい」

「僕に謝る？」
「キミは、いつも、ボクの話を聞きながら、キミが悪いと言うための理由を探している。それは、ボクも少し嫌だ。でも、ミエルはもっと嫌だと思う。頑張って生きているのに、頑張って色々なことをしているのに、頑張ってレモーノと話しているのに、なぜできないと言うの？　なぜ頑張ったねと言ってくれないの？　なぜ悪い人だと言うの？」

「なぜキミは、ミエルを悪い人だと言う？　ボクの心に、いつもある、わからないことだ。キミがいつもごめんの気持ちになるのも、多分、理由？　原因？　ミエルを悪い人だという強い気持ちにある」

「ミエルを悪い人だと考えるのをやめてほしいと言うか、考えることもある。キミが苦しいのは、ボクも嫌だ。でも、キミは、そうすることで、他のことができているのかもしれない。僕が怖いと感じないことで、自分より大きな動物を殺して、生きるができているように」
「僕を悪い人だと考えると、他のことができる？」
「そう、悪い人になれば、人はミエルを好きにならない。キミは、好きの後の嫌いは、ずっと嫌いより嫌だと言った。人に嫌いと思われて、一人になることが、ミエルが生きるには必要なのかもしれない」

「一人でいたいなら、ボクには、一人でいたいと言えばいい。ネックレスも、いつでも返していい。ミエルが悪い人だと考える必要はない」
「わかった……あの、でも、レモーノとは一緒にいたい」
「本当に？」
「うん。今は一人になりたいときではない」
「わかった」

「レモーノの考え方は、すごいね。僕の話もよく聞いている。僕の悪い癖も、生きるのに必要だからあるとか、僕では考えられないよ。えっと、だから、レモーノとは一緒にいたいのかも。僕とは違う考え方ができるし、それを、真面目に話してくれるから」
「そう思う？」
「うん」

「僕は考える必要がないことを、考えてしまうのかな」
「本当の気持ちを話すことの方が、キミは苦しいのだと思う。長い時間、ミエルの本当の気持ち以外を考える必要があったから、たくさんのことを考えることが、ミエルの普通になった。キミは、ミエルの本当の気持ちとそうではない気持ちを、分けてみるといい。他の人の話、普通の人の話、ミエルはよく話す。でも、ボクが聞きたいのは、本当のミエルの話。ボクはその話を聞けたら、嬉しいと思う。悲しいや苦しいの話も……嬉しいは酷いかな？」

「少し、考えてみたんだけど」
「聞きたい」
「あの、話を、聞いて、嫌いに、ならないでほしい。怒らないでほしい」
「大丈夫。聞くだけをする。あ、手を繋ぐはする？」
「繋ぎたい」

「人に、悪い人だと、思われて、嫌われたいは、違う気がする。僕は、周りとは、違う、特別な人や、誰かの、一番大切な人に、なりたかったんだ」

「前に、レモーノは、言ったよね。ミエルの幸せは、自分だけの宝物だ、でも、たくさんの人や物がある国で叶えるのは難しいって」
「言った」
「なんで、難しいんだろう……僕は、美しくて、賢くて、優しくて、お金持ちで、良い条件は、たくさんある……こんなこと、人に言えないよ……絶対怒られる……」

「レモーノは、怒ってる？」
「いいえ」
「どう思う？」
「何を？」
「僕の話……」

「その前に、聞きたいことがある」
「何？」
「ミエルは、犬と猫のどちらが好き？」
「えっ？　猫かな」
「犬と猫は、何が違う？」
「えっと、犬は、人が好きすぎる。僕は、あまり生き物が自分に近付いてくることが好きではない。猫は、いつも寝ているイメージがあるし、人に近付いてこないから、好き」

「近付いてくる犬は嫌いで、近付いてこない猫は好き」
「うん」
「どちらも近付いてこないだったら？」
「でも、猫の方かなあ」
「どちらも近付いてくるだったら？」
「それも、猫かも」
「近付いてこない犬は？　嫌い？」
「好きでも嫌いでもない。興味がない」
「近付いてくる猫は？　嫌い？」
「あー、いや、嬉しいかも……」

「まず、ボクの考え方の話をする。猫が好きの気持ちに、理由はない。猫が好き、近付いてもいいと、犬は好きではない、近付かないでほしいの気持ちに、関係はない。猫が好きとトマトジュースが好きは、関係がないのと同じ。猫とトマトジュースはどちらが好きか比べられる？」
「いいえ、比べられない」
「なぜ犬と猫は比べられる？」
「同じ動物で、好きかどうかで、近付いても大丈夫かどうかを決めるのが、同じだから。でも、全部が別の気持ちだとレモーノは考えている？」
「はい。あと、好きが最初の気持ち。好きだから、近付いてきてもいい。好きだから、美味しいと感じる。レモーノは、ミエルが好きの気持ちがあるから、ミエルは美しいと思う。わかる？」
「好き嫌いは、美味しいや美しいと感じるより前ってこと？」
「ボクの考え方は、そうと思う。でも、ミエルの考え方は、今の話だと、猫は近付いてこないから好き。トマトジュースは美味しいと感じるから好き。レモーノは美しいと感じるからミエルが好き。だから、ミエルが美しいではないだったら、賢いではないだったら、お金持ちではないだったら、嫌いになると考える」

「ボクは、同じ言葉でも、違う気持ちだと考える。例えば、ミエルの、サラを好きな気持ちとレモーノを好きな気持ち、ボクは違うと思う。ミエルは同じ好きの気持ちと思う？」
「僕も違うと思う」
「どちらが好きか聞かれて、ミエルは何を考える？」
「えっと……困る……決められない」

「考え方の話。きっと好きの気持ちと美しいの気持ちは、心の中に一緒にある。どの気持ちからミエルに話すが違うだけ。ボクのミエルに生きていてほしい、また会いたいの気持ちは、ありがとうのごはんのときから、変わらない。あのときから、毎日、何度も、考えたから、これからもずっとある。キミは人が怖いのだから、会いたいと思うのはダメだと思っても、ずっとあった。お腹が空いたと同じ気持ち」
「喜んでいいのかな、それ」
「ミエルの決めることだ。それで、えっと、また会いたいの理由は、ない。美しいと思う理由は、ない。空がある理由、月がある理由、湖がある理由がないのと同じ。たくさんの雨が降ったから、湖はあるという話はあるかもしれない。キミと会ったから、キミとの時間が楽しかったから、また会いたいと思う、ボクがそう言って、会いたいの気持ちの理由を話していると、キミは思う？」

「難しいね。僕が聞きたいと思う、また会いたいの理由は、そういうことではないとは思う。なぜ僕といて楽しいと思うの？　なぜ僕とまた会いたいと思うの？　それを聞かれても、レモーノは、その気持ちが心にあるだけで、理由があって感じているわけではないと思っている。毎日のように、それに何度も考えたから、強い気持ちになった」
「ミエルがわかったはわかった」

「あと、何を好きかで、気持ちは違うものになる。だから、比べることはできない。好きを表す行動が似ていると、比べられるように思うけど、赤と青はどちらが美しいの話みたいになる。誰かに一番大切に思われたいは、できないことをやってほしいと言っているのと同じだ、レモーノは考える」
「そう。ボクは自分が生きていればいい、たくさんはいらない、大切な人はミエルだけでいい。だから、ミエルには一番大切だと思っているように見えるだけ。そもそも他の人はいない」

「ミエルが怖いと思うも、ボクには同じ話。怖いの気持ちが、ミエルの心にある。ミエルは何が怖いを知って、ボクは落ち着くの方法を考えたい。他の人は怖いと思わない話や、それを怖いと思うミエルがどうかという話を、ボクはしていない」
「そっか……そうだね……」
「ボクの答えてほしいことを答えていないミエルを悪いとも言っていない。質問や説明は難しい。ボクの答えてほしい話は、ミエルが弱いという話ではないと言っている」
「はい。わかったよ」

「でも、どうしてそこまで、その、たくさんはいらないで、生きられるの？」
「生きることができる以上のことをして、生まれた国のルールを破って、森に迷って、死にそうになったから。頭の中に、生きるのに必要か、それをして死なないか、の考えがある」
「僕と、いることは？」
「ミエルにまた会うために生きているから、生きるのに必要なことだと思う」
「そんなに？　何が？　一人でも生きていけるよね？」
「無理だと思う。寂しくて、苦しくて、何もできなくなる。ミエルの家の湖に飛び込むと思う。お腹が空いたよりも、たくさんの時間と力を、ミエルに会いたいの気持ちに使ったから、本当の話」

「レモーノには、僕が自分の命と同じくらい大切なことは、お腹が空くことと同じくらい、普通のことって感じなの？」
「そうと思う」

「それは、ミエルには、わからない感じかもしれないね。ボクの生まれた国の感覚だ」
「そうだね。大切な人がたくさんいて、色んな人に好きだと思えるのが、僕には普通の感覚だ。どうしてそんなに違うんだろう、同じ人なのに。僕は、レモーノみたいに、考えたいんだけどな」
「もうあるものをないにすることは、ないところにあるにするより難しい。ミエルに会いたいの気持ちも、前はなかった。あと、ミエルにはミエルの考え方があって、ミエルが生きるにできている。ボクの考え方は、ボクに聞けばいい。キミがボクみたいに生きようとして、生きられなかったら、悲しい。何も変える必要はない」
「何も変える必要はない？」

「ボクの考え方は、人や物が少ない場所で生きるための考え方だ。メルバンカに住んで、たくさんの言葉や行動を覚えなければならないのは、とても苦しかった。ルールも厳しかった。結婚の話も、今でも思い出すと苦しい。スフィリットの生活も、たまにとても疲れている」
「確かに、ずっと寝てる日や話しかけても反応できない日があるね」
「そう。だから、生きる場所を変えないのだったら、考え方も変える必要はない。ボクは、そう思う。本当の気持ちを話さないことにも、たくさんの人を大切にするのも、ミエルがスフィリットで生きるための力かもしれない」

「周りの大人になることはできないって、教わってたね」
「そう。ミエルは、今のミエルでいるしかできない。今のミエルでいることは、感じられている以上に、大変なことだ。レモーノになる方法ではなくて、今のミエルは何ができるを、知る方がいいと思う」