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ビショビショに泣きたい夜に
二十代も慣れてきて、ふと思う時がある。
思いっきり泣きたい。顔がぐしゃぐしゃになって、過呼吸になってしまうくらいビショビショに。次の日には目がパンパンに腫れてもお構いなし。私が満足するまで
ずっとそうしたいと思っているのに、全く泣けない。
頑張って泣こうとしても数滴。
私がもともとあまり泣かないからなのか、それとも大人になったのかわからないけどびっくりするくらい泣けない。
泣ける映画、本、思い出。どれも試したが効果は感じられなかった。
どうしたら泣けるか考えていた時、ふと思い出した言葉がある。
「泣き虫だね」
当時付き合っていた彼は、微笑みながらそう言って私を抱きしめてくれた。
そうだ、私は恋愛するとすごく泣き虫になっていた。
小さなことで不安になるとすぐ涙が溢れた。泣くと彼が優しく抱きしめてくれて、泣き止むと優しいキスや冷たいアイスをくれた。
幼い時もそうだった。泣くと、母が抱きしめてくれてぐしゃぐしゃになった顔をテッシュで拭いてくれた。鼻を擤ませてくれた。
いま、泣けない理由がここにあった。
つまり私は、抱きしめてもらいたくて泣いていたのかもしれない。
抱きしめられると安心してもっと泣く。抱きしめてくれた人の肩が涙と鼻水で色が変わるまで泣き続ける。そして安心して眠りにつく。泣いた原因は思い出せないが、泣いて寝ると次の日は笑顔でいられた。腫れた目を冷たい水で冷やして、さっぱりさせて
そう思うと、今私が泣けないのも納得がいく。
一人暮らしという生活の中で、人の目を気にせず泣けると思っていた。しかしどうやら私は抱きしめてくれる人がいないと泣いても意味がないと思ってしまうらしい。
明後日、姉が子供を連れて家に泊まりに来る。
まだ生まれて半年の甥っ子は、私に抱かれると毎回泣いてしまうので明後日も泣くのだろうか。たくさん泣いていい。泣けるときに泣けるのはすごいことなのかもしれない。そう改めて思った。だから私は、泣き止むまで抱きしめてあげたいと強く思った。
泣いて抱きしめてもらう側から抱きしめる側へ
でも、たまには抱きしめてもらう側になりたいと思う夜でした