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フライボール革命の効果とは……

 皆さん初めましての方は初めまして! 初めましてじゃない方はこの世にはいませんね(初投稿ですので)。

 檸檬と申します。

 タイトルに『フライボール革命』なんて書いてあるので気づく方がいると思いますが野球好きのとっても優しいお兄さんでございます。

 自己紹介はここら辺にして、さっさと内容に入りましょう。

 ここ数年日本野球界でも耳にするようになった言葉『フライボール革命』。要は「フライボールを打った方が強くね?」って話なんですけど、それが本当に強ぇのかっていうことちょっと考えてみましょうよ! という記事でございます。
(当記事ではフライボール革命の説明はしません! 知らない方はGoogleか何かで調べて頂くと私の次に優しい方達が、教えてくれるので是非そちらを参考にしてください!)

Lahman's Baseball Databaseを利用させて頂きました。

1.いつからフライボール革命は始まったのか?

  wikipediaによると

「長打の確率を高めるために積極的に飛球を狙い打つ」という新たな打撃理論は「フライボール革命」として2017年頃よりMLB全体に広がり、実際に2017年シーズンにおいては、MLB史上初めて6000本を超える本塁打が記録されている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%82%B9%E3%83%88

とされていますが実際にはOPSのように長打率を重視した打撃指標は2000年代からMLBでは浸透しています。
(当記事ではOPSの説明は以下略)

 なのでまず、様々な観点でフライボール革命の日の出を定義したいと思います。

 とりあえず定義の上で使用する時代としてVeterans Committee(ベテラン委員会)で採用されている時代区分であるToday's Gameの1988年から2019年を使って調べてみたいと思います。

 まず長打率で見てみると

1998~2019の長打率
1988~2019におけるMLB全体の長打率
https://www.seanlahman.com/baseball-archive/statistics/

1992年と2014年を下限に跳ね上がっているようです。
 これを見ると確かに2017年前後に長打率の増加があったと分かるのですが、それ以上に「1994~2009年くらいまで長打率高くね?」というギモンが湧いてきます。
 とりあえずこの長打率の上昇期を分けて考えてみようと思います。

 で、2つの時期にどんな違いがあるかって調べてみると、一度目の上昇期って巷では「ステロイド時代」と呼ばれる時期だったのです。
 詳しくは下の記事に載っていますが、その時期は「アッパースイングとかで長打を増やそう!」ってわけじゃなくて単純にパワーが強い人が多かったから長打が増えていたと考える事も出来そうです。

 実際にその時期を含めた打率を見てみると

1988~2019の打率
1988~2019におけるMLB全体の打率
https://www.seanlahman.com/baseball-archive/statistics/

フライボール革命が浸透したと言われている2017年前後はそこそこ低いのですが、ステロイド時代は寧ろ高水準を叩き出しています。

 これらを考慮するとステロイド時代ではステロイドの使用でパワーがついたことにより「長打率を上げた」というより「長打率が自然と上がった」時期であると考えられそうです。

 ということで今回は2度目の上昇期、具体的な年は2017年~2019年をフライボール革命が浸透した時期としてフライボール革命の効果を考えてみたいと思います。

2.フライボール革命に意味はあるのか!?

 ここからが本題でございます。

 今回は調査の対象として、Today's Gameの中で長打率上昇期ではない時期の「1988年~1993年」と「2010年~2016年」と2度の上昇期に分けて考えてみたいと思います。

 時期を整理するとこんな感じ。

Preステロイド:1988年~1993年
ステロイド時代:1994~2009年
Pre革命:2010年~2016年
フライボール革命期:2017年~2019年

 ではフライボール革命の効果を考えるためにMLB全体の総得点数の変遷を見てみたいと思います。
 ただし、1998年までタンパベイ・デビルレイズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスが参入していなかったことによりそれ以前の得点数が28球団分と少なくなってしまうため、1988年~1997年の得点数は少し調整(1.03倍)されています。
 また、1994年、1995年もストライキの影響で試合数が少なくなっているため、こちらも調整(1.42倍&1.125倍)しています。

1988~2019の調整されたMLB全体の得点数
1988年~2019年におけるMLB全体の得点数
(ここだけ折れ線グラフじゃなくてゴメンネ!)
https://www.seanlahman.com/baseball-archive/statistics/

Preステロイド:平均18718.85得点
ステロイド時代:平均23164.70得点
Pre革命:平均20791.43得点
フライボール革命期:平均22559.67得点

 ステロイド時代は打率も長打率も高いのだから得点数が一番多いのは当たり前として、2番目に高かったのがフライボール革命期でした。


 もうちょっと深掘りしてみるとPreステロイド、Pre革命の打率を年ごとで平均すると、それぞれ0.257126と0.254482で、フライボール革命期の0.251725を僅かながら上回っているものの、正直そんなに変わりありません。
 ですのでフライボール革命によって打率が落ちたと一概に言うことは出来ないようです。

 一方、三振数(こっちも調整済み)に関してはPreステロイド、Pre革命でそれぞれ平均24908.15と36542.71、それに対してフライボール革命期は41378で革命期の圧敗でした。
 しかし得点が2つの時代を越えていることを考えれば、実はフライボール革命に効果があったのではないか?というように考えられそうです。

補足(ちょっと専門的です)
 片側5%で仮説検定(t検定)を行っていますがあまりに標本が小さいこともあって、Preステロイドとフライボール革命期の打率の仮説検定は4.9%で越えて欲しくないところをギリギリ越えちゃってるので、ここだけ両側5%ということで妥協しちゃいました……てへ!
 要するに、Preステロイドとフライボール革命期の打率に違いはあるけど偶然かもしれないということでございます。

3.まとめ

 色々意見はあると思いますが、得点を稼ぐことにおいてフライボール革命は効果的であるという結論に至りました。
 もし他の意見があれば是非ともお寄せください!


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