小耳症の話。
俺は小耳症で生まれつき右耳が聞こえにくい。
故に発音に難がある。
が、放送部所属である。
話すことは好きだ。自分で言葉を紡ぐことが好きだ。
それなのに、片耳が聞こえないせいで、カ行とかタ行がうまく言えない。
悔しい。悔しくてたまらなくて、でも放送が上達しないのを障碍のせいにしたくなくて。放送が好きで、続けたくて。
いっそ、放送なんか好きじゃなければ、と初めて泣きながら友達に打ち明けた日、
「電話口で泣かれても迷惑」
と、言われた。
信頼している友達だったから、これは正直堪えた。
その友達とは、これとは別件で大喧嘩したあと縁が切れてしまった。
俺が好きになる二次元のキャラクターの特徴として、こんな事がある。
ハンデや思い過去を抱えていて、「それがどうした」って笑いながら堂々と生きるひと。
例えば呪術廻戦の禪院真希。ツイステのラギー・ブッチ。鬼滅の胡蝶しのぶ。
自分と重なるんだろうな。憧れているんだ。
ハンデがあるけどがんばる、じゃない。
ハンデなんか感じさせないほど、堂々とした「自分らしさ」を持っている。
そうなれるだろうか。
どこに行っても、性別に、障碍に、持病に、過去に、囚われずに自分らしくあれるだろうか。
そんな夢を放送に預けて、大好きな放送を大好きで居続けるために、まだ踏ん張ってみようと思う。