見出し画像

腺筋症をMEA+TCMAMで治療した症例のMRIによる経過観察


前回の見出し図には、前壁の子宮底部に存在する腺筋症組織へ穿刺する方向を模式図で示しました。後壁内の場合も同様に病変の大きさと形に応じて、いくつかの方向に穿刺し、マイクロ波を複数個所で照射する必要があります。見出しのスペースに入りきらなかったのでこの記事に全体像を再度載せておきます。

前壁主体の腺筋症に対する穿刺方向 
子宮内膜面とそれに垂直な面では前壁の右半分を切り取った図を模式的に描くと見出し図のようになります。このような場合にはまずMEAを行ったあと、① 前壁腺筋症の右より方向、②前壁腺筋症の左より方向、③ 前壁腺筋症の中央方向、④ 底部部腺筋症               
計4回の穿刺とマイクロ波照射をそれぞれ行うことになります。               

  経腹超音波プローブと経頸管的穿刺システムを使用して、適切な方向に穿刺し、病巣の大きさに応じた照射時間で、背側にある病巣から順番にマイクロ波を照射していきます。3方向のMRI画像から、子宮全体の形状と腺筋症病巣の状態を3次元的に把握し、経腹超音波画像と常に比較しながら照射を進めていきます。マイクロ波照射の最中は超音波画像から目を離さず、マイクロ波加熱によって組織に発生する超音波画像の輝度の変化や、組織の脈管内を移動する、バブルの様子を観察し、マイクロ波照射による変化が、正常筋層にほぼ達した時点で、当初計画で予定した照射時間に達していなくても照射を終了することも必要です。

MEA+TCMAMで治療した腺筋症の経過をMRIで示します。いずれも、子宮が腺筋症によりかなり大きくなっており、過多月経が主症状でした。


子宮腺筋症に伴う過多月経の治療例1
およそ図の赤破線のあたりが正常筋層と腺筋症組織の境界と推定される。偽閉経療法前(左)よりは偽閉経療法後(中央)は子宮は縮小している。この状態でMEA+TCMAMを施行した後の造影MRI画像が右図である。腺筋症組織と子宮腔の周囲は無血流領域となった。           


子宮腺筋症に伴う過多月経の治療例2
a 治療開始前の画像で子宮底は臍高、L5上縁を越えている。b 偽閉経療法後         c MEA+TCMAM 後1月 4本の矢印は腺筋症組織の中にみられる穿刺の跡を示している。    d 造影画像で無血流領域となっている。 e 術後12月 過多月経は改善したが子宮は残存する腺筋症のために再増大してるが治療前よりも小さい。                   

症例2は子宮が大きすぎて、治療当時のマイクロ波アプリケーターでは子宮底部の病巣に十分届かなかったため、底部に腺筋症が再燃しましたが、無事閉経まで経過観察可能でした。


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