ほぼ、おそろいの洋服
私は、付き合った期間を含めるともう10年以上、夫と一緒に過ごしている。そんな私たちだけれど、つい最近おそろいの洋服を手に入れた。
先に言っておくと、「おそろいにしよう」と買ったわけではない。正しくは、「おそろいになった」である。
私が買ったのは、きっと秋ごろだったと思う。
ちょうどこの記事の買い物のときに購入したもので、夫も一緒にお店へ行き、洋服を選んでくれた。私の買い物に、夫は必須である。かっこよく言えば、私の専属スタイリストだ。これまでのアドバイスと実績から、絶大な信頼を置いている。
そして、昨日すれ違った夫は、見たことのある洋服を着ていた。そう、それは私の買ったニットとまったく同じものである。
「え、いつの間に買ってたの?」
「セールになってたから買っちゃった!」
そういえば、年明けのセールがはじまったときに、「前買ってたニットがセールになってる!」と夫は言っていた。それを聞いた私は、すぐにレディースのページを開き、「セールの前に売り切れてる!」と、勝手に慌ててほっとしていた。
だけど、そんなやり取りはよくあることで、買うまでに至ったのは、今回がはじめてかもしれない。もともと身長高めの夫と平均身長の私。洋服のテイストも似ているとは言い難い。
ましてや、夫はサイズ感にとても繊細だ。だからいい買い物をするために、とにかく吟味する。そんな私たちが、同じ洋服を手に入れる日が来るとは。
おそろいで着ることはないだろうけれど、似合う洋服に出会うことは貴重だから、お互い大事に着ていけたらいい。
「同じものだけど、そっちのほうが高いね」と得意げに言うものだから、「お高いものだから、それに見合うように着てやるさ」と言ってやった。
セールのときには買えなかったのだから、私の買い物は間違っていなかった。だけど、やっぱりすこし悔しい。おそろいなようで、すべてがおそろいではない。これくらいが、私たちにはちょうどいいのかもしれない。