MEA後に気づいたこと その1 361名の術後3月または12月の自由記載と出血のVASスコア
MEA後に患者さんからいただいた評価が大切
以前の勤務先では、術後3月または術後12月に月経出血量の減少や月経痛の軽減などの症状について、患者さん本人がどのくらい実感できたのかをvisual analog scale(VAS)を使用して患者さん自身に評価していただいていました。2.45GHzのマイクロ波を使用するMEAの臨床応用を開始した当初は、もっと細かく多くの項目について評価していました。しかし、結局のところ、この2項目が著しく改善すれば、子宮全摘術の代替治療としての目的は達成できているようです。そこで、この2項目の VAS スコアと、自由記載で書いていただいた「MEA後に気づいたこと」を臨床実践の評価と反省に使ってきました。
古い記載内容は、VASスコアのヒストグラムを含めて、病院のWebページに載せていたのですが、医療広告についての規制の関係で数年前に削除され、原資料も失われています。手元に残っている、記載していただいた用紙365枚のうち匿名でも公開不可とされた4名を除く361名分は貴重な資料ですので、noteの記事にして残しておきたいと思います。
なお、手元にある資料では、術後3月の評価か12月の評価かが不明なのですが、集計して解析をするわけではありませんので、術後1年以内の短期的評価とまとめて考えることにしても問題はないと思います。ちなみに、殆どの症例では過多月経の原因となった子宮筋腫や子宮腺筋症の組織に対してMEA施行時にTCMMやTCMAMを併用してMEAの効果がより確実になるように治療しています。
内容の説明
症例番号ですが、掲載は最も古いものから順番です。1~4年以上前の記録です。
次に自由記載の内容が続きます。
最後に、出血がない状態を0、治療前の出血量を100とした場合のVASスコアを付け加えています。術後3月、あるいは術後12月に現在の出血量をどのくらいと感じているかお尋ねした結果です。質問用紙に描いた0と100の2点間の線分上で、術後の出血量はどのあたりですかと質問し、このあたりと答えて頂いた点と0点の間の線分の長さを測定し0と100の間の長さを基準にして数値化しています。例えば15というVASスコアは、MEA前の15%位の出血量、0は出血なし。100は治療前と変わらずMEAの効果なしを表しています。
月経痛についても、痛みがない状態を0、術前の痛みを100とするVASスコアのデーターがあります。月経痛のVASスコアも術前に比べて改善するのですが、出血量のVASスコアの改善よりも明確ではありませんでした(しかし、統計的には有意の改善!)。もとより内膜症のような子宮外の病変が原因の月経痛であれば、腫大した子宮をマイクロ波で治療しただけでは改善しません。さらに、出血量は多いが、月経痛は問題がないという腺筋症の患者さんもかなりおられます。というわけで、月経痛のVASスコアについては省略します。
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