「がいこつさん」を読んでみた
娘、まだ一歳。
多分意味はわからないだろうなと思いつつ、自分が読みたくて図書館で借りてきた。
五味太郎さんの「がいこつさん」。
子供の頃は全く気づかなかった感想を抱いたので、記録しとく。
二十年ぶりくらいで読んだんだけど、最初の感想が
「がいこつさんって死んでるやん」だった。
骨になってるんだから当たり前っちゃ当たり前なんだけど、子供の頃は「がいこつさん」というキャラクターとして認識してたから、がいこつさんはがいこつさん以外の何者でもなかった。
街中を骨がむき出しで歩いてたら大パニックになるはずだけど、こういうキャラクターだから、と納得できてたんだな。
でも、今読むと違うよね。がいこつさんはがいこつさんに成る前、生身の人間だった時代があるはず。
待っている人がいた、手紙のやりとりをする相手がいた。
お腹を空かせたらご飯を食べて、毎日洗濯をする。
そういう人間だった時間ががいこつさんにもあったはずなんだなぁと思ったら、この絵本が人間の死を扱った重量感のある作品だったんだなと改めて気付かされた。
で、がいこつさんは「なにかわすれているようなきがする」と言って、なかなかスッキリ眠れない。
ここで言うところの寝るという行為も、睡眠ではなく永眠を意味することに今回初めて気づいた。
結局、忘れていたのはハミガキだったんだけど、これは何を表しているんだろう。
自分の身を清める=生前の嫌なことに対する気持ちの整理かな?
生まれ変わる前の魂の浄化とか。考えすぎか。
顔を洗う・髪を切るという行為は骨になった状態だとできないけど、歯はがいこつになっても残ってるから、清めの儀式として選ばれたんだろうね。
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絵本に限らず、時間を置くと作品に対する感じかたって変わるよねー。
同じ作品を何度も読んでしまうのは、そのたび新しい世界に出会いたいからなのだ。
読書は楽しい。